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[Mission-035]

前回までのMission!


 可能な限りの準備は終えた。後は敵に立ち向かうのみ。

 ここから先、勝利か敗北の二択のみ!

 行け昴流!

[Mission-035]



 視界が開けると、そこは放棄された市街地区だった。

 過疎化した地球には、こういった旧都市群が所々に点在している。SEの基地でなかったのは幸いと言う所だ。ここなら思う存分に暴れられる。

 敵の目前500Mという事もあり、転送された瞬間にはモニターに蜥蜴型の機星リザードフリスの姿が表示される。ファルアタートの転送機能で突如として現れたと言うのに、敵はそれを予見していたかの様に冷静に尻尾の切っ先を向けた。

「遅い!」

 操縦桿を倒して、敵の尻尾から放出される光線を避ける。そのまま機体の軌道は大きく側面にそれる。俺は機体の脚部を地面に着けて、地面を抉りながら方向修正を行う。粉塵が舞い、ドリフトしながら機体を敵へと向き直らせる。

〈フフフ……待ち侘びたっスよ〉

 敵から通信が入る。

〈もうミストでもスミスでも姫様でも関係無いっスよ、壊してバラして、纏めて圧縮しちゃえばぁ、どっちにしろ同じッスからねぇ!〉

 狂気に満ちた敵の咆哮を受けながら、俺は冷静に機体の計器を見る。エネルギー残高、機体耐久値、出力設定、それらを頭に入れて次の動きを考える。

 片腕の盾を起動準備、ブースター機動準備、稼働限界タイマーセット。

「行くぞ!」

 地面に縛り付けていた機体を、重力から解き放つ。吹かしたブースターが、猛獣の如く雄叫びを上げる。地面を跳ねる様に敵機へと距離を詰める。敵の射撃を野生の勘とブースターの緊急回避で避けて、無理やりの回避行動で機体が回転するのも構わずに敵へと肉薄する。

 一瞬敵機の頭部、そのスリットの奥の輝きと俺の視線がぶつかった気がした。

「さぁ――」

〈さぁ――〉

 言葉が合わさる。

〈「楽しもう(っス)!」〉

 機体椀部の装甲を展開、結晶状の機関からS(ソラン)ソードを機動する。機体の手に煌々と輝く剣が形成された。

〈させないっスよ!〉

 敵機の尻尾が、地面を擦る様に薙ぎ払われる。仕方なく機体をブースターで浮かび上がらせてその攻撃を回避した。無防備に空中に浮かぶ所を敵が見逃すはずも無い。直後に尻尾の切っ先で居抜いて来た。

 槍の如く繰り出される攻撃を、手に装備したバックラ―で弾くように受ける。火花と共に衝撃で機体が大きく揺れた。衝撃で戻された分をブースターの加速で押し返す。尻尾をバックラ―で弾いた勢いを機体の回転に加えて、落下の速度と振りの勢いに乗せて敵機へと剣を振り下ろす。

〈シャアアアアアア!!〉

 敵から、見た目相応の化け物じみた威嚇が響く。それと同時に敵の両腕から、刺突剣が飛び出した。咄嗟に片方を光剣で切り払い、もう片方をバックラ―で防ぐ。頼みの盾は正面から刺突剣に貫かれ砕け散った。残骸が煌めく中、俺の攻撃を敵は首を反らしてかわした。直後に背後から迫った尻尾の刺突を、半ば無意識に機体を伏せさせて回避する。

 互いに勢いのままブースターですれ違い、距離を置いて回頭し対面する。

 ここまでで約一分半が経過。S(ソラン)粒子残量70%。まだまだこれからだ。

 敵は、頭部のスリットを怪しく発光させ、体の各所を目いっぱいに展開させ、咢を開いて粒子の吐息を漏らしながら威嚇の如き咆哮を上げる。大気を振るわせてから告げる。

〈……第8機星(ソラ・ソルジャー)、絶対鱗の尖兵(リザードフリス)行くっスよ〉

 敵が改めて名乗りを上げる。その様子は神妙にして真摯、高潔にして豪傑、背後から伸びた尻尾は、騎士の構える槍の如く聳え立つ。その尻尾の切っ先が展開し、俺の機体のSソードと同様の輝く刃が起動する。その切っ先が改めて俺に向けられる。

「……第9機星(ソラ・ソード)、夜霧の(ナイトミスト)貫く!」

 戦闘継続可能時間は残り一分。互いに限界まで全力でぶつかる所存だ。

 それまで流れていた曲が終わり、次の激しい音楽が流れ始める。

「――OK, let's run the sky♪」

 無意識に唇が、歌を口ずさむ。勿論意味なんて無い。

 ペダルを全開まで踏み込んで、操縦桿を前へと倒す。直後に機体を斜め前方へ、緩いカーブを描く様に機体を敵の懐へ潜り込ませる。

 敵をそれを迎撃せんと、全力で尻尾の先の刃を伸ばす。

「――That sky which opens forever♪」

 その一撃を剣で弾き、弾いた勢いを殺さずに敵の背後へ機体を捻り込む。

 敵の腕から伸びた刺突を躱し、返す刃と敵の尻尾の切っ先が激しく切り結ぶ。粒子が弾け、画面が眩い光に照らされる。互いに残光が消えぬ内にはもう次の攻撃を振りかぶっていた。目も眩む剣閃、気迫の籠った斬撃、交差する切っ先。一撃一撃に全力を込める、そしてどの一撃も全力で防ぎかわす。その攻撃のどれも一撃必殺である。互いに触れれば致死に至る殺意を込めて、加速する手数の中、刹那の勝機を探り合う。

 その無数の剣戟の内の、俺の会心の一撃が敵の攻撃を大きく弾く。敵の尻尾が再びこちらに達する前に、返しの刃が敵を捕らえた。その一撃が敵を貫く寸前に、敵の姿が掻き消えた。

「気を付けろ! 姿を消した奴はこちらからは見えん!」

 背後でアルカが叫ぶ。





[アルカの手記-035]


「うむ、私もあの様に颯爽と機星を操りたいものだな」

〈おお、姫様もついに真面目に訓練を受ける気になりましたか!〉

「しかしあの座席は二人で乗り込むにはかなり手狭であったしな、操縦席を複座に改良は出来ないものか」

〈姫様、その様な事をなさらずともご自身で操縦すればよろしいかと〉

「私はやつの操縦を間近で見て感じたのだ、本物のパイロットの操縦の如何に素晴らしく美しいかをな」

〈まぁ確かにあやつ目の操縦には一目を置きますが、しかし姫様もそのくらいの腕前を身に付ければよろしいかと〉

「あの様な光景をあやつが独り占めするのはズルいではないか! 我ももっと堪能したいぞ!」

〈つまり……ご自身で操縦はしたくないという事ですか〉

「そもそも我が操縦してもあのように綺麗な動きが出来んのだ、むしろ我の操縦では外の景色を堪能するどころかかなり酔う」

〈姫様も一応正規の機星の操縦者なのですが……〉

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