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1話

夢の中で漆黒と真紅を持った男の人は言った。


「子どもが生まれる頃になったら迎えにくる。」


そして、暗い闇の中に消えていった。



バサッ!!

ベッドから飛び起きる。

目覚めは、とても最悪だった。

頰に滴がつたい、呼吸も荒い。

どこか乱れているところがないかと確認するがどこにもそんなものはない。

寝衣も寝る前に着た時となんら変わりがない。

少しシワがあるくらいで、大したことはなかった。

ベッドもシーツに少しシワがよっているくらいだ。

あれは、夢だったのだろう。

そうと簡単に結論を出す。

思い出したくもないことだったから。

それくらい私にとっては恐ろしいものであった。



18歳になったばかりの私、フィア・アロニスは夢だと思っていたが、その日から屋敷を出るのが怖くなり、外出することが極端に減った。

お母様やお父様、使用人たちを心配させることになったが、どうしても思い出したくもない夢は私を蝕んだ。

夢だと、忘れようとしたのに、忘れようとするほど思い出す。

ただ、漆黒の髪と真紅の目を持った男の人が何を言っていたのかは分からなかった。



あれから、1年が経って19歳になった私には婚約者ができた。

私が部屋に篭りっきりの中、私に内緒でお母様とお父様が私に釣り合う人で性格も問題ない人を選んだ。

それが私、フィア・アロニスの婚約者。

彼はサラサラな金の髪、碧の綺麗な目の持ち主だ。

18歳であの夢を見て、半年が過ぎた時。

お母様とお父様が偉い人に呼ばれたから断れないパーティがあるということで、私も参加することになるため、パーティの打ち合わせをするのに呼ばれてお父様の執務室に行くことになった。

そこにいたのが私の婚約者のディーン・ノイロウだった。

あんな夢を見て、男性が怖くなっていたのか、彼を紹介されたときには意識を失ってしまう。



お母様とお父様は私が自室のベッドで目覚めたときにおっしゃった。


「フィアちゃんに無理をさせるつもりじゃなかったの。」


「俺たちはフィアが前のように明るく元気になって欲しいと……。」


それは、私もわかっている。

お母様やお父様に悪意はない。

ただ、私のことを一身に考えてくれた結果だ。

私も倒れるとは思わなかったからお母様とお父様には謝っておいた。

心配かけたことや迷惑を掛けてしまったこと。

でも、お母様とお父様は迷惑なんかじゃないし、家族でしょうとおっしゃった。

私は、それを聞いて嬉しくなった。

部屋にこもって怖いことから逃げていたことを悔いた。

怖いけれど、あれは夢だと完全に割り切ることにしたんだ。

そしたら、もう夢のことはすっかり忘れるようになり、婚約者のディーンのことだけを考えるようになった。



お母様とお父様が厳選して、私に良い人を選んでくれたからお母様とお父様のためにも幸せにならなきゃって思えた。

また、お母様とお父様は私が部屋に篭もってたのは、婚約者がなかなか決まらなくて不貞腐れたしまったと思ったらしい。

婚約者を探して、中々望む人がいないことに焦りは感じたが、不貞腐れるほどではない。

だが、私は家族に沢山気にかけてもらっていたのだと実感して嬉しくなった。

後日、聞いたことによると、私が気絶した後に私の部屋のベッドまで運んでくれたのはディーンらしい。



お母様、お父様。

例え、私が気絶してしまったからといって、まだ、婚約者でもない人に私の自室にいれるなんて……と思っていたが、お母様とお父様も着いていって2人っきりにはしなかったからそこは平気だと言われた。

両親には乙女心がわからないのかと謎に思い、お母様に聞こうと思ったがちょっぴり黒いオーラが出ていた気がしたので胸の内にしまっておくことにした。

そして、色々な曲折を得て、私は幸せにディーンと愛を深めています。





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