20話 フリフリ
「誰かいますかー」
コンコン、と風呂場の扉をノックしてみる。が、返事がない。
「じゃあ、入りますよー?」
言いながら、服を全て洗濯機の中にシュートして風呂場に入る。
ガチャり、と。
「檜っ!?」
果たして、そこには一般家庭の風呂より二回りは大きい、檜で作られた湯槽が置かれていた。
「うわー、檜の風呂なんて本当にあるんだー……」
あ、ここって本当にある空間じゃないんだっけ。
それならまぁ、こんな豪華な風呂がある事もおかしくはない。
「まぁ、折角の檜風呂に入れない荒谷でも笑いながら、堪能するとしますかな」
きゅっ、と。
あまりよろしくない台詞を言いながら、シャワーの蛇口を捻る。
「あーっ、さっぱりしたー」
足を思いきり伸ばせる風呂、って良いものだね。
僕は体にバスタオルを巻いて、棚を開け――
「!?」
忘れていた。女物しかないんだった、ここには。
「いや待て、荒谷や現さんの服があってもおかしくはな――」
無かった。
いや待て。荒谷の服が無いのはまだ分かる。だってこの風呂、使えないんだし。
なら、なんで現さんも?
「……まさか」
現さんも、なのか?
「いやいやいやいや! ありえないでしょ! って言うか、覗いてない僕の服が無いのはなんでさ!」
新入りだからまだ用意できてない、とかだよね!?
イジメとか、男子禁制な棚だとかじゃないよね!?
「……はぁ」
仕方がない。
女物と言う点にはこの際目を瞑ろう。
スカートやらフリフリが付いた下着やらを避けて、まぁどうにかするしかないじゃないか。
さて。いざ――
「下着が皆オッシャレー!」
フリフリしかなかった。
フリフリのフリルが付いた下着しかなかった。
勿論、上の下着は要らない。
勿論、下の下着は必要。
さあ、どうする?
答えは簡単。
「……下着なら、バレないよね?」
流石に、ノーパンでジーンズに足を通す勇気はなかった。




