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2話

ある日を境に幸せが不幸せに変わる。

私のせいで、人間は……。



暗い中、人影が浮かび上がる。

そこには赤い色が美しくも不気味に輝いていて……。


「時は満ちた。 やっとお前を迎えに行ける。」


「……様。 歓喜に震えているところ、悪いのですが、人間たちはどう致しますか?」


よく見ると暗い闇には数々のシルエット浮かんでいる。

彼らは誰なのかはまだ、わからない。

けれど、分かることもある。


「人間は私たち…………の奴隷にでもしようか。 ただし、彼の人(かのひと)には手を出しては駄目だよ。 命が惜しいのなら……ね。」


その言葉に彼らはたった1人に頭を下げた。

まるで、王様に忠誠を誓うように……。



人間が彼らの遊び道具になるかもしれない。

しかし、もう止めることも戻ることもできない。

時間は進み続ける。

残酷なほどに……。



真夜中、眠っているフィアのところに尋ねて来たのは彼らが忠誠を誓い頭を垂れたあの人。

壁や窓などを物ともせずにフィアの寝室に入る。

そして、彼女の頰に手を添えた。

まるで、愛しいものだというように……。

彼女は目覚めない。

深い眠りについたまま。

そんな彼女の唇に指を何度も滑らせた。

それから、彼女に覆い被さり、ベッドに手をついて、彼女に口づけを落とす。

甘く口内を侵食するように荒々しい。

けれど、彼女は目覚めない。

……は彼女の眠りを妨げることはせずに、膝の裏と首元を手で支え抱き上げた。

……とフィアは闇の中に消えていった。



うっすらと光が視界に入ってくる。

フィアが静かに目を開けてから気づいたことは、自分の部屋ではないということ。

何故、自身の部屋ではないと動揺が走る。

混乱し、取り乱すこと数秒。

誰かを探しに行こうと結論が出たときに扉は開いた。

キィーー、ガチャリ。

扉が完全に開いた先にいたのは……。


「あっ、あなたは……。 どうして……夢だったは……ずっ……。」


フィアは扉の先にいた人を見た瞬間、忘れていた出来事を次々と思い出す。

そこで……はくすりっと笑みを浮かべる。


「夢なんて侵害だなぁ。 あれは、夢なんかじゃなくて現実だよ。 あの日の君はとても可愛かったね。 頰を赤く染めて、生まれたままの状態の君はとてもね? 美しかったよ。 流石、私が認めただけの女だ。」


どっくんっ!

フィアの心臓が彼の言葉に跳ね上がる。


「わ、私……は、あなたなんて……し、しらな……いっ!!」


「嘘つきな私の愛しい子。 嘘はいけないよ? 私の怒りを買うことをしたら……。」


コンコン。

扉を叩く音。

さっきまで開けっ放しだった扉はいつの間にかしまっていた。

彼は来ることがわかっていたように、何も支障はないというように軽く許可を出す。


「入っていいよ。」


そこにいたのは、私の家族や使用人たち。

私の婚約者のディーンだった。


「えっ? お母様、お父様? みんな? ディーン? どういうこと??」


私は彼を振り返る。

でも、彼はそれを気にすることはなく、先にダークブルーの色を持った男の人に言葉を発した。


「ご苦労、ルフス。 そいつらを逃さないように……。 」


「わかっています。 彼らは人質ですから、殺さないように丁重に扱っています。」


淡々と答えるルフスと呼ばれた青年の返答に疑問を抱くフィア。


「人質ってどういうこと? なんで??」


彼女の反応を楽しそうに見ている彼は……。


「ねぇ、フィア。 私の永遠の存在になるか、君の大切な彼らを穢されるか。 どちらがいい?」


頭は真っ白になり、理解できない。

私の大切な人たちは苦しそうで悲しそうで諦めきった表情をしていた。

何が起こったのか分からないのは私だけ。

取り残された私の出す結論は、もう少し後。






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