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[Mission-023]

前回までのMission!


 ミサイル迎撃の任務開始! しかし早々に3番機が、そしてミサイルに取り付いた1番機が敵に迎撃されて戦線を離脱する。この圧倒的不利な状況でどうする昴流!

[Mission-023]



〈1番機作戦領域外へロスト〉

〈[コスヴァズ]の掌握率は12%よ〉

〈[フリゲート]最高速度維持限界まで後3分を切りました〉

 戦力比は2対4。中々厳しい戦いになってきた。

〈キャッ!?〉

〈2番機被弾! お姉さま大丈夫ですの!?〉

 ミサイルを挟んで反対側で、2番機も敵機の射出したワイヤーネットに捕らわれた様子だ。

〈しまった油断した……く、ブースターの制御が上手く行かない……ああもう、無理〉

 何時にも無く覇気の無い呟きと共に、2番機がレーダー外へと消えていった。そんなに狙撃銃持って来れなかったのが不服だったのだろうか。

〈2番機速度低下……あー作戦範囲外へロストしました〉

 おいおいおい、ついに俺一人かよ。

 敵機は最後に残った俺を仕留めようと、一斉に襲い掛かって来ていた。

 散発的な銃撃を、姿勢制御だけでかわす。そんな殺気の籠ってない攻撃に当たるかよ。

「じゃちょっとだけ……」

 敵は残った一機を焦って仕留めようとして、互いの連携を乱していた。遊撃役2機の射線が重なっているのがその証拠だ。その隙を逃さず俺はペダルを限界まで踏み込む。

「頑張りますか!」

 こちらを迎え撃とうと減速する敵に向かって一気に距離を詰める。ほぼ接触寸前まで近づいて素早く手足を展開、リアアーマーに仕込んだ高周波ダガーを展開の動作で両腕に装備し、その勢いで手前の一機を切りつける。

「脇が甘い!」

 そのまま後方のもう一機へ肉薄、直線状に重なったのが運の尽きだ。2機の動力炉をすれ違いざまに損壊させて、ミサイルへと迫る。

〈4番機、敵二機を破壊ですわ……まったくもうちょっと早くやる気になって貰いたいものですわ〉

 通信で各員が歓声やら感嘆の声を上げる。

「チッ……」

 俺はと言うと己の未熟さに意気消沈だ。流石にこの加速状態では理想の斬撃軌道は描けなかった。軸が微妙にずれた所為か高周波ダガーは一回切り付けただけでエッジは欠け、フレームは歪んで使い物にならなくなってしまった。最もそれが普通なんだが。

 俺は両手の2本を仕方無く破棄する。猿真似ではやはりオリジナルを越える事は出来ないようだ。

〈最大出力限界まで後1分……〉

〈昴流急いで!〉

 言われなくても急いでいるつもりだ。

 残った迎撃を掻い潜り、機体を何とかミサイルに近づける。手足を展開して構造物の一部を掴み接地する。同時にほとんど燃料の無くなった追加ブースターをパージした。巨大な追加ブースターははるか後方へと飛んでいき後方でバラバラに砕け散る。

〈4番機ミサイル[コスヴァズ]に接触、システム干渉を再回〉

 モニター端のパーセンテージが再び上がり始める。さてと。機体の状況をチェック、無茶な挙動で、機体の各所に激しく警告文が表示されている。間接ももげそうだが、とりあえず気にせず任務に専念しよう。

 こちらから見てミサイル先頭側に、残った敵の迎撃機が接地しこちらと同様に追加ブースターをパージした。向こうもここで勝負を付けたいようだ。

「って事は白兵戦ってわけか」

 俺は機体のショルダーアーマーから、予備の高周波ダガーをとりだす。

 第三ラウンドの開始と行きましょうか。

 敵のKRは残す所二機。そのうち一機はミサイルの制御をうちのバックヤードと取り合っているのであまり動けないだろう。従って優先して排除するべきは目の前に立つ迎撃部隊一機。

 敵機は素早く、装甲内に格納していた折り畳み式のバズーカを構える。敵機が狙いを定める前に、俺はブースターを起動させ機体を敵機へと急接近させる。バズーカから放たれるワイヤーネットが開ききる前に高周波ダガーの刃を突き立てた。KR装甲素材に高周波振動を組み合わせた刃は、たかが合金繊維の網などは容易く切り裂く。紙は鋏には勝てない、これ常識。

 そのまま高周波ダガーを手に、敵機へと迫ろうとした時。

〈[コスヴァズ]内部に新たなKR反応……? これは――アンノウンですの!?〉

 咄嗟に画面を向けると、ミサイルの後部、エンジン付近の装甲板が一部展開し内部から何やら黒い機体が起き上がろうとしていた。

「おおう――サプラーイズ……?」

 対峙する敵機と俺の目の前で、招かれざる客。漆黒の正体不明機。元祖高周波ダガー使い。アンノウン[おりはるこん]がゆっくりとその身を起こした。


 思いは一日千秋、前回の雪辱を晴らす為に俺はここに立っていると言っても過言ではない。ここで会ったが百年目! いざ尋常に勝負勝負!

 と言いたい所だが。

「2対1はキツイ……!」

 漆黒の乱入者を前にしては、俺だって弱音の一つも漏れる。ってかB組は何時からこいつと手を組んだんだ!

 ゆっくりと距離を詰めてくるアンノウン機と、敵KRに俺は挟み込まれる。警戒すべきはミサイル前方の敵KRだ。ワイヤーネットに絡まれれば流石に勝機は無い、一刻も早く肉薄して撃破すべきだが、その間アンノウン機に背を向けるのは危険すぎる。かと言ってアンノウン機に向かうとしても、この強敵を刹那に処理出来ると過信するほど俺は愚か者では無い。交戦している間にも、敵KRの介入が来るだろう。幸いモニター端のミサイル掌握はゆっくりとだが進んでいる。追い詰められたからと言って焦りは禁物だ。むしろ後が無い時こそ冷静に、相手の動きをよく観察し一瞬の隙を狙う。

 敵KRも突如現れたアンノウン機にどうしていいか戸惑っている様子だ。両者が協力関係にあるかどうかはさておいて、妙な連携攻撃をされる心配は無さそうだ。

 アンノウン機は、何が目的とかを推し量っても無意味そうだが、とりあえず動きは前回に比べて少し鈍いように感じる。流石に向こうもミサイルにしがみ付いての出撃はそう経験が無いと見える。

 もしかしたらチャンス到来か? いや、そう見せかけたブラフの可能性もううむ。

 攻めあぐねていて居ると、レーダーに新たなKR反応が点る。

〈ハッハァ―! やっぱ真打ちは遅れて登場するってのが世の決まりなンだよ!〉

〈驚き……3番機戦線復帰、です〉

 モニターの端から、妙によたよたと肉薄してくるのは画面外に消えたはずの3番機であった。各部の装甲を可能な限り排除して、追加ブースターを懸命に吹かしてミサイルへと肉薄して来る。ブースターの噴流光は今にも気えそうなほどにか細い。

「ったく……ちょっとカッコいいじゃないか!」

 俺は素早く掛けよって、3番機に手を伸ばし接地を補助する。

〈っとぉ……! さぁて昴流ぅ、お前だけにいい所は持っていかせないぜ!〉

 そう言って3番機パイロットのフレックスは、マシンガンを構えて威勢良く言い放った。機体の外装を可能な限りパージして軽量化を図ったらしく、ほとんど骨格がむき出しであった。その状態でどうやって戦おうと言うのか。まぁ、骨格フレームが歪み出して自立も危うい俺の機体とどっこいって感じだが。

「助かったよ、これで任務失敗の言い訳が出来る」

〈どういう意味だ!〉

 皮肉を言いつつも、これで状況はマシになったと言える。フレックスに敵KRを牽制して貰えば、俺はアンノウンに専念出来る。

 いざ神妙にとアンノウン機に機体を向ける。アンノウン機は妙に緩慢な動作で、こちらへと距離を詰めて来る。やはり、この状況下に慣れていないようだ。

 ……本当に?

 不慣れと言う割には、アンノウン機の動きには迷いが無い。何事も油断は禁物だ。そう考えて俺は、アンノウン機へと向かう足を止める。

〈ハン? どうしたァ、お前がやらないならこいつは俺が貰うぜェ!〉

 俺の横をすり抜けて3番機がアンノウン機へと向かう。馬鹿お前は敵KRの動きを警戒してろってのに。舌打ちした次の瞬間。

 アンノウン機がブースターを展開させ、ミサイルの装甲の上を滑る様に加速した。一瞬にして3番機と俺を抜けてその後ろ、ミサイルの先端付近に居た敵KRへと肉薄する。アンノウン機は瞬く様な動作で、敵KRの胴体の隙間、装甲の接合部を巧みに突き刺す。直後に機能を停止した敵KRがミサイルの装甲を転がる様に滑り、遥か眼下の蒼へと落ちていった。そして奴は、俺達に向けて、手招く様に腕を動かす。

まるでさぁ舞台は整ったぞとでも言いたげだ。

〈なぁおい、これって〉

「……ああ」

 何とも腹立たしい。

〈2対1で余裕ってかァァァァ!〉

「俺にハンデ……!」

 舐めた真似してくれる!



[アルカの手記-023]


「秒速7kmか、全く想像もできない世界だな」

〈さようですか〉

「ああ、この様に速い世界を我は体感した事が無い、一体どのような景色なのだろうな」

〈恐らく本人たちは景色を楽しむ余裕は無いでしょうが〉

「貴様はまったく、風情と言う言葉を知らんのか!」

〈音速を超える世界の何処に風情とやらがあるのかは知りませんが……一応申し上げますと姫様〉

「何だ?」

〈我が艦[ファルアタート]ならば周囲に地表や惑星等が無ければ亜光速まで加速出来るのでございますが……〉

「? それが、どうかしたか?」

〈いえ……なんでもございません〉

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