[Mission-046]
前回までのMission!
俺がこんな雑魚が集まるゲームで負けるわけないだろwとか舐めていた昴流は、突如乱入してきた漆黒の機体を操るプレイヤーに見事に敗北する。昴流は相手の動きに、今まで散々負けまくった漆黒の乱入者を見た。対戦相手を探し出し詰めよろうとしたが、相手はこちらをはぐらかし人混みに消えてしまう。
[Mission-46]
ブース内に戻って、しばらく歩き回って居ると、割とすんなりアルカを見つける事が出来た。
彼女は、隣の景品ゲームのブースにてクレーンゲームに心を奪われていた。
大きくて透明な箱の中に、大小様々なヌイグルミが山積みになっており、それを稼働するアームで掴み上げて取り出し口に持って行くってゲームだ。
「何をしてる、っていうか勝手に何処かに行くな」
「おう我が戦士よ、これはどうやって操る物なのだ!?」
そう言ってアルカは、ケースの中のアームを指さして俺の袖を引っ張る。
「そりゃここに携帯端末をかざしてコインをチャージして……って携帯端末持ってねぇのか、仕方ないな」
そう言って俺の携帯端末をかざして、プレイ料金を投入してやる。
「それでそのレバーとボタンで動かすんだよ」
「なるほどな」
呟いて早速操縦に取り掛かる。しかし、アームは何一つ景品に掠る事無く元の位置へと戻っていった。
「むぅもう一回だ!」
「はいよ」
コインをチャージする。
「もう一回だ!」
「はいはい」
「もう一回!」
「いや」
「もう一回やるぞ!」
「おい……」
「まだまだぁ!」
「いやこれただじゃねぇんだぞ! もういい代われ!」
そう言ってアルカを押し退けると、マシンの操縦桿を握る。
「で、どれが欲しいんだ?」
「何? ここに在る品を貰えると言うのか!?」
いやだとしたら今までコレで何をしてたんだよ。
「ならばこれだ、これを手に入れよ」
「あいよ」
アルカが指さした商品に向かって、アームを動かす。そもそもこういったゲーム機と言うのはある程度操作にコツという物があり、さらに言うならば機械に多少設定があって連続していくら投入したかでアームの掴む握力は変更されるのだ。今回はかなり連続して遊んでいるので、恐らく大抵の商品は落とさずにつりさげられるはず。狙いを定めて降下ボタンを押すと、見事アルカの欲しがった火星由来の変なヌイグルミが取り出し口に落ちてくる事となった。
「お、おおおお! 今初めてお前が我が戦士で良かったと心の底から感じだぞ!」
「マジでっ!?」
だとしたら俺ってどんだけ評価低かったんだよ。
そこに。
「ああー!」
ドカドカと聞きなれた足音が響く。
「いつの間にか居なくなってると思ったら、何かカップルみたいな事してる!」
両手に紙袋を抱えた観言が、何やら言いがかりをつけてきた。そして、アルカが抱えてるヌイグルミを見てさらに声を張り上げる。
「さらに景品まで!? 私もまだ貰った事無いのに!」
「いやだってクレーンゲームのコツ観言から教わったんだぜ、自分でとれるだろ」
「そういう事じゃないの!」
わっけ分かんねぇ。何で俺が30分でクレーンゲーム空っぽにして店員に嫌な顔される観言に、景品をとってやらなきゃならんのだ。
「そう言えば先程からつっかかって来ていたな、貴様は何者か」
そこで初めて、アルカは観言に興味を持ったようだ。彼女を正面に見据えて問いかける。
「わ、私は……三森観言。こいつ、昴流のパートナーよ! わ、私が一番上手くこいつを使えるんだから!」
パートナーなら共に強くなるとかそんな感じの事言って欲しかったな。
「ほう、我が戦士の相棒と言う訳か、ならばそれなりの待遇をしてやらねばならないな」
そう言ってアルカは観言に近づく。
「な、何よ……!」
「私では景品をとってやる事は出来んのでな、代わりと言っては何だがこれを渡そう」
アルカは制服のポケットからチェーン状の装飾品をとりだした。
チェーンには宝石のような結晶体、金属の枠に填められた銀河の如き光を抱いたCが取り付けられていた。
「え、何……これ、綺麗……だけど、い、いやこんな高そうなの貰えないっていうか、え、何で!?」
慌てて硬直する観言に、アルカが優しく話しかける。
「大丈夫、友愛の証としてしばらく預かって貰うだけでいい」
そう言って観言の首に可愛い装飾の施されたチェーンを付ける。
「え、あ……はい……」
観言は暫く呆然としていたが、やがて自分の首に掛けられた装飾を手にとってにへっと笑顔になった。俺はその隙にこっそりとアルカに耳打ちする。
「おい、いいのかアレ大事な奴じゃないのか!?」
第9機星のCは俺が持っているから、あれは恐らく第8機星のであろう。
「大丈夫だ、あのチェーンは私のSMで出来ている、例え世界の果てに消えようが見つけ出す事が可能だ。私が持っていてもCは反応しない、二つ同時に持つのは分散して効率が悪いからな、丁度誰か渡す相手を探していたのだ」
ふーむ。それなら問題は無さそうなんだが、しかし観言をこの異星人の厄介事に巻き込むようで、何とも気が引ける。
「観言、その装飾たぶん呪われてるぞ」
「はぁ!? アンタいきなり何言ってんのよ! これは在琉華さんとの友好の証なのよ! それを悪く言うなんて信じられない! 価値観腐ってんじゃないのっ!」
折角忠告してやったと言うのに、酷い言われようだ。
まったく装飾品一つでこうも簡単に絆されるとは、これだから女はと呆れる。しかし同時に、なるほどこうやって手勢を集める訳だなとアルカの人心掌握術に舌を巻くのであった。
[アルカの手記-046]
「うむ、これで我等の戦力も着々と増強されるであろうな」
「いいんスか? 渡したあれって僕のCっスよね?」
「別に問題は無かろう? 少なくともこの星に在れば何処でも探知出来るし、我々でも加工出来なかった物を地球人がどうこう出来るとは思えんが」
「いやーそういう問題じゃなくてっスね、例えばうっかり排水溝に流されたりしたらっスよ? 下水に回収に行くの姫様なんスけど」
「お、おおおお……そ、そこまでは考えていなかった!? だ、大丈夫だろうな!?」
「いやまぁ見た目結構綺麗なんで、そうそう手放したりはしないと思うんスけど、定期的に大時にしてるか確認した方が良いんじゃないっスか?」
「そうだな、我も以前指に引っ掛けて振り回していたら指から外れてどっかに行ってしまった事があってな」
「いや何やってんスか」
「あの時は物凄く怒られてな、見つけるまで帰って来るなとまで言われる始末だ、仮にも姫なのに酷い扱いだとは思わんか?」
「いやーそれが心臓部である僕等から言わせて貰えれば、妥当ってかむしろ生温い処置かと思うんスけど」
「それからだな、Cの位置情報を特定する仕組みを搭載し安心して運用できるようにしたのは」
「ええー、そんな下らない事が原因でつけられた機能なんスかソレ……」




