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Because I love you ,   作者: Ψ蒼龍Ψ
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24/33

苦しくて。

Attention!!

この話には、ヒトラーに対する肯定的な表現があります。


どうして、人は殺しあうのか。

どうして、人は人を貶めるのか。

どうして、人は人を軽んじるのか。


わからない。

わからないんです。

軍人さん。


なぜあなたが、そんな職業で、そんな人のもとで働いているのか。





二十二日目。




「ぐんじ……ザシャ、さん」

「ザシャがいいなァ、……何?」

夕食を作る後ろ姿を眺めながら聞く。

「楽しいんですか?」

顔も見せず振り返らず、ただ一言。

「何が」

言うか迷ったけど、とりあえず口に出してみる。

「……今の職業」

軍人さんは振り返った。

「どうしてそんなことを聞くのか、まず聞きたいな」

私を見つめる眼は揺らがない。

……はあ。

「なんとなくです」

曖昧に誤魔化そうと思って言った言葉を、軍人さんは繰り返した。

「なんとなくです……な顔じゃない。何かあったのか?」

火を消して、私の横に座る。

ご飯はもういいんですかと聞いたら、もう出来たと答えられた。

「支障がない範囲で教えてくれるかな」

静かに切り出された言葉。

「……どうして、ぐんじ……ザシャ……、さん、がヒトラーのところで軍医をしてるのか」

「今の世の中の人は、ヒトラー、って呼ぶんだ」

軍人さんは静かに笑った。

「1930年の選挙で、ヒトラーは落選しました」

「……そうなるんだね」

ただ歴史をなぞる。

その先に何があるのか、軍人さんは知らないんだろうけど。

「…………っ、ヒトラーは悪魔です」

抉り出すように、絞り出すように言った言葉に、軍人さんは瞠目した。

「話が飛躍しすぎだ」

そして腕を組んだ。

「……今はヒトラーは“Villain”なんだな」

「ヴィレイン?」

軍人さんは口元を押さえた。

小さくあ、と呟いて。

「英語だよ。悪人、ね」

「悪人……」

そうなるんだろう。

日本で習う、世界で習う歴史としては。

ヒトラーは悪人であり、過激すぎる人種差別者。

軍人さんは話そうとしない私の背を撫でた。

「千早が悪人だと思っているのには、何か根拠があるんだろうね」

軍人さんは、私の右手に触れる。

「歴史的で客観的な証拠があるんだろうね……。そして、それはまだ起こっていない」

「どうして」

それが分かるんですか。

言いかけて、やめた。

未来を知りたくないという軍人さんに話してしまっていいの?

その一文が、私の頭を巡る。

「それが起こっていたんだとしたら、俺が知らないはずがない。それに、ヒトラーはまだ何の権限もない」

「それは、…………そうですけど」

軍人さんは、私の右手首を擦る。

「でも、ヒトラーは国家元首になるんだな」

どうしてそこまで分かるんですか?

訝しみながら横顔を見る。

「国家元首以外の人間の名前が海外で挙がるとは考えにくい。……まあ、軍人や極悪な犯罪者を除くとすると、だけど」

軍人さんはにこっと笑った。

「で、なんで俺の仕事に興味持ってくれたの?」

「……ヒトラーみたいな人のもとで働いてて楽しいのかなあって」

歴史の時間で習って思ったんです。

軍人さんはきょとんとした顔をして、次の瞬間笑っていた。

「楽しいよ。以前より彼女の数は減ったんだけど、上の連中も優しい」

「…………そう、なんですか」

騙されてるんじゃない?

……っていうか、彼女の数って……数、って……。

「俺の雇い主は賢明で善良で誠実な政治家だしね」

そう言って、ただし頑固で誇大広告だけど、と付け加えた。

「医師団長のモレル医師から学ぶことも多い」

「そうなんですか…………」

私は彼らの内部事情を知らずに、偏見だけでものを言っていたのかもしれない。

軍人さんは私の手首を見つめ、それから私の目を見た。

そしてにやりと笑った。

「まあ――――、千早が言ってたように、制服が問題かもしれないね」

「………………………………そうですね」

最初軍人さんは何を着ても似合うなあなんて思ってた私。

滅んでください。


軍人さんは会話を終えたのにぽつりと一言言った。

「アーリア人の反対って、何人なんだろうな」

私が言葉もなく軍人さんを見ると、彼は天井を睨みつけて言った。

「アーリア人はヒトラーやその関係者に優遇されてる。なら、虐げられるのはどんな人種だ?」

私は答えられなかった。



あなたの友人も、いたかもしれません。

それは、その虐げられる人々は、ユダヤ人、なんです。


何も言えないのがもどかしい。

全てを知っているくせに、軍人さんについては何も知らないのがもどかしい。

軍人さんのことを何も知れないのがもどかしい。





「夕飯にしよう」

ひどく明るい声で言われたその言葉に、私は曖昧な笑顔を浮かべた。





びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(ーー;)


作者:シリアスなお話でした。


千早:…………………………。


作者:では作者から豆知識~。


千早:またくだらないことでしょう。


作者:また、ってなんでしょうか。

   ではいきます。

   ユダヤ人は“Judea”。

   では、キリスト教でキリストを誰かに銀貨何枚かと引換えに売った人は?


千早:アバウトな質問ですね……。

    でもこれは、聖書の内容ですよね。答えはユダです。


作者:OK。じゃあ、彼の名前を英語でどうぞ。


ザシャ:ユダは、“Judas”。

    Gagaの曲にもありますね。


作者:その豆知識はいらない。

   ね? なんとなーく似てますよね。

   では、ナチス政府がユダヤ人に身につけることを強制した布に書かれていた模様は?


千早:………………?


作者:六芒星✡ です。


千早:そうですか。

   ところで、“クリスタルナハト”って?


作者:それは、1938年11月9日に起きたユダヤ人虐殺のはじまりの事件です。

   シナゴーグ(ユダヤ教の教会のようなもの)やユダヤ人の家屋を破壊し、多数のユダヤ人が殺されました。


千早:ユダヤ人の定義って?


作者:祖父母4人のうち、3人が純潔のユダヤ人――、だそうです。


千早:五一五と二二六はわかった?


作者:五一五の方が早く起こって、海軍が起こして、犬養さんが殺された。

   二二六は陸軍だったような。


千早:………………そうですね。

   って作者! 五一五はあれですけど、二二六は次回作で書くんでしょ?

   そんな体たらくでいいんですか。


作者:べっつにーいいもーん。

   ってことで、次回は二十三日目。


千早:何も考えてませんね。


作者:いえ! そんなことすっごくあります!

   ではこのへんで、またお会いしましょう。



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