[Mission-013]
前回までのMission!
謎の人物の尋問を見事に切り抜け、脱出を図った昴流。しかし謎の人物は高圧電流を食らったにもかかわらず意外にも早く復帰してきた。再び捕まり組み敷かれてしまう。どうする昴流!
[Mission-013]
『ククク、貴様にはまだまだ喋って貰う事があるぞ!』
宇宙服は俺を組み敷いて右手を向けると怪しい笑みを零す。
その時、宇宙服のヘルメット部分から新たな声が響いた。
〈ご無事ですか姫様!〉
『……む、スミスか』
宇宙服が声に返事をする。どうやら宇宙服の仲間からの通信の様だ。しかしここら辺は[ネビュラ]のネットワークが使えないほど電波状況は悪かったはずだが、一体どうやって?
〈おお姫様! お待たせいたしましたただ今迎えに行きますのでじっとして居てください〉
『相変わらず過保護だな、私を誰だと思っている! この程度の潜入作戦くらい余裕でこなして見せるわ! それに今さっそく捕虜を一人捕まえた所だぞ』
〈私姫様のその自信が一体何処から出ているのか不思議でなりません、捕虜? 姫様今捕虜と申しましたか!?〉
『うむ、地球の原住民だ、今尋問をして情報を引き出そうとしている所だった』
〈何と捕虜とな! 姫様いけません、速やかにその捕虜を始末しその場を離れてください!〉
『何を慌てているのだ、所詮は被征服地の原住民、我らが恐れることなど何一つあるまい』
〈原住民は狡猾にして卑怯卑劣、我らの想像も付かない非情な手段を講じてきます、気を付けなければ!〉
酷い言われようだ。むしろいきなり襲撃されて捕虜扱いなどと言う非情な事をされているのはこっちの方なんだけどな。
あと人の上に跨って長話しないで貰いたい。
『お前の忠告をいちいち聞いてやる余裕はない、それで、合流出来るのは何時頃だ?』
〈はっ、それが少し面倒な事になりまして……〉
そこで通信の向こう側から何やら激しい音が響いた。
『どうした?』
〈申し訳ありません、一刻も早く姫様の元へと向かおうとしたのですが、その動向を他の機星に気取られました。ただ今追撃を受けております〉
『掌握は?』
〈既に兄様方の支配下の模様です〉
『そうか合流を急ぐ、座標を送れ私の方からもそっちへ向かおう』
〈了解です、間もなくそちらもファルアタートの偽装地形影響下に入ります〉
話を盗み聞く限り向こうも色々と忙しくなってきた様だ。
よしこれで俺も捕虜から解放される、そう思った矢先。何故か宇宙服は俺の足を掴んでズルズルと引き摺り始める。
「お、おい俺を何処に連れていくつもりだ!?」
『ん? ああ、貴様にはまだ聞きたい事があるからな、一緒に来て貰うぞ』
まじか冗談じゃねぇ!
俺は必死に抵抗した。地面に詰めを立てて可能な限り踏ん張った。しかしこいつ見た目によらず力強ぇぇ。結局成す術も無く引きずられ茂みの方へと連れていかれた。
宇宙服が茂みに向かって軽く手を振ると、背景の一部がまるで水面に波紋が走るように歪んだ。そして白くて巨大な球体が姿を現した。
それは、森の木々の間に実にひっそりと佇んでいた。大きさは周囲の木と同じか少しはみ出る程度で、推定8mほどだ。やや楕円形の球体で表面は陶器の様に滑らかで、薄らと光を放っている。
見た目は宝石とも巨大な卵ともとれる。だがしかし、それはあまりにも異質な存在に俺は思えた。今にも動き出しそうな、それこそ殻を割って、中から何か得体の知れない存在が生まれてくる、そんな予感がした。
正面部分には大きく模様が描かれており、それがこれを人工物であると主張している様だ。
宇宙服が外殻に手を触れると、それの表面に描かれている物とは違う謎の文様が浮かび上がり、正面やや下あたりが光の粒子を迸らせながら扉を開いた。そこでようやく俺はこれが乗り物の類だという事に気づく。
『さぁお前も大人しく乗り込むのだ!』
俺はここぞとばかりに全力で、手足を踏ん張り搭乗を拒否して見せた。
「いやいやいや! 流石にこれに乗り込んだらもうおしまいだろ!? 尋問されて拷問を受けて洗い浚い喋ったらもうお前に用は無いって殺されるんだろ!? だったら今全力で抵抗するに決まってんだろ!」
通信を聞く限りじゃ物凄く面倒案事になっているっぽいし、そんな揉め事に巻き込まれて一体俺に何の利益があると言うのか。
『なんと! おい今の素敵な流れをもう一度話してみせろ! ううむ地球の民は何と合理的な手段を用いるのだ。無駄が無い、我々も見習わんとな』
「離せぇぇぇぇ!?」
やはり抵抗虚しく、俺は未知の球体の中へと蹴り込まれてしまった。
[アルカの手記-013]
「まったく地球人という奴は往生際の悪い、戦士ならば潔くドンと構えて貰いたいものだな」
〈しかしこちらとしてもああやって慌てふためいて貰う方が扱いやすいという物です。捕まったと言うのに不敵に笑って居座られては、こちらも不安をあおられて対処がし辛いかと〉
「まぁ確かにな」
〈それと姫様、私もようやく本編に復帰でございますよ!〉
「ああそうだな、まぁどうでもよい事だ」
〈それはいささか冷たいのではございませんか!?〉
「貴様はそもそもマスコットキャラではないか! その気になれば小物やぬいぐるみやそこいらの液晶などに好きに映り込める、ならば今さら出番など欲してどうする!」
〈いやまぁアニメなどではそうやってマスコットキャラを押し込んで人気を出す手法がありますが〉
「何だ不満そうだな?」
〈私正直どうなのでしょう? 表記でも人によってはとか、不気味とか書かれてるんですが〉
「まぁあれだ、最終的にデザイナーの気分次第だからな」
〈身も蓋もございませぬ……〉
[続く]




