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寒い国から来た鬼類  作者: 弐乃
第10章 鬼類、ダンスを踊る
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快楽殺人鬼VS美少女戦士2 反省と自戒とやめられぬ悪癖

 神水流は黒い髪をかき上げながら上目遣いにムーンライトを見据える。

「君の言う通りさ、ムーンライト。僕はか弱く儚い生命を弄ぶのが大好きさ。認めるよ。目の前で震えながら命乞いをされたり、泣きながら助けを求めたりされるともう堪らなくなってしまうんだ」

 神水流の放つヴァニラの薫りが更に強くなる。

「身体中の鬼虫と細胞が熱く沸騰して歓喜の歌を歌うんだよ。あぁ君に伝わるかなぁ、あの目くるめく感覚が。一度味わったらもう忘れられないんだよ」

 神水流は首を回し、肩を回し、手を広げたり、拳を握ったりと、落ち着かない。神水流の中で神水流でないものが膨れ上がりつつある。

「僕だって反省はするんだ。後悔もね。あぁまた人を殺めてしまった、命を奪ってしまったって。もうしないぞって。金輪際こんなひどいことするもんかって」

 神水流はジャケットの左袖をまくって見せる。

「殺人を犯した後は落ち込んたしまってね。戒めに腕に釘を刺すんだ。鬼人だからすぐに傷跡が消えてしまうのが恨めしいよ」

 神水流はスラックスの裾をまくって見せる。

「足にはね、内側に鋭い棘の生えた革ベルトを巻くのさ。知り合いにSMショップを経営してる人がいてね。彼のおすすめ品さ。これも巻いてる時はとんでもなく痛いんだけど、はずすとすぐに傷が治ってしまうんだ。せめて傷痕がいつまでも残れば自戒の念も続くだろうに」

 神水流は両手を広げて首を振る。

「傷が癒えるとね、また心がムズムズしてくるんだ。殺したい、奪いたい、壊したいってね。早くやろう、すぐにやろうって騒ぎ出すんだ」

 神水流は髪をクシャクシャと掻き乱す。

「止められないんだ、どうしても。どうしてもダメなんだ。とうしても」

 神水流は救いを求めるようにムーンライトに哀願の表情を向ける。

「我慢できないんだ。すまない。どうしても我慢できないんだ。病気なんだよ。僕は病気さ。だから許してくれムーンライト。僕を責めないでくれ」

 神水流は悲しそうな顔のままムーンライトに言った。

「黒い北極星と戦い給え。今ここで戦うんだ。生き残った方は許そう」

 神水流がTV番組のMCのように両手を広げる。

「若い仮面の女性鬼人がやり合うんだ。さぞかし面白いことだろう。どちらも簡単に負けられない理由もある。どうだい?妙案だろう?楽しそうだろう?観客は僕一人。僕の前で若い女子が二人、鬼力を尽くして殺し合うんだよ?いい!それはいい!いいぞ、いいぞぉ!楽しそうだ。自分でいたぶるのもいいんだが、互いに殺し合うところを見物するというのも素晴らしい!飽食と観劇と死刑見物で盛り上がっていたローマ市民の気持ちが分かろうというもんだ!」

 神水流の目が飛んでいる。もうすっかり享楽殺人者モードに入ってしまったらしい。ついこの瞬間まで、自分の享楽殺人思考を嘆いていたのに、今はもうニタニタと笑っている。

「さぁさぁ、ショータイムと行こうじゃないか。僕は明日も仕事なんだ。徹夜明けで仕事はつらいからね。君等も学校だろ?お、黒い北極星君は違うか」

 などと言いながらキッドに目を向ける。

「仕方ないなぁ」

 神水流がカメレオンの舌のように、突然爆発的なスピードで動く。

 あっと言う間にムーンライトの傍に立った神水流の標的は流星キッドの方だった。

「フッー」

 残像が残るほどの速さで繰り出される神水流の拳。流星キッドは最初の数撃を何とか受けたものの、かわしきれずに神水流の攻撃を食らう。神水流の拳が肩口に入り白い火花が飛ぶ。続けて腹に拳が吸い込まれる。キッドの全身がパッと白く発光し、X線照射を受けたように骨格が浮かび上がる。

 キッドの身体がギクギクと痙攣し、KOされたボクサーのように膝から崩れ落ちた。

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