影の終わり
フレアです。
敵は二人。愚かな奴等だ。
その愚かな奴に、僕は今追い詰められている。
「さぁ!いくわよ!」
「さて、いくぞ?」
「現影使い!!」
「現影使い!!」
二つの声が重なる。最終決戦の幕開けだ。
「…!」
現影使いは、いつものハンカチでは無く赤い刀身に黒い持ち手の剣を構える。
「気をつけて…呪いの力を感じる。」
「ハンカチと同じようにくらえばアウトってことか…」
「っていうよりもハンカチの呪いの大元でしょうね。多分何かしらの魔剣の類いよ」
「どちらにせよ気をつけるべきだな。」
「いきますよ!!!」
現影使いは剣を持ってカゲリに疾走する。
早いな…。以前戦ったときよりも遥かに早い。火事場のバカ力って奴なのか、それとも剣の効果なのか…。
「ッ!」
振り下ろされる剣をカゲリは影の棘で防御…しかし、剣の前に影の棘は一瞬で砕け、カゲリを断ち切ろうとする。
「そらっ!!」
が、当然そんなことはさせない。私は、必中するバナナの皮を現影使いの足元に投げつけ、耐性を崩させる。
「ッ!?」
急に転けた現影使いの剣は軌道を大きく外れ、カゲリの真隣に着地。その隙を逃すわけも無く、影のトンカチが現影使いの脇腹を強く叩く。
「グアッ!!」
そのまま、隣の壁まで吹き飛ばされた現影使いに、私は影の槍を弓で射出する。
「…!これならどうです!!!」
大きく叫んだ現影使いは、剣先を私に向ける。
「避けて!!」
「っ!!」
カゲリの声を耳に入れた瞬間、私は左に体を避ける。
すると、先程まで私が居た場所を赤黒い光線が通り抜けていった。
「ビーム!?」
「あの光に当たったら呪われるわ!!」
厄介だな!?あれも魔剣の力なのだろう。私の弓もあーゆうの出ないかな!?
「カゲリ!壁を!!」
「分かってる!!!」
カゲリも即座に影の壁を張るが…
「無駄だ!!」
「ッ!あぶなっ!」
「うぉ!」
光は当たり前のように影を貫通してしまう。
光だから影は効かないとかそういうのか!?
幸いなのは一発ずつしか放たれないし、剣先を構えてから撃たれるから、回避は余裕というところだろうか?
それにしたって、剣先を見逃して事前に回避出来なければ、確実に避けられない速度なのでかなりの驚異なのだが。
「はぁ!!」
そのまま奴はカゲリに切りかかる。
「ッ!」
カゲリも槍で応戦するが、隙を見て私にビームを放ってくる。
弾かれてはビーム、弾かれてはビームで私に邪魔させないようにしているようだ。
「っ!!」
カゲリが押し負けて飛ばされる。
「このっ!」
倒れたカゲリに剣先を向ける現影使いに弓を放つが
「かかりましたね!!」
「ナナ!!!」
突如奴は剣先を私に向ける。
「しまっ…!!」
いきなり向けられた剣先に対応しきれずに、光を掠ってしまう。
「ぐっ!!!」
傷口から急激にダルけが広がっていき、ついには力が入らず、その場で倒れてしまった。
「ナナ!!」
カゲリが急いで私に駆け寄ってくるの見える。
「っ…もんだ…いない…。」
呪いのダルけによってうまく回らない口でカゲリにそう伝える。
半分はやせ我慢、もう半分は本当だ。
っというのも、体のダルけは凄いが命の危機は感じないのだ。意識を失う気配もない。このまま侵食されていけばどうなるかは分からないが…今は問題ないだろう。
「まずは1人目!!」
現影使いの声が響く。
カゲリもあわててそちらに向いた。
「さぁ!次は貴女ですよ!!」
「っ!」
カゲリが黒い槍を構える。
「…仕方ないわ。カゲリは休んでて」
「ひと…りで…?」
一人でいけるのか?悔しいが二人がかりでは圧倒出来ていたとはいえ、それでも逃げられているのだ。一人でいけるかどうかに関しては疑問が残る。
「…本気を出すわ。」
そう一言呟いて、カゲリはその場から消えた。
いや、消えたのではない。落ちたのだ。自分の足元に影を作り、その中に。
「…!?」
現影使いも困惑した様子で辺りを見渡す。
どうやら奴はカゲリが何をしたのか見えていなかったようだ。
カゲリの落ちた影は凄まじい速度で現影使いの背後に回る。
「っ!?どこにいって…」
「…!!」
その影から、カゲリが飛び出して、影で作ったであろうナイフで現影使いを切り裂く。
そして、現影使いが振り向くよりも早く、背後の影に消えていく。
そして、更にその後ろへ、次も後ろ。質量を持たない影による移動で、本来あり得ないスピードでの攻撃を成功させる。
まるでアニメみたいだな…。
っというよりもあんなの出来るならさっさと使ってほしかった。
本気を出すわ。じゃねえよ!最初からやれよ!!!
最も、そのツッコミは呪いに侵食される私の口から飛び出すことは無かったのだが。
しばらく切り刻んだ後、次は作り出した影ではなく、本物の影にはいっていく。移動はできない。
「一体どこに…っ!!」
しかし、現影使いが振り向いた瞬間。カゲリの入った影から大量の槍が飛び出し、現影使いを串刺しにする。
大量の槍の後、飛び出してきたカゲリは現影使いを素手で殴りつける。
しかし、ただ殴り付けたのではない。殴り付けた腕から現影使いに取り込まれるよう、中に消えていく。
拳と奴の体の合間の影に入っていったのだ。
「なっ!?」
困惑する現影使い。更に、カゲリの入っていた影はカゲリが消えた後も消えることがない。影を作り出したのだ。
カゲリの入っていた影が奴の体を移動。手のひらへ向かう。
「っ!?この!出ろ!!」
やがて、手のひらを包み込んだ影はそこに握られている剣を取り込もうもする。
「しまっ!?」
あわてて剣から手を離す、現影使い。
その隙を私は見逃さなかった。
「っのぉ!!!!」
ダルけの消えない体を気合いで動かし、冷凍バナナを作り出す。
それを思い切り、剣に向けて投げつける。
そして力を使い果たし、倒れる…。
今度こそ、もう動けないぞ…。
視線を剣に向けると、綺麗に氷像と化した剣が目に入った。
「ッ!!!よくもっ!!!」
切り札を封じられ激昂した現影使いが、倒れる私にとどめをさそうと此方へ向かってくる。
手のひらのことも忘れて
「ッ!!!」
己の手のひらから伸びる大量の槍、それが地面に引っ掛かり、歩みを止める。
「なっ!?」
しかし、槍は止まらない。次々と手のひらから槍が排出され続ける。
「くっ!止まれ!!出てけ!!!」
手を抑えながらそう言う現影使いに、カゲリは…
「いいわよ?」
そういってあっさり、現影使いから外れ、別の影を作り潜り込む。
その時には手遅れだ。
回りに散らかる槍が一斉に浮き、上空に集まりはじめる。
その際、何本かの槍は現影使いを貫き、床に繋げてしまう。
「なっ…!?あっ!あぁ!!」
上を見る現影使い。
現影使いの真上では、集まった槍が液状化、合併され、一つの巨大な槍を形成していく。
「やめろ!!やめてくれ!!!」
命乞いをする現影使いに対してカゲリは…
「これでおしまいね。」
そう一言呟き、70年間の戦いに終止符をうったのだった。
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