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[Mission-011]

前回までのMission!


 自身が所属する施設の敷地内だと言うのに大胆不敵にも道に迷った昴流。

 あてど無く彷徨い歩いた末に辿り着いた場所には!?

[Mission-011]



「ほ、方角は合ってるよな?」

 とりあえず多機能端末(マルチデバイス)を起動して確認してみる。

〈統括ネットワーク[ネビュラ]とリンクが切断しました、周囲の地形と詳細地図との照合不可、現在地不明です〉

「えちょっ!?」

 何故かGPSも受信不可能と表記されている。

「……嘘だろ?」

 この辺は磁場が強いのか、それとも俺の扱いが悪かったのか。端末に内蔵された地図機能は完全に使用不能となった。

 こうなると流石に帰還も困難なので、通信でギブアップ宣言をするしかないのだが。

「……マジで?」

 通信機能はこれまた妨害電波の影響か、それとも粗悪品を掴まされたのか。電波状況は圏外だった。

 しかし、これはもしかして本格的に遭難したんじゃ?

「いやいやいやいや、落ち着け俺……」

 焦る気持ちを抑えて、何とか冷静さを取り戻そうと努力してみる。

 一応ここは学校の敷地内だ。島中に通信用の電波塔や施設があるはず。そもそも軌道エレベーター自体が一種の巨大な電波塔の役割があるのに、その真下で通信障害ってのも変な話だが。

 とりあえず端末を非殺傷銃に搭載し、銃に取り付けられた照明で周囲を照らす。

「周囲を検索」

〈システムオフライン、スキャンモード起動します〉

 銃の側面から無数のセンサーが露出し、周囲を探る。

〈大型の生命反応無し、人工物無し、案内用マーカー検出出来ず、現在地特定不可、前方1300m先に巨大な破壊跡を発見〉

「破壊跡?」

 何やら物騒な単語に思わず聞き返す。

〈詳細不明、災害等の原因により木々の燃焼した跡が見受けられます〉

 ふむ、もしや新しい施設を立てる途中の工事現場かもしれない。もしかしたら誰か居るかもしれないし、そうでなくとも通信設備はあるはずだ。

 そんな淡い期待を胸に、その方角へと進む事にした。


 気が付けば日もすっかり落ちてしまった。流石の俺も歩くのに限界を感じ始めていた。

「何で……ハァ、俺は、あの時……ハァ、教官に反発なんか……ハァ」

 ひたすら謝り倒せば、もしかしたらもっと減刑してくれたかもしれない。そんな事を思うと後悔ばかりが押し寄せてくる。

 お先真っ暗で目の前をか細いライトが照らす中、震える足腰を何とか奮い立たせ進んでいくと不意に視界が開けた。いや未来に光明を見出したわけじゃない。そこだけ木々が無くなり見通しの良い広場になっていたのだ。

 其処は――。

「――何だ、これ……?」

 何故か、あたり一面地焼け焦げていた。

 木々は薙ぎ倒され、かなりの広範囲にわたってクレーターの如く地面が抉られている。まるで隕石でも落ちてきたかのようだ。

「いや……そう言えばこの付近で隕石がどうとか言っていたな」

 しかしこんな軌道エレベーターの近くで隕石が落下したのなら、もっと話題に上がってもいいはずだ。調査員とかが集まったり、報道科がドローンを飛ばしたりなどして撮っていてもいいはず。

 樹海の一画を引っぺがしたかのような衝突の跡。この規模なら軌道エレベーターからでも容易に観測出来たはずだ。それなのに誰も居ないし、誰も気づいていない。

「本当に隕石か?」

 とりあえず状況的に、何かが遥上空から飛来して地面を抉っていったのは確かだ。墜落の衝撃は凄まじいが、しかし隕石の規模としてはかなり小さいと思われる。この規模の隕石は普通大気圏で燃え尽きるのだがよほど硬い元素を含んだ隕石だったのだろうか。

 衝撃の跡を追っていくと、途中で忽然と途切れていた。何かが墜落したのなら、その降って来た物体が転がってしかるべきなのだが。

「そう言えば、この墜落跡見覚えがあるな」

 資料映像で見た覚えがある。確かKRが失速して墜落すると、こんな衝突跡が地面に残るのだ。もし墜落したのがKRならば、その後で再起動できたのならその場から移動する事も可能だ。それならばこの様にクレーターだけを残して姿を消していても不思議ではない。

「って事はだ、これはKRが落ちた跡って事か?」

 端末を起動して、再び周囲をスキャンする。

〈金属片等の痕跡無し、大きな質量を持つ物質無し、付近に生命反応あり〉

「は、生命反応?」

 何やら唐突な単語に思わず聞き返す。それと同時に背後から草木が踏みつけられる音を聞いた。振り返ると目に入って来たのはまさに振り下ろされんとする太い木の枝。

 そこで俺の意識は途切れた。



 どのくらい意識を失っていただろうか。感覚的には数分くらいだが。

 とりあえず妙に頭が痛い。身体を動かそうともがいてみるが上手く動かせない、どうやら何かに縛られて地面に寝転がされているようだ。

 うっすらと目を開けてみると、目の前に――。

 何か変なのが居た。

 ソレは、いやその人物はと言った方が良いか。何故かは知らないが宇宙服の様な物を着込んでいた。

全身を覆うその服はやや銀色の金属光沢があり薄らと発光している、その為に夜に近いこの時間でもはっきりとその姿を見る事が出来た。姿形は人間の背恰好をしていた。頭部にはまさに宇宙飛行士が被る様な丸いフルフェイスのヘルメットをかぶり、それがこの存在を宇宙服と言わしめる要因と言える。生地自体は薄めで全身たいつのように体のラインを浮き彫りにしており、骨格や特に胸の膨らみからその人物が女性であることを窺わせる。

 そいつは、何故か俺の目の前に座り込み、リュックを漁っていた。リュックの中身はごく普通の救命道具とかしか入っていないんだが、中身を取り出しては興味深そうに見つめたり弄ったりしたあと、興味を失うと傍らに置いて次に手を伸ばしている。

 動きを見ている限りでは動物園の猿みたいだが、状況から察するに俺を昏倒させて荷物を奪ったのはこいつで間違いないだろう。

 で、こいつ一体誰だ?

 まさか不時着した宇宙飛行士って見たまんまの素性なわけはないだろう。

 とりあえず一瞬意識が飛んでいるので、改めて状況を確認しておく。

 周囲に目をやると、先ほどの何かが墜落した跡地から動いてはいないようだった。

 まだ暗闇なのでそう時間も経っていないとみていい。デバイスに時刻を問いかけてもいいが、それで目の前の宇宙服が反応しかねないのでやめておこう。

 どうやら縛られているようだが、縛っている物自体は俺のリュックに入っていたロープだった。これなら腰のポーチに入っているナイフで簡単に切れる。相手に気づかれないように腕を動かし、こっそりとロープを切る事にする。

 さて、それで、結局目の前のこいつは何なんだろうか。

 うーむ、何とも言えないがとりあえず今の状況を分かりやすく言葉にするとザ・捕虜って言葉がしっくりくる気がするのは気の所為だろうか?

 しかし変な恰好をしていても恐らく同じ人間同士、まずは円滑なコミュニケーションを試みてみるのも悪くはない。

「……えっと、あの」

『!?』

 宇宙服は俺の声に反応して、素早く身を起こし向き直った。そして。

『■■■!?』

 物凄く複雑な音階を持った金属音っぽい音が響いた。

 ん、今喋ったのか?

「こ……こんにちは?」

『■■■■……■■■■?』

 宇宙服は俺の言葉に首をかしげつつ、緊張した様子で右手を俺の方に向けた。

 先ほどから響く聞き取れない音は、恐らくこいつの言葉と思われる。

 って事はうっそマジかよ。言葉通じないのかよ。

 言葉が通じなくてもボディランゲージで何とか意思疎通を図ろうかとも一瞬思ったが、生憎縛られているのでまさしく手も足も出ない状況だ。

 もっともナイフがいい感じにロープに食い込んでくれているので、間もなく手は自由に動かせそうだが。

 っとそんな事を考えていると。

『■■■!』

 唐突に宇宙服は、俺に向けた右手から眩い光を放った。次の瞬間俺の背後に合った木が吹き飛んだ。

 え、今ビーム撃ちましたか?

『■■■■……?』

 宇宙服は射撃した姿勢のまま、首をかしげて光線を放った手甲状のパーツを左手で操作する。その隙に俺は思わずハンズアップした腕を、見つかる前に体の後ろに隠した。

 宇宙服はいったい何をしているのだろうか?

 様子から見るに先ほどの光線で俺を木っ端微塵にするつもりは無いようだが。

 っと言うかビームとか撃ったんだけど、ほんとこいつ何者!?

 俺の背中を滝の如く冷汗が流れているとは露知らず、宇宙服は己の腕の端末と格闘しており、やがて宇宙服の理解不能な言葉に複雑なノイズが入るようになる。そして。

『……■■だ、こうだった。翻訳ツールはもっと判りやすい場所に置いておくべきだというのに、スミスの奴は気が利かぬな』

 驚いたことに、ノイズが収まると宇宙服の言葉が理解出来る言語に置き換えられていた。

「……言葉が、通じる?」

 俺の台詞に、宇宙服は大仰に頷いて、満足げに言葉を発する。

『そうだ地球(アース)の原住民よ。恐れる事は何もない、確かに初めて目にする皇機種(ルーラー)に怯え竦む気持ちも分からなくはない。しかし我は今無暗に殺戮をするつもりは無い、落ち着いて我の話に耳を傾けよ』

 何故だろう。意思の疎通は出来るようになったはずなのに、話の通じる相手とは思えない気がするのは気の所為か?



[アルカの手記-011]


「おおお、ついにだぞ! ついに私の登場だぞ!」

〈さようでございますな、おめでとうございます〉

「うむ、ここまでの道のり随分と長かったな、おかげで最初の台詞忘れてしまったぞ、何とか異星人っぽい言語でごまかしたがな」

〈何とアレは姫様のアドリブでございましたか!?〉

「当然だそうでなければ冒頭やこの場で、こうして読者に理解できる言語で話しておるまい」

〈そうでございましたか……しかしこうして理解できる言語で話した以上もうその手は使えませんぞ〉

「うむ、全くどうした物か……次は翻訳機の故障とか、翻訳機を椅子に置いていて座って壊してしまったとかで逃れるか」

〈まず台詞を忘れないよう努力しては如何かと……〉



[続く]

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