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[Mission-079]

前回までのMission!


 辛くも機星を倒した昴流に、次なる困難が待ち受ける。

 果たして昴流達は、混乱する観言を見事説き伏せる事が出来るだろうか?

[Mission-079]



「全てはスフィアの元へ(オルシャルドリターントゥスフィア)!」

 照明の落とされた艦橋内で、アルカの声が響く。それと同時に無数のスポットライトが様々な色で彼女を照らす。激しい効果音と相まってアイドル顔負けの演出効果を見せ、ここがファルアタートの艦橋だという事を忘れさせる。

 浮遊する円盤の上に立った彼女は、両腕で髪を掻き上げる様にしてその場で一回転して見せる。すると髪から銀色の粒子が溢れだし、彼女に纏わり付く。そして銀色の衣装が変化し、どうやら勝利の祝いを意味しているのか、華やかなドレス風の恰好に変わった。

 衣装が変わると同時に、片手を突き出したお決まりのポーズで宣言する。

「さぁ、世界征服を始めようっ!」

 ここだけを見ればいつもの登場シーンなのだが。しかし今回は俺の隣に、その様子を唖然とした表情で見つめる観言が居た。

 第10機星(ソラ・グリフォン)を倒した俺達は、その残骸と大きく損傷した第9機星(ソラ・ソード)をファルアタートに回収した。そして地球防衛軍の増援部隊から逃げるように島を後にしたのち、いよいよ観言に事情を説明しなくてはならなくなったのである。とりあえず艦橋に観言を案内した所で、冒頭のアルカの登場シーンが行われた。

 観言は打ち上げられた魚の様にパクパクと口を開いて、説明を求むような表情で俺を見つめる。しかし困った事に、アルカのこの所業は当人の趣味としか説明のしようが無い。

「ふむ観言(みこと)よ、まずは其方の助力のおかげで我が戦士(エイン)が勝つ事が出来た、それに関して礼を言おう」

 素直に頭を下げるアルカに、観言は面食らって言い淀んだ。

「えっと……それは、どういたしまして?」

 感謝されれば謙虚に頭を下げる観言可愛い。

「そして申し訳ないが我等が正体を知られたまま素直に帰す訳にはいかんな」

「勝手に巻き込んでおいて何よソレ!?」

 観言の意見は至極ごもっともではあるが、そんな意見が通用するような相手ならば俺はそもそもこの場に居ないのである。

「さぁ選ぶが良い、世界を手中に収める我等が偉業に手を貸すか、もしくはこの場で物言わぬ躯と化すか」

 何故かこういう時のアルカの物言いは妙に様になっているから不思議だ。これでは完全に世界征服を狙う悪の組織認証されかねないので、俺の方から観言にフォローを入れる。

「俺達はあの異星人の兵器が地球で暴れるのを阻止しているんだ、だから今色々とこっちの事情が漏れるのは困る、だから頼む観言、今回の事は皆には黙っていてくれ!」

「それで何であんたはこいつ等の仲間になってるわけ? それが一番腑に落ちないんですけどっ!?」

 それはまぁやむにやまれぬ事情がありまして。

「昴流は我が頼みを聞き入れ、我が剣となって共に覇道を進む事を約束したのだ」

 いや確かに機星に乗って戦う事は承諾したが、誰もそこまでは約束していない。

「はぁーっ!? 私の知らない所であんた何やってんのよっ!? これだから男って奴はっ! そんなに美人で背も高くてモデル体型で巨乳で銀髪がいいのか!!」

 むぅなんか八つ当たりされてる気がするんだが。

「誤解しないでくれ。俺はこいつ等の仲間になったわけじゃない、だけど、お前も見ただろ? こいつらの兵器に対抗出来るのは同じこいつらの兵器しかないんだ、そしてそれを操縦出来るのが俺ってだけだ」

「本当にー?」

「ああ操縦してるだけだよ、ほら、実戦も積めるしKRにも活かせるからさ」

「地球征服に興味も無い?」

「今さらこんな地球征服してもしょうがないだろー」

「人類を敵に回したわけじゃないのね?」

「ああそうだ、俺だって人類だよむしろ人類を守るために戦ってんだ」

「彼女の色香に惑わされても居ない?」

「そ、そんなわけないだろ俺にはほら観言さんと言う美人でも長身でもモデル体型でも巨乳でも銀髪でもないけど凄く魅力的なクラスメイトが居るんだぜそれなのにあんな絶世の美人にげふぅっ!?」

「……まぁいいわ」

 俺の脇に肘鉄を撃ち込んだ恰好で、彼女は嘆息しながら呟いた。

「……そっか、つまり昴流は彼女と一緒に居るのは協力関係なわけで、脅されて関係を強要されてるわけよね? そんなの感情の伴わない打算の関係みたいなものよね? ならまだ私にもチャンスはあるって事よね?」

「えっと、観言さん?」

 唐突に俯いてブツブツと何やら呟くクラスメイトの変調に戸惑って声を掛けると、彼女はすぐに起き上がりこちらに向き直った。そして出来の悪い弟でもみるような表情を浮かべる。

「……協力してあげようじゃない、美人で魅力的なクラスメイトの助力なんて百人力でしょ? 感謝しなさい!」

 いつも通りの恩着せがましいお姉さん口調は、まさしく観言らしい物言いである。

「それで協力するっていったけど何をすればいいの?」

 観言はとりあえず大仰な椅子に踏ん反り返っているアルカに問い詰める。

「うむ、協力感謝する、さし当たってはこれをもう一度渡そう」

 そう言ってアルカが差し出したのは、機星より回収されたC(キューブ)であった。

「これはまた持ってればいいの?」

 受け取った観言は、チェーンでネックレスのように首にかけるとC(キューブ)を胸元にしまい込んだ。

「うむ、今度はちゃんとC(キューブ)の反応をシールドするように設計した、もう機星に狙われる事も無いだろう」

「え、ちょっと待って、って事はあの敵って私を狙って来てたっての!?」

 ああもうアルカめ余計な事を、言わなければ気づかなかったというのに。

「だから言ったろそれ呪われてるって」

「そんな言い回しで気づける訳ないでしょ! もっと具体的に注意しなさいよ!」

 異星人関係の単語を使わないであの場合どう説明しろっていうんだ。

「さて、回収した第10機星(ソラ・グリフォン)C(キューブ)は一体誰に渡した物か」

 そう言ってアルカの手の中で三つ目のC(キューブ)が輝く。

 確かC(キューブ)は人間に持たせないとS粒子を生成してくれないんだったか。物凄く大事なものではあるが、ここに大事に保管しておく意味が無いのだ。意外に扱いの難しい宝物だ。

「じゃ芦屋にでも私から渡しとこうか? 昴流も持ってるしチームでお揃いって事で」

 そう言って観言はあっさりとアルカからC(キューブ)を受け取る。

「あいつそういうの身に着けるか?」

「そこは頭の使い様よ、ストラップにでもして常に持ち歩いてる物にでも無理やりつければいいし、御揃いの記念品って強調しとけば乱暴な扱いはしないでしょ」

 自分が巻き込まれる事には批難の声を上げるのに、他人を巻き込む事には一切の迷いも無い観言さんマジカッケェー。

「って言うかここ海の中だけど、私達ちゃんと基地に帰して貰えるのよね?」

 観言は艦橋から見える海中の光景を見ながら心配そうに尋ねてくる。そう言えばそろそろ救助隊も動き出してる頃合いだろう。

「そうだな、アルカ俺達を基地まで転送で送ってくれ」

 このまま二人で基地に戻れば、居てもたってもいられず危険を承知で飛び出した観言が、基地に自力で戻ろうとした俺と無事合流を果たしたと言う一見無茶だが筋は通っているシナリオで押し通せそうだ。

「ふむ、そうしてやりたいのはやまやまなんだがなぁ」

 珍しくアルカは歯切れ悪そうに言葉を詰まらせる。それに代わるように、虚空に大きなモニターウィンドウが出現し、人によって可愛いと思うかもしれない不気味なマスコットキャラが姿を現した。

〈現在、転送システムは連続運転の所為で破損しております。戦闘状況が終了したと同時に修復作業に入って羽織りますが何分非常にデリケートなシステムですので、完全な修復には地球時間であと三日は必要となります〉

「やだ何これ可愛い!」

 観言は突如現れたマスコットキャラに釘付けになる。その意見には俺は賛同はしかねる。マスコットはまんざらでもなさそうな表情でアルカに進言する。

〈まったく姫様、この様に地球の者をおいそれと船内に招くのはご遠慮頂きたい〉

 マスコットキャラが嘆くような仕草にさらに観言がはしゃぐ。いや、そんな事よりもこいつ等今なんて言った?

「ちょっと、おい転送装置が故障ってマジか!?」

「そう言ったぞ、本来はファルアタート自体を転送するシステムだからな、短距離で人体とはいえ計り知れない負荷を掛ける様だ、この際改良も視野にいれた方が良いかもしれんな」

「それじゃぁ俺達はどうやって基地に帰ればいいんだよ!?」

〈ファルアタートを人目に晒す訳にはいきませんからな、監視の目を掻い潜り島の端にでも降ろすしかないかと〉

「この島直径何キロあると思ってんだ……!」

 かくして俺と観言は、一難去ったあとのまた一難へと挑まなくてはならないのであった。



[アルカの手記-079]


「ふむ、フライドポテトなのだがな」

「なんスか?」

「ポテトチップスには薄塩からコンソメに、海苔、梅、めんたいと様々に味があるではないか?」

「そうっスね」

「手作りでもそれらの味が再現できぬものか?」

「まー仕上げの時に塩じゃなくて各種の味を付ければ出来ると思うっスけど、とりあえず最初の一品の完成を目指さないっスか?」

「我が作る以上は生半可なモノでは満足出来ん! より独創的な、誰もが驚愕しそして震えるような物を提供してこその皇機種(ルーラー)なのだ!」

「うわ面倒臭いっスね、そういうのって料理失敗する人の考えなんスよね」

「何か他には内容な味付けをしたいのだ! そうでなければ市販品と同じで面白くないではないか!」

「あ、じゃあカレー粉で味付けしてカレー味とかどうっスか? これならあんまり市販品にはないんじゃないっスか?」

「なるほど、では食材に味を付けるとしよう」

「って、あーいきなり鍋に放り込んで……あーあー、カレー粉入れちゃった」

「何だ? 味をしっかりつける為にはよく煮込まないといかんだろう?」

「まぁ料理の基本としてはそうっスけど……」

「どうだ、良い匂いがしてきたではないか?」

「そうっスね、じゃがいもににんじんに玉ねぎ……あとは豚肉でも入れるとカレーが出来上がりますね」



[続く]

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