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[Mission-075]

前回までのMission!


 機星に乗り換えて再戦に挑む昴流。

 しかし敵機の動きはこちらの予想を超えて素早く、苦戦を強いられる。

 海中に活路を見い出すが?

[Mission-075]



 機体を海に突入させると、不思議な浮力が働いて、海面を滑る様に機体が動いた。異星人の機体には、水の上を地上のように走るシステムが搭載されているらしい。ホバーで浮くと言うよりは、海面に対して反発力が生じている様な。

 ともあれこれによって機星は海面上でも機動力が失われないらしい。しかし、今回はそれじゃあ困るのだ。

「おい、この海に立つシステムはOFFに出来ないのか!?」

 俺の問いかけに、スミスが戸惑いながら答えた。

〈何故切る必要があるかは不明だが、機体環境設定を弄ればいい〉

「これだな」

 言われたコンソールを操作すると、唐突に機体が海面に沈み始めた。咄嗟に機体状況を確認するが、浸水や水圧等による破損は見受けられない。流石は宇宙から飛来した異星人の機体だ。

〈どうするつもりだ!?〉

 スミスの問いかけに、俺は不敵な笑みで答えてやる。

「あいつに地球環境の厳しさってやつを教えてやるのさ、それよりもこの先に停泊している二隻の輸送艦のシステムは掌握出来るか? あと乗船員が残っているか調べてくれ」

〈その様な事は造作も無い……乗船員は既に全員退艦しているようだな〉

「よし、なら存分に利用させて貰おう」

〈しかし、この艦には武装の類は搭載されていない様だが……?〉

 何も火器や爆弾だけが武器ではない。この場合は地の利を生かすと言った形になるが。

 敵が海上を追いかけているのをセンサーで確認して、目的地へと急ぐ。

 センサーが海上に浮かぶ輸送船を捕らえた所で、機体をより深く潜航させた。流石に出力が半減中の機体で、海中では水の抵抗もあり海上を走る敵にすぐに追いつかれてしまう。しかし俺は敵の足元深くに潜航している。飛び道具を持たない敵機ではどうしようもないだろう。

さらに対KR戦闘を思い起こせば、電波欺瞞煙(チャフ・スモーク)で視界が塞がれた際に動きを止めていた。これにより熱感知等が搭載されているとしても、敵が少なくとも光学情報をメインに動いているのが分かる。ならば足元、しかも海中と言うのは光が届きにくくまさに死角と言える。

〈どうした自称皇機近衛兵(ヴァルハ)よ! 海中に隠れて引き籠って居ては私には勝てんぞ!?〉

 海中をにらみつけて叫ぶ声を聞きながら、俺は機体椀部にS粒子で生成された刺突型の刃を展開させる。これは本来引き抜いて剣を生成する物だが、流石に拳を生成する余力は残されていない、しかし切れ味こそ落ちるがこれが現状唯一敵の装甲を切り裂ける武器なのだから我慢するしかない。

 戦闘の最中だと言うのに、海中は妙に静かであった。いや、機体の周りは様々な海流が激しく渦巻いている。しかし昼間にこの辺の海流のあしらい方を体で叩きこまれた俺にとってはこんなのはハンモックの揺れの如く穏やかに感じる。

 俺は潜航する機体をUターンさせて、海上に向かって一気に加速させる。狙うは敵の胴体、海中と言う死角から繰り出される見えざる刃だ。油断しているその土手っ腹に風穴を空けてやる。

 刃を掲げて海中を進み海面に出る直前、敵もまたこちらの様子を探ろうと全センサーを集中していたのだろう、海中を見つめる敵機と、視線が合った。

 盛大に上がる水柱と共に海上へと飛び出した。

〈残念だったなぁ!〉

 しかし奇襲は寸前に敵に察知され、身体を逸らした敵の胴体を浅く切りつける程度に終わった。だが、これで終わりでは無い。

「まだまだぁ!」

俺はさらに海面に展開した刃を叩きつけて、再び水柱と刃の粒子振動で濃霧を作りだす。

〈く、こざかしい真似を!〉

 敵が視界不良に陥った隙に、再び機体を海中へと沈める。

〈同じ手が通じると思うな!〉

 今度は敵も海中へと追いかけてきた。

 しかしこれこそが作戦である。

 いくら地上環境に適した機体とは言っても、地上を駆け抜け空を飛べた上に海の中も自由自在と言うのは上手過ぎる話だ。あのデザインから見ても、海中を泳げるように出来ているとは思えない。一応この機体と同様にブースターで水中を進む事は出来るだろうが、そうなれば条件はこちらとほとんど同じである。こちらはブースターの出力が落ちてはいるが、地上でのあの圧倒的な性能さに比べれば補えないレベルではないだろう。さらに言えば、こちらには現場で収集した海流が及ぼす水中挙動の影響や、それを利用したスムーズな機体制御が八時間ほど蓄積されているのだ。

〈逃げ回るな!〉

 突進してくる敵を海流に乗ってかわす。

 やはり思った通り、敵は海中での動きがまだ不慣れの様子だ。

「その身体構造で、魚よりも速く泳げるんなら見せてみろ!」

 ブースターによる最小限の機体制御で、海流に翻弄される敵機の背後へと回り込む。そして敵がこちらへと向き直るよりも早く機体を接近させ蹴りをお見舞いする。

〈このっ!〉

 敵が咄嗟に爪を繰り出すも、海流に煽られ水の抵抗も受けてかなり貧弱な攻撃となる。地上で受けた脅威を微塵は感じられない。

 機星と言う兵器の特徴として、巨体のわりに恐ろしいほど軽量であるという事が上げられる。全長ですらKRの二倍ほどあるのにもかかわらず、実際に計ったわけではないが半分ほどの重量しか無いように思える。これは先程の敵が見せた軽快なアクロバティックな動きを可能とし、僅かなブースター出力で容易に加速が行得ると言う利点に繋がる。しかし軽いという事はすなわち踏ん張りが効かないという事でもある。機星はそれこそKRとは比べ物にもならないパワーを持ってはいる。しかしここの様な激しい海流によって常に外側から力を受ける場合、機体の軽さが仇となる。

「何処を狙っている!」

 そんな貧弱な攻撃を掻い潜り、さらに懐へと肉薄する。

 敵は何とかブースターで姿勢を制御しようとしているが、機体の軽さが災いして海流に流され上手く動けないでいる。いくら機体がKRを上回るパワーが出せても、地面などに接地していない限りは発揮出来ない。そして俺の機体よりも巨体である敵機が受ける海流の影響は俺の機体の比では無い。そしてもがくしか出来ない敵に展開した刃を叩きつける。

「脇が甘い!」

〈オノレ……!?〉

 さらに追い打ちを掛けるように、機体の上体を捻り海底のとある地点へ向けて蹴りを叩きこむ。敵は勢いを殺せぬまま蹴り込まれた先、金属のパーツが無数に格子状に組み上げられた所へと激突する。

そう、ここは昼間に俺達が組み上げた沈没船のサルベージポイントである。

周囲一帯は俺達の頑張りによって、無数の格子状の構造体が檻の如く張り巡らせてある。沈没船は格子状の補強パーツで覆われ、海中に固定されたように浮かぶ。傍目にはちょっとした要塞の様に見えた。

〈な、何だこれは!?〉

 沈没船を支えるパーツは非常に強固に出来ており、さらにそこを海流が通り抜ける事で複雑に変化し一度迷い込めば抜けだすのが非常に困難な牢獄とかす。

「お似合いだぜ!」

 俺はパーツを伝って海流に逆らわない様に檻の中を進む。

〈舐めるなよっ!〉

 敵機はめちゃくちゃに爪を振り回し、パーツを破壊しながらこちらへと近づいていく。俺は距離を保ちつつ誘導する様に、檻の中を逃げ回る。同時に狙った場所で腕に展開した刃を振るいパーツを適切に切断していく。

 時間を掛けて構築した補強パーツではあるが、この状況じゃサルベージ作業は続行不可能だし、所詮装甲艦などは旧文明の戦いの道具でしかない。技術的な価値はあっても文化的な意味など無いだろう。ここは世の平和の為に利用させて貰う。

〈ついに追い詰めたぞ! 観念するがいい!〉

 俺の機体を爪の射程距離に捕らえた獅子型機が勝ち誇ったように宣言する。

しかし敵は気づいていない様だ、今この場に微かに響いている破滅の音色に。

 装甲艦下部の補強パーツは敵の猛攻により夥しく破壊され、穴だらけとなった。海流の通りも随分と通りがよくなり、装甲艦が大きく揺れる。それにより補強パーツは静かに崩壊の序曲を奏でている。

敵は真っ直ぐに俺の機体へと襲い掛からんと、突撃の姿勢をとる。

 しかしこれこそが狙いだ。

 この補強パーツは、サルベージ対象を補強すると同時に海流を分散させ船体に負荷を掛け無いように組み上げられている。今回俺は敵機や展開した刃を使って、あえて組み上げ時の指示とは逆に船体に負荷を掛けるように解体したのだ。その結果支えを失った装甲艦は海流に煽られて今にも倒れそうになっている。

「さて、追い詰められたのはどちらかな?」

 そう言って俺は、機体背後の補強パーツを刃で立ち切った。

 完全に支えを失った装甲艦は、ゆっくりと落下し始める。補強パーツを巻き込みながら、次第に音を大きくさせ、やがては周囲一帯を巻き込んだ破壊の足音を響かせる。

 旧文明の装甲艦とはいえ全長400mはある大型艦である。その重量は10万トン以上。さらに補強パーツを巻き込みながら落ちてくる衝撃で海流を掻き乱し、下からの脱出を困難にさせる。

 俺は自機のバリアーを展開して、なるべく被害の少ない方へと機体を移動させる。

 正面からぶつかれば重い方が強いのがこの世の法則である。軽いという事は、すなわち大きな衝撃や質量に弱いという事だ。機星はバリアーと高出力のブースターによってこの弱点を補っているが、この獅子型機は全方位にバリアー張れないらしい。ならば。

「自重の一万倍の質量に押し潰されて、押し花みたくなりやがれ!」

〈き、貴様ぁぁぁっ!?〉

 敵の悲鳴は、雪崩れ込む装甲艦と補強パーツの巻き起こす衝撃と地響きによって掻き消された。




「おお、見よ我が戦士(エイン)が押しているぞポリポリ」

「おっとぉ、結構やるじゃぁないっスかパリパリ」

「ふふん、どうだ地球人も結構やるであろう? パリポリ」

「いやいやギオルさんもまだまだ実力を、んん、喉に詰まったッス水水……」

「いやいや昴流もまだ実力をかくして、お、チップスが無くなったぞ、お代わりを用意せよ!」

「今良い所じゃないっスか、席立ちたくないないっスよ」

「何だと、我にクライマックスをポテチもポップコーンも無しで観ろと言うのか!?」

「あーもう、急いで取りに行きゃいいっスよー」

「ちょっとトイレにも行きたいのだ! 仕方あるまい、一旦録画して戻ってきたら録画した所から見直そう」

「いやこれ実況じゃないと意味ないっスから!?」



[続く]

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