3話
私の選択は、自分自身を犠牲にするか。
または、大切なものを犠牲にするか。
どちらが正しい選択なのかは誰にも答えられない。
静まり返った部屋の中、フィアは震えていた。
「何をいっているのか全く理解できない。 なんで、私の家族たち、ディーンがいるの?」
「あれ? 大切な人たちなんだよね?」
「当たり前でしょうっ! どういうことか意味が分からないのはなんで私が貴方の永遠の存在とやらにならなければ、私の大切な人たちは穢されてしまうの? 」
「そっか……。 良かったよ、君の大切な人たちで……。 君の大切な人じゃなきゃ処分するところだったからね。」
彼は冷たく笑う。
言葉も残酷なもので、恐ろしい。
私は後ずさってしまう。
「な、に、をいってるの?」
「そんなことどうでもいいから、選んで? 私ときて彼らが助かる道か、彼らが犠牲になる道か。」
目の前の彼からは感情が読めない。
そこに、第三者の声が響いた。
「フィア、お逃げなさい! そいつらは私たち人間とは違う化け物ですっ! 私たち人間では歯が立たない存在です。 だから、私たちを置いてお逃げなさいっ!!」
「お、お母様?」
また、異なる声が響く。
「フィア。 そいつらは人間全てを玩具のように扱うひどい連中だ。 私たちを鎖につなぐ姿や生き物としての必要最低限のこともさせないところを何度も見た。 そいつらは、人間を攻撃し始めたんだ。」
「お父様。」
『「それは、とても酷く残虐なものでした。 お嬢様、どうか貴方だけでもお逃げください。」』
『「私たちのことは気にせず、逃げてください。」』
「あなたたちも……。」
使用人たちも私に言葉を投げかける。
「逃げろ、 フィア。 お前と共に少しでもあれた時はとても幸せだった。 だから、こいつらに捕まるな。 逃げてくれ、俺たちのことは気にせずに、逃げろっ!!」
「ディーンッッッ!!!」
手を伸ばした先は虚空をつかんだだけ。
私は、大切な家族や使用人たち、婚約者のディーンを残して何処かに転移させられた。
ディーンの手によって……。
お母様が化け物と罵った彼らから逃れられた。
フィアがいなくなった部屋では……。
「人質の癖によくやってくれたね。 君、1人殺したところで人質はまだいるからどうってことはないって分かってる?」
凍てつくような空気と冷気に身体が震えそうになったがなんとか耐える。
「お前にフィアは渡さない。 たった、半年の間だったが、彼女を愛したから。 だから、お前になんか渡したくないっ!」
ディーンの言葉に反応を示す彼。
目から、怒りの感情が見え隠れしている。
「君さー、フィアのなんなの? フィアも君を大切にしてるし、君はフィアの家族でも使用人でもない。 君はフィアの何?」
「婚約者だよ。 口づけも何度か交わしたことがある。」
ディーンが伝えたことに彼は更に怒りをその身で表す。
この世界には魔力が存在する。
その魔力を使い、ディーンはフィアを他の場所に飛ばすことができた。
その魔力がディーンたちの目の前で尚且つ、膨大な力が発動されようとしている。
さすがにこれが放たれたら、死ぬ。
そう思ったのと同時に世界の半分はぶっ飛んでしまうのではないかと思った。
だが、彼の怒りを鎮めようとするものがいた。
それは、ルフスだ。
「どうか、気をお沈めください。 貴方様の大切な彼女が何処にいるか分からないままですので、そんな巨大な魔力を使用したら彼女の身が危ないです。」
ルフスの発言に冷静さを取り戻す。
徐々に魔力も治まっていった。
「そうだな。 ルフス、私を止めてくれて礼を言うよ。」
「勿体なき、お言葉です。」
「さて、この男をどうするか……。」
処遇をどうするか悩んだが、突然現れた美人な女性によって決まる。
「ちょー好みな男性ねぇ〜〜。 処分するなら頂戴ぃ? 王様ぁ〜〜。」
彼は面白そうに笑う。
「ほー、リリルの好みかぁー。 お前に好かれるなんて可哀想なものだね。 いいだろう、お前にくれてやるから、好きに扱いなよ。」
リリルと呼ばれた女性は肌は異常に白く、出るところは出ていてしまっているところはしまっている身体。
髪の色は緑で、目は水色をしている。
唇はぷっくりと膨らんでいて色気がますます出ていた。
「あらぁ〜〜、酷いわねぇ。 私が1番愛しているのは王様なのにぃぃ〜〜。」
「私には愛している人がいるから君の気持ちには答えられないよ。」
「そんなこと知ってますぅぅぅ〜〜。 じゃあ、もらっていきますからぁ〜〜。」
ディーンは力一杯、抵抗したが全く力が及ばない。
「くそーーーーっっっ!」
その言葉を最後に彼は部屋から連れ出された。




