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バナナを生み出す能力のお陰で私は毎日幸せです!  作者: フレア
冒険、始めました
25/90

緊急!急ぐぞ!!

フレアザマス。

「英雄様!!!」


「…あ…」


テンカの騒がしい声で目が覚める。外はすっかり夜だ。


「飯か…?」


「大変なんです英雄様!!!」


ただ事では無い様子に私は何かあったことを悟る


クソ…心地良い眠りだったのに余韻もクソもないな!


一瞬で晴れた思考で物を考え始める


「何があった?」


「魔法使い様が…!!」


…


…


…


私はテンカに連れられ広場まで走った。


「英雄様!!!」


「英雄様!!!!」


広場の真ん中ではリノアを含めて何人かの騎士が寝かされていた


「おい!リノア!!」


「…」


返事はない。回りの騎士も含めてどうやら全員意識が無いようだ。それにその身体には傷が残っている


私は急いでバナナを作り出し食べさせる


「とりあえずこれを!」


「…」


「リノア?…目覚めない!!」


バナナで治らない…?どういうことだ!?やはり、万能では無かったのか…?


回りの騎士達にも与えるが、傷が直るだけで目が覚める様子はなかった


「無駄です…」


焦っていると、広場の人混みの中から一人の老人が歩いてくる。


「トイさん!」


一人がそう叫ぶ。


何者だ…?


「お初にお目にかかります英雄、ナナ殿…。私はトイ。少し前までこの村で村長をやらせてもらっていたものです。」


「あぁ、丁寧にどうも。それで無駄。とはどういうことですか?」


「その通りの意味です。これは外傷による物ではない。」


「外傷ではない?」


「ええ、呪いです。しかもただの呪いではない…」


「ッ…と言うと?」


「これは魔王軍幹部の能力でしょう。」


魔王軍幹部だと?ゲームでよくあるやつか?


「またか…!!」


「くそ!!」


誰かがそう叫ぶ。また。ということは過去にも、定期的にこの被害にあっているのだろう


「この村に来ていたと言うことですか?」


「はい…」


いわば攻めてきた訳だ


「直す方法はあるんですか?」


「あぁ、そっちに森があるだろう」


トイはアートリズムダンジョンがあった場所とは反対側の森を指差した。


「そこに生えてる薬草があれば治るのだが…」


「ちなみに…治せなかったら?」


村長が首をふる。どうやら早急に治さないと不味いようだ




「勇者様!!!」


「ミリノ!!」


そんな中、ちょうどその森からいくつかの草を握りしめた、ボロボロのミリノが歩いてくる。


「また…数が…」


そのまま村人の一人に草を渡した後再び山に入ろうとする


いや待て待て待て!!


「ちょ!ちょっと待て!ミリノ!!」


「…、ナナ…」


私が呼び掛けると、ようやく私に気がついたのか足を止める


「少し回復していったほうが良いです!!」


「でも私は…」


ミリノが足を止めると数名の騎士がそういって引き留めにいったのだった。私も同意見だ



「幹部だけじゃなく、多数の魔物の軍勢が攻めてきているんです。勇者様は先程から、それを抑えつつ薬草を回収してきてくれています」


騎士の一人が私にも更に詳しい説明をしてくれた


「ってことはそこで倒れてる連中は…」


「返り討ちにされた人達です。幸いミリノさんが救出してきてくれるので死者はまだ出ていませんが…」


そんな一大事の中私寝てたのか?


「何故私も呼ばなかったんだ!?」


「我々も先程気がついたのですよ…」


「勇者様が村人の頼みできのみを摘みに行った際にたまたま気がついたそうで」


「すぐに自警団とリノア様含めて反撃に向かったのですが、この状態です…」


となると万が一ミリノが気づかなかったら不意打ちを食らってた訳か…。


「とりあえず私も行こう!」


「私も行きます…」


「その状態じゃ無茶です!」


「これ食え!!」


ミリノにバナナ手渡す。


「他の怪我人にも!!」


とりあえず20本程バナナを作り出して渡す。



「え?あのこれバナナ…?」


「これは…!!いいから食べさせるんだ!!」


「なんで…?」



あの戦いを見てた奴と見てなかった奴の認知の差が激しいな。まあ当然だろうけど。


「…行きましょう!!」


「ああ!」


完全回復した様子のミリノを引き連れ、そのまま私達は急いで森にはいった。


…


…


…


少し奥に来ただけで異変がわかった。


「なんだこの魔物の量!?」


「奥にはまだまだ居ますよ!!」


いつかのダークウルフなんて目じゃないくらいの量の魔物が村に向かって進んでいた。


「はぁ!!」


「ふん!!!」


そして、その最前線では自警団と呼ばれていた騎士達が必死に魔物と戦っていた。


「それ!!!」


とりあえず私は冷凍バナナを生み出し、魔物の群れに向かって投げ込む


「!!!!!!」


魔物達の群れの一部が白色一色に変わるが、すぐに新たな魔物に塗りつぶされる。


「英雄様!勇者様!」


「気を抜くな!!」


「私も行ってきます!!!」


ミリノはそう言うと、魔物の群れの中に突っ込んで行った


その直後、魔物が文字通り切り飛ばはれ、宙を舞っていく


この様子じゃあ下手に冷凍バナナなんか使えば周りを巻き込みそうだな…


「怪我人はいるか!?治療できるぞ!!」


とりあえず、私も私の出来ることをしよう


幸い自警団のメンバーは大半があのダンジョンにいたらしく、私がバナナを差し出すだけで意味を理解してくれる


「助かります…英雄様」


「こっちに3本頼む!」


「こっちにも4つ!」


「了解!」


生み出しては声のする方向に投げ渡す


行儀が悪いとか言ってる場合ではないだろう




「うわぁっ!!!」


「大丈夫か!?」


そんな中少し離れた位置から悲鳴が聞こえる。


「新しい怪我人か!?」


「英雄様!!」


「うぐぐ…」


「うわっ!結構深いな!!」


傷を抑えて呻き声を上げている騎士にバナナを食べさせる。


「うぐ…」


が傷が消えても、未だ苦しみ続けている。これは…


「くっ!!呪いです!!」


呪いだと!?って言うことはこの近くに例の幹部がいるのか!?


「オイ誰にやられた!?」


「…」


返事はない。やはり意識が無いようで


「オイ!誰かコイツを広場に」


連れていけ。そう言おうとした直後だった




「危ない!!!」


突如、後ろから呼び掛けられ私は咄嗟に手に入れたばかりの弓を後ろ手に構える。


金属と金属がぶつかる音が鳴り響く。


「ッ!!」


「ほほう…。」


「!!!」


すぐに私に切りかかってきた何者かは後ろに飛び、衝撃に耐えきれなかった私は飛ばされる形で距離をとる。


慌てて振り替えると、そこにいたのは黒ずくめにシルクハットのマジシャン風の男だった


「下がれェェェッ!!!!」


直後、背後からもう一人男が現れ、マジシャンに斬りかかる


「おっとあぶない!」


マジシャンはひらりと避けてしまうのだが


敵…ではなさそうだな。全身を鎧で包んだ初老の男性に目を向ける


「騎士長!!!」


無事だった騎士の一人が叫ぶ!


「倒れた者を離脱させろ!!!」


どうやら騎士長、この自警団のリーダーのようだな。


この男が一喝すると、騎士団達は全員後方へ下がっていった


「アンタがリーダーか」


「ええ、私はサルベルと申します。」


「あぁ、私は知っていると思うがナナだ。名前でいい」


「畏まりました、ナナ様!」


私達は軽く自己紹介をしながらも目の前の軽薄な笑みを浮かべた男を見つめ続ける。


「どうも、初めまして。騎士長に英雄。僕は魔王軍幹部が一人、呪衰者(じゅすいしゃ)ノロと申します」

次回久しぶりの戦闘回です。

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