ファンクラブ再来
この日はたまたま、美男綺麗と港未来が揃って部活へと足を運んでいる最中のことだった。
「不戦の約定解かれ申した!!」
そんな時代がかった台詞と共に、突如として十一人の男子生徒たちがふたりの前へと現れた。
「えっ!? なになに、何なのこの人たち!?」
状況を全く理解できない港は、狼狽える。
「はぁ⋯⋯またおまえらか⋯⋯」
一方で美男の方は鬱陶しげに息をつくだけで、あまり慌てる様子は見られない。
「久しいな、美男殿。今回、拙者たちはお主らに最終勧告をしに来たのだ。そして⋯⋯えーっと⋯⋯誰だっけ?」
思い出せないといった様子で、甲賀は首を傾げた。後ろに控えていた男子生徒のうち一人が、フォローするようにこそこそと耳打ちをする。
「あいつは港未来ですよ、甲賀さん」
「あーそうそう! そうだったな⋯⋯ごほん。そして港殿にも、同じ用向きなのである」
甲賀が改めるように言う。
「お主らへの罪状を申し上げる。えー、男子禁制の女子の花園である麻雀部への部活見学に行ったこと罪。以上!」
「なにさその罪。そりゃあ入りづらかったけど、男子が見学しちゃいけないなんてことはなかったよ? きみたちも行けばよかったじゃないか」
港が呆れたように言うと、後方に控えていた男子生徒たちから次々とやいのやいのとヤジが飛んだ。
「リア充は死ねぇー!」
「白雪たんと姫乃たんを穢すなーッ!」
「汚物は消毒だー!!」
「港殿には自己紹介がまだだったな、拙者は甲賀と申す。我々は茨白雪たんファンクラブの集いであり──そして、今ここにいる全員がこの桜木高校の風紀委員を務めている」
「嘘でしょ? この学校ほんとに大丈夫なの??」
甲賀の淡々とした自己紹介に、港は信じられないものを見るような眼差しを向けた。
「これまで美男殿はあくまでも姫乃たんの彼氏、という立ち位置を守ってきていたので我々も目を瞑っていたが──⋯⋯」
「オイ、まったく瞑れてなかっただろうが」
前回のはた迷惑な大挙を思い出した美男が口を挟んだが、甲賀は気にする様子もなく続ける。
「しかし! 此度、美男殿は停戦協定をついに破ってしまわれた。あろうことか、姫乃たんを介して白雪たんにまで接触する始末。これはもう、とうてい許されることではないのだ⋯⋯!」
わなわなと震える甲賀に、美男は呆れた顔をして答えた。
「変な勘繰りをされても困る。オレは茨とは一言も喋ってない」
「そういえばぼくも、話した記憶がないや。⋯⋯というか男子だけ避けてるとかじゃなくて、女子も含めて三ノ宮さんとしか会話らしい会話はしてなかったよね」
港が美男に同調するように言うと──
「尊ーーー!!」
という同じ言葉を口にしながら、バタ⋯⋯バタ⋯⋯バタバタッ⋯⋯と、十一人の男子生徒が満足気に次々と倒れていった。この隙にと、港と美男はその場から退散する。
「結局あの人たち、なんだったの?」
「さぁ⋯⋯? オレにもよく分からん」




