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[Mission-080]

前回までのMission!


 観言を新たな仲間に加え、アルカ一行の戦いは幕を閉じた。

 そして次なる戦いの備えるのであった。

 これにて第五話完結です。

 次回をお楽しみに!

[Mission-080]

[Epilogue]


 軌道エレベーターSTT-03周辺の防衛を一手に引き受けていた地球防衛軍南アフリカ隊は、所属不明敵勢兵器(EWUP)-No.03の襲撃を受けて前線部隊はほぼ壊滅状態となった。

 しかしEWUPの直接攻撃を受けた基地司令部が、外壁等に罅などは生じたもののほとんど無傷だったのは奇跡に近い。

 それが急遽姿を現したEWUP-02が必死に守った成果というのは誰も知るまい。

 ともあれ、地球防衛軍は残った戦力や周辺の部隊を基地に総動員し、現在の状況を把握しつつ戦力の立て直しを図る方針を立てた。

 それと同時に前線部隊の救助隊を編成し、接敵した隊員からEWUP-03のより詳細な情報を集めようとしたのである。幸いコクピットからの救難信号は問題無く発信され、出撃した隊員はほぼ全員無事である事が既に分かっている。

 その例外が、操縦席から忽然と姿を消した訓練生、すなわち俺と言う訳である。よって訓練生の救助は他の隊員よりも優先順位を高められ、既に敵の姿が見えなくなったとはいえ、まだ油断は出来ない戦場の中、急ぎ動ける隊員が集められたのであった。その中には、基地の避難区画に退避していたCクラスのメンバーも含まれていた。

「いいか! 映像では同士撃ちによる敵機の破壊が確認された、しかしそれがこちらの油断を指そう演技である可能性は捨てきれない! また他にもEWUPが潜んでいる可能性は大いにある! 各員常に警戒を怠らぬように!」

 謎の機動兵器が激戦を繰り広げ、巨大な足跡や激突した衝撃で抉れた地面が広がる海岸線に、掻き集められた隊員が整列する。

「操縦席内には、一週間程度ならば過ごせる飲食物が用意されているが、操縦席から投げ出された場合は話が別だ! 重傷を負って動けない可能性もある、よって他の隊員を後回しにして救急性のあるパイロットF1、早矢金昴流の救助を最優先として動く!」

 部隊長の指示を受けて、隊員が一斉に敬礼する。

「また同所属のナビゲーターF2、三森観言も行方不明であり仲間の証言では一人パイロットの救出に向かった可能性が高いと思われ、こちらも同時に捜索する事となる!」

 その後、各班ごとに捜索範囲が指示され、列を作って各員の探索場所へと赴く。

 その表情には一片の油断も無く、緊張に引き締まり誰もが、勇猛果敢に敵機へと突っ込んで散ったパイロットの安否を思う気持ちが見て取れた。

 そんな隊員達の前に姿を現すのは相応の勇気が必要であった。

 物凄く気まずい。自分の誕生日会にいや実は日付間違ってますよと言い出す様な気まずさだ。

 しかしいつまでも隠れていられる訳も無く、結局同じ境遇の観言に物陰から蹴り出された。

「要救助者発見! もう一人の行方不明者の方もだ!」

 すぐに駆け寄って来たのはCクラスの皆であった。

「へっ、やっぱり無事だったかよ!」

「いやー心配したんだよ、通信も繋がらないし、回収された機体には乗ってなかったしさ」

「そう言えばいつの間に観言さん出て行ったんですの?」

 俺と観言をとり囲んで、口々に心配したと語る。

 その中から、颯爽と姿を現したのは早めに意救助されたメイであった。

「おお、お前も無事だったか」

 軽く挨拶するように手を上げると、メイは何も言わず至近距離まで近づいて俺の襟をつかみ上げた。 体格差の所為で、俺は軽々とメイに持ち上げられる。

「ちょっ、なっ!?」

 慌てる俺に、メイは鋭く睨みつけてきた。

「……誰が、助けろと言った!」

「えっと……」

 少し言葉に詰まった。まさか助けには言って怒られるとは思わなかったからだ。俺は険しい表情のメイとは対照的に、緩んだ表情で告げた。

「……助けるなとも言われてないはずだけどな?」

「貴様っ!」

「ちょっとメイ!」

「お姉さま!」

 仲間の静止を受けて、メイは俺を地面に降ろした。しかしメイはそのまま膝をつき、唐突に俺の胸に顔を埋めてきたのだ。

「……えっ!?」

 反応に困っていると、メイが小さい声で呟いて来た。

「……心配したんだぞ」

 その声音はいつもの凛としたメイと違い、屈んでいる所為もあってか年相応の少女のように見えた。

「そりゃ……悪かった」

 まさか俺なんかをメイが心配するとは思わなかった。撃墜されたふりをして戦線を離脱する手法は確かにあの場では最善だったかもしれないが、予想以上に仲間を心配させてしまった様だ。今後は別の方法を考えないといけないかもしれない。

「いや謝るのは私の方だ……助かった、しかし次は自分を守れよ、二度と私を助けようと思うな」

 そう言って、彼女は立ち上がった。その時には彼女はいつも通りの表情を取り戻していた。

「……違うな、次は私がお前を助ける、それぐらい強くなって見せる」

 その表情は先程の姿がまるで白昼夢でも見たかの様に、しっかりとしていた。しかし、メイの目元に微かに流れた涙が、現実であることを現していた。何だよ、ちょっと可愛い所あるじゃないか。

 このまま救助隊は他の隊員の救助に向かうらしい。訓練生全員の無事が確認され事で、俺達は基地へ帰るよう促された。

 さて、帰って教官のお小言でも頂く事で、今回の締めとしましょうかな。

 その後はもう訓練どころではないだろうから、軌道エレベーターSTT-04に帰還する事に成るだろう。

 いやはや散々なバカンスであった。

 皆口々に不満を述べていると、不意に観言が呟いたのだった。


「そう言えば何か忘れてない?」





 深度3000m。そこは主に深海と呼ばれている漆黒と蒼の境界線。

 外部はもはや光も届かない深海層であり、[アームストロング]君の発するライト以外の光源は見当たらない。

 眼下は何時まで続くかも計り知れない、奈落が口を開けて待ち受けている。

 外部は超水圧の世界であり、耐圧スーツを着ていても無事では済まない。しかしかと言って、水中運用を想定していない[アームストロング]君では、このまま海底まで沈んで行く事しか出来ない。やたらと頑丈に作ったおかげで圧潰する恐れが無いのがせめてもの救いだ。

「信じられない(Incredible)、アームストロング君よ、何処までも広がる蒼い世界だ、何と美しい……」

 最低限の生命維持装置以外は故障し沈黙する[アームストロング]君に、私は気にせず声を掛ける。

「きっとすぐに救助隊が駆けつけてくる、何せ私は人類の至宝だぞ、忘れ去られる訳が無いさ」

 計器が、深度5000mを超えた事を知らせてくる。機体が軋み、ゴォンと重く深い音が響いた。

「大丈夫さ(No problem)、このまま人類未踏の深海調査と洒落込もうじゃないか」

 機体設計上、耐圧性能は深海6000mまでを想定しているが、何せ機体各所が破損している。設計上の数値はあまり信頼できないだろう。ここで海底に到着すればいいが、もしこの下が物凄く稀に存在する海溝で深度6000mを超える深さの場合、救助隊が辿り着けるかも怪しくなって来る。

「フフフ、もし深海人とかが居たら私が人類代表としてファーストコンタクトをとる必要があるかもな、こんな事に成るのなら、もっとおめかししておけばよかった」

 呟きは、暗い海の闇に虚しく響いた。



[Mission- continue……]


[アルカの手記-080]


「な、何たる美味かっ!?」

「まー手作りってどうしても一層美味しく感じるっスよね」

「どうやら我は今まで勘違いしていた様だ、利便性に溺れ、楽に手に入ると言う既製品に染まってしまっていたようだな」

「おお、姫様目覚めたっスか!」

「そうだ我は目を覚ました、なるほど手作り、それが如何に非効率的であり、余計な手間が掛かろうとも、それには既製品には無い不思議な趣があるのだな!」

「姫様も一つ賢くなりましたっスね」

「これが手作りお菓子と言う訳だな!」

「いやこれカレーっスけどね!」



[続く]

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