48話 そして
「俺にあんな話をさせておいて、成果もなく終わったっつーのか」
階段を降りて。
メニュー決めてくる、と言い残して店奥へと猿渡さんが消えた後。
そんな言葉と共に、荒谷が僕の肩を叩いてきた。
「一応、想いは告げたんですがね」
あれは、はぐらかされた、と言うやつなのだろうか。うん、きっとそうなんだろうなぁ。あれ泣きたくなってきた。
「マジかよ、……つまりフラれたのか」
「違うよ多分!」
「そこまで堂々と『多分』を叫ぶやつなんて初めて見たぞ」
だって否定しきれないんだもの仕方がないじゃないか!
「どうやら、成功、は、した、様子、だな」
カリカリカリカリカリカリ、とペンを走らせていた現さんも顔を上げる。
「は? フラれたのに成功? ……ハッ! もしや性交!?」
「だからフラれてませんって! あと後半なに言ってるんですか!」
そんな夢のよ……じゃなくて、早すぎる展開があるわけないでしょう!?
「僕なりに頑張った結果、満足できる結果になったから良いんですよ」
「なんだ、ゆとりか」
「確かに世代的にはあってますけど!」
だからって、その言葉を罵倒に使うのはよろしくない気しかしないよ!
「怖いですねー、社会への皺寄せと弊害がどうくるのか」
「もっと年下がなにを言ってるの!」
ガバッ、と声に反応して振り替えってみればそこにはアリスちゃん。
「って、手術は?」
あれが最後だと思ったから、なんか色々と言ったような気もするんだけれども。
「日程がうんぬん、らしいです」
「なるほど」
まぁ、思い立ったが吉日、とはいかないからね。
「で、良いことでもあったんですか?」
「うん」
きっと、良いことなんだろう。
はぐらかされたのかもしれない。
遠回しに断られたかもしれない。
でも、検討はしてくれた、ように見えた。
なら、きっと良いことだ。
「雨宮くーん? ちょっと手伝ってもらえるー?」
と、店の奥から猿渡さんの声。
「「「……」」」
どこからか、視線も感じるけど無視して。
「はーい」
花婿修業と、行きますか。




