6話
やっと、手に入った。
心、ここにあらずのフィアに問う。
「フィア・アロニス、君はノワール・ファニアスを永遠に愛すると誓いますか? 誓えるならば、フィア自信と私のフルネームを織り交ぜた、誓いを言って……。」
目が虚ろな彼女はそれに何の迷いもなく応えた。
「フィア・アロニスはノワール・ファニアスを永遠に愛することを誓います。」
「私も誓うよ。 ノワール・ファニアスはフィア・アロニスを永遠に愛することを……。 ふふっ、やっとこれで君は私のものになる。 この日が待ち遠しかったんだ。 君が私との子どもを産む日にもなるからね。」
彼は、フィアの頭を優しく撫でて、頰に、首に、胸、お腹に手が滑っていく。
お腹に置いた手をさわさわと動かし、何かを慈悲むような表情を浮かべていた。
彼は彼女のお腹に顔を近づけて、顔を埋めた。
そして、彼女のお腹から顔を少し離して、言った。
「産まれておいで。 出ておいで。 もう、お昼寝の時間は終わりだよ。」
彼が言葉を発した影響かどんどんとフィアのお腹は膨らんでいく。
それと同時に彼は彼女の隣に移動していた。
そして彼女の頰を両手で包み込み自身の方に向かせてキスを落とす。
何度も何度も交わる。
フィアは全くの抵抗を見せない。
さっきまで、意思を持っていた人とはガラリと変わり、意思を持たずに彼だけの言うことを聞く人形のように変わり果てた。
お腹の膨らみは、10ヶ月の赤ん坊がお腹の中にいる母親くらい。
そこで膨らみが止まると、今度はしぼみ始める。
そして、いつの間にか、彼女の下腹部を覆い隠しているものが消えていた。
また、膨らみが抜けていくと同時に彼女から出てきたのは小さな赤ん坊。
彼女は嫌だと言っていた彼の子どもを産んだ瞬間だった。
彼は、赤ん坊と彼女に対して必要なことを施して、全てが終わった時に、彼女の虚ろな目が光あるものに戻っていった。
そこで、彼は彼女に現実を突きつける。
「フィア、君と私の子だよ。 ありがとうね。 産んでくれて嬉しいよ。」
とても弾んだ声で言われ、目の前に彼が抱いている赤ん坊と自分の姿を見て……。
涙が溢れて出てきた。
もう、戻ることはできないと……。
ディーンへの謝罪と罪に苛まれた感情に、彼女は涙を流し続けた。




