凄く凄く
二十一日目。
軍人さんの様子がおかしい。
やたらと髪を触ったり横に座って私を意味深な視線で見たり。
そのくせ私が軍人さんを見たら、目をそらしたり。
挙動不審すぎる。
気になって宿題もできない。
ぁぁあああ、もう。
「軍人さん?」
「……何?」
少し間があいて、軍人さんが答える。
「なんで私を見るんですか?」
軍人さんは、今度は目をそらさずに私を見た。
「特に理由はないよ」
「じゃあ見なくてもいいじゃないですか」
「見てもいいじゃないか」
「見られると宿題ができません」
「どうして」
「視線がうざったいから」
軍人さんは押し黙った。
……っよし。勝った。
すると軍人さんは無言で席を立って、私の前に来ると。
微かに口の端を上げて、その顔を近づけはじめた。
「……何しようとしてるんですか。やめてください変態」
肩をぐいっと押して抵抗。
「やだ」
心なしかむすっとしてるように思える。
端整な顔が、近づく。
「なんでこんな顔近いんですか、パーソナルスペース考えてください」
焦って軍人さんを見上げる。
顔とっても近いです。
「パーソナルスペース?」
不思議そうに復唱しながらも、距離が縮まっていく。
やめてください。なんか怖いんで。
「ふ、不快です」
「それ、言われたの初めてだよ。ぞくぞくするね」
勝手にぞくぞくすんな馬鹿ーっ!
軍人さんみたいな究極のマゾヒストは究極のサディストでもあるから怖いんです。
紙一重だから。
「怖がられると燃えるんだよねェ。分かる?」
とかなんとか言ってるじゃないですか!!
「いやいやいやいや燃える必要はどこにもないですし軍人さんの考えなんか全然わかりません、ほら、青少年健全育成条例とかそういうのがあるじゃないですか、だからそういうのしようとしないでくださいっていうかそういう雰囲気も駄目です軍人さんは変態だから危険を感じてしまうじゃないですかもうほんと近づくのやめ―――
かぷっ。
…………ひゃぁっ」
「…………っくっくっくっ、」
狐のように目を釣り上げて笑う軍人さん。
っていうか今の何?! かぷっ、って……かぷっ、って!
軍人さんは笑いすぎて涙目になりながらも言う。
「ああ、楽しい」
「楽しくないです」
本当に危ない雰囲気醸し出してたくせに。
「いや、……何ていうの? 小動物と遊ぶような感じ」
くつくつと笑いながら、頭を撫でる。
「小動物って…………」
落胆しながら言うと、軍人さんはふわりと笑った。
「鼻にキスは、」
「キスじゃないですよね。噛み付きましたよね」
そこちゃんと考えてもらわないと。
軍人さんは思いっきり嫌な笑みを浮かべると、
「甘噛みだから」
とか言った。
「っざけんな!」
「鼻にキスは、どういう意味があるのかな?」
つんつん、と鼻をつつく。
子供扱いされてる……。
「知りませんよ。どうせからかってるだけなんでしょう」
軍人さんは私から手を離して、首を傾げた。
「……うん。そうかもね」
なんか、釈然としない。
「でも俺のこと軍人さんとか呼ばないでよ」
今度はすっと顔を近づけて、鼻先にちゅっとキスされた。
…………なんだかほんわかしてる私がいるのが……怖いです。
「軍人さんじゃ駄目なんですか?」
「ザシャって名前があるんだけどなあ」
「ザシャさん、って呼べばいいのは分かってます。でも舌噛みそうで言いにくいんです」
「いや、っていうかさん付けやめたらいいよ。もしやるなら様で。OK?」
「いえ、結構です。軍人さんで」
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(=・ω・)ノ
作者:どうも。作者です。
ザシャ:俺の立ち位置が微妙だ。
作者:君は、実質サディストだよね。
ザシャ:ん、それはどういうことかな。
作者:乗るのと乗られるのとどっちが好きかって話だよ。
ザシャ:どっちも好きかな。
作者:ほら。じゃあシバくのとシバかれるのは?
ザシャ:どっちもイケる。
作者:ほら。お前はサドだけどマゾでもあるんだよ。
ザシャ:俺Mっ気強いと思うけどなァ。
作者:作中にもあるように、『究極のSは究極のM』だから。
ザシャ:っていうかね、俺のSM談義はどうでもいいんだよ。
作者:うん。
ザシャ:どうなるのこれから。
作者:どうにかなる。
ザシャ:違うよ。続編の方。俺が聞きたいのは、作者の歴史知識で綿密な心理描写ができるのかってことだよ。
作者:痛いところ突くね。実は作者、五一五事件と二二六事件の区別さえつきません。殺されたの誰? というかタイセイヨクサンカイってなに。太平洋戦争っていつ始まったの? 1939くらい? いや、1937? ぶっちゃけね、“旗艦”とか“ソーナー”さえわからないんです。美味しそうですよね、ソーナー。名前が。
ザシャ:終わってるね。……ヒトラーの誕生日は?
作者:1989420。
ザシャ:ヒムラーは。
作者:19001007。
ザシャ:レームは?
作者:18871128。
ザシャ:最後に、チャップリンは?
作者:1989416。
ザシャ:終わってるね作者。全問正解。
作者:うん……これくらいはさ、脳内に入れておかないとね。
ザシャ:日本史は脳内には入ってないの?
作者:飛鳥時代と平安時代が好きです(キリッ
聖徳太子小野妹子藤原道長紫式部。愛してるぜ。
ザシャ:駄目じゃないか。なんで艦魂小説書こうと思ったんだい?
作者:ヒトラーさんを書きたくて。
ザシャ:じゃあドイツ史でいいじゃないか。
作者:主人公日本人にしたくて。日本海軍も書きたくて。主に制服を。
ザシャ:制服? どれが好きなんだい。
作者:第二種。最初夏服だった白いやつ。と、明治時代のファー付きコート。
ザシャ:王道だね。
作者:レイヤーさんは白いのよく着てるよね。
ザシャ:作者、それに目覚めちゃ駄目だ。
作者:うんそこまでない。でもミリタリーショップ行きたい。
ザシャ:いってらっしゃい。
それで、どうするんだい、日本史は?
作者:色んな方に手伝ってもらおうかと思っています。
ザシャ:駄目駄目だね作者。自力でどうにかしなよ。
最後に次回予告と、自作予告をどうぞ。
作者:次回もフラグを立てまくります。
次回作については、大西瀧治郎さんとココ・シャネルさんは必ず出します。
ザシャ:また全然違う方向の人だ。
そういえば、シャネルはSSの誰かの愛人らしいね。
作者:そ…………そうだったのか。知らなかった。
ということで、また次回お会いしましょう。




