胸がもやもやして
十九日目。
「おかえり」
玄関先で律儀に出迎えてくれる軍人さん。
「ただいま」
靴を脱いで揃えると、上から降ってくる声。
「ちょっと借して」
何を、と言う暇もなく、左側の髪(ツインテールにしてるから、軍人さん側から見て掴みやすい方だったのかも)を掴んだ。
掴んだ、と言うよりも持ち上げた、といったほうが正しいかも。
口を挟む暇を与えず、軍人さんは私の目の前で、髪の毛に唇を落とした。
「ななななななにを」
呂律が回らずに、口をぱくぱくさせるだけの私を見て笑う。
「キス」
「きすぅ!? ままままたそんな、どうして」
軍人さんはこてん、と首を傾けて、
「したかったから」
と言った。
自由奔放すぎます。
二十日目。
朝起きて髪を結ぼうとすると、軍人さんが私の髪の毛を鷲掴みにして、
「結んでいい?」
そう言った。
「………………は?」
まだ半分眠っていた私がそう聞くと、
「髪、結ばせて」
笑って答えた。
「…………悪趣味じゃないならいいですけど」
「任せて」
彼は慣れた手つきで髪を結んでいく。
私が自分でするよりも早く、軍人さんは髪を結び終えた。
「はい」
「……アリガトウゴザイマス」
軍人さんがしてくれるなんて思ってもみなくて、つい片言になってしまった。
「何か今、俺に失礼なこと思ってるだろ」
「今日は槍が降るんじゃないでしょうか」
あまりにも自分本位に生きてます、な人がすることじゃない。
そう言う意味で言った。
「はいはい。でもそうなったら護ってくれるんだろ」
「逆ですよね」
思わずつっこんでしまった。
でも。
「ただいまー」
「お帰り。今日は五分六秒遅かったね」
そういう変に律儀なところは変わってない。
今日はご飯作らないと、と思いながらキッチンへ向かう。
と、
「あ、千早」
軍人さんから呼び止められた。
「なんですか?」
「手、借して」
「はい?」
手相でも見るつもりなのかな。
訝しみながらも手を差し出すと、軍人さんはにこっと笑った。
そして、
「ん」
ちゅ。
「………………っ?!」
掌にキスした。
「ぐぐぐぐ軍人さん?! 熱でもあるんですか?」
軍人さんはあっさり手を離して笑う。
「いや、ないよ?」
「今日もキスしてますけどどうしてか聞いてもいいですか? 怖いですけど」
軍人さんはまた、こてんと首を傾げて。
「したかったから」
それだけ言った。
「ああ、千早は子供だけど、知ってる?」
子供、って言葉に刺を感じるのは私だけでしょうか。
「何ですか」
「ん、知らないかもしれないね」
勿体つけないでください。
言いたいならさっさと言えばいいでしょう。
そう思ったけど口には出さないでおく。
「知ってる? キスの意味」
「……意味?」
キス、っていうのは愛情の印じゃないの?
ぽかーん、としていると、
「知らないんだ」
くすくすと笑う軍人さん。
む、むかつく…………っ!
そしてあろうことか私の頬を指でつつきながら、
「ちはたん、知らないの?」
とか言うから、もう私ぷっつんしました。
「ええ、知りませんが何か? 軍人さんみたいな女好き? ヤリ逃げばっかしてる人間? そんなんじゃないですから私」
軍人さんは顔の前で手を振ると、
「いや、ヤリ逃げはしてないよ、流石に」
そう言って、言葉を続けた。
「キス、っていうのは、する部位によって意味合いが違ってくるんだ」
「へーそうなんですか」
口調はぶっきらぼうだけど、凄く気になる。
だって一応女子ですから。
そしてキスの意味を知っている軍人さんにちょっと引く。
ああやっぱり女好きだから?
「教えて欲しい?」
「いえ、別に」
あ゛……。言ってしまった。
すると軍人さんは満足そうに笑う。
「ん、いい心懸けだ」
「え?」
軍人さんはぽんぽん、と頭を撫でると、
「自分で考えたらいい。その方が面白い」
そう続けた。
……まさか。
「まさか、私が子供だって見下してるとかじゃないですよね。軽蔑とか軽視とか蔑視とか」
不安になってそう聞くと、軍人さんは瞠目した。
図星とかじゃないですよね。
もし本当にそうだったら私は終わってしまうような気がする。
「まさか」
だけど軍人さんはそう言って、顔だけ私を見るとさっさと先に行ってしまった。
キスにどんな意味があるのか不安になった、二十日目の夜。
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(;一_一)オイオイ
千早&ザシャ&作者:あけましておめでとうございますっ!!
作者:新年一発目☆びこーず本編です!
ザシャ:やっとフラグ……。
作者:ようやくまともなフラグです。
そしてようやく役に立った私の(無駄な)知識。
ザシャ:作者、そのキスの意味はどうやって知った?
作者:………………実践ですっ。
ザシャ:お相手は?
作者:度々出てくる友人A(♂)。
彼の無駄知識は半端ないです。
ザシャ:何歳の時に知った?
作者:作者は今15歳で、確か小4くらいに知ったから……10歳かな。
ザシャ:へー。随分早熟なお子さんだったんですね。
作者:うるさい。単純に、好奇心が旺盛すぎたの。
……で、ザシャはどこにキスされんのが好き?
ザシャ:胸、背中、脛、足の甲。キスするのは胸、喉、耳、唇、腿、腰、手首。
作者:変態。
ザシャ:そういう作者はどこが好きなんだい?
作者:キスするのは足の甲とか、喉とか、耳とか脛とかかなあ。
ザシャ:同類だねえ。
作者:どこにしてもされても好きだけど特にっていうのがこれなんです。
ザシャ:作者はよく表面M中身S言われるもんね。
でもキスの内容だけ見ればM。
作者:はっきり言っておきます。作者は中身も表面も普通です。ゆーじゅある。
ザシャ:うそつき。
作者:いえ決してそんなことは、というか、私個人としてはSではないと思うけど。
ザシャ:まーいいや。そしてここで作者からのお願い。
作者:これは本編の多大なるネタバレを含むので、どうかキスの意味を調べないでやってください。
ザシャ:いつ明かされるんだっけ。
作者:あと10話くらい先。
ザシャ:ちゃんと俺が解説するから待っててね。
作者:キス談義で終わったけど、お魚のキスも美味しいよ。
ザシャ&作者:ちゅっ♥
ザシャ&作者:キモ…………。
作者:次回は!
ザシャ:じゃじゃーん。(棒読
作者:未定っ!
ザシャ:駄目だな、作者。俺以上に駄目な人間だよ。
作者:しょうがないでしょ、2日に福袋買いに行くんだから、それの計画を練ってるんです。だから他の事に手が回らない。
ザシャ:どこに行くの?
作者:天神コア。リズリサかエムズ狙いでいくよ。
ザシャ:………………頑張れ。
作者:ってことで、また次回お会いしましょう!




