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暴かれた秘密(4)

「支配する神様は、全ての生命を完全に支配すれば争いが生じず、幸せな世界を作ることができると考えているんだ。必要な犠牲はあるだろうが、犠牲になる人々もその家族も何の不満も疑問も抱かない世界。それがあの方の理想の世界だ。そんな世界は…正しくないと思っている。」


 ツカサなりの信念に従って行動しているということか。でも、それは正義だと思えない。


「俺も同感だな。マロウドについてはどう思う?」


 二人は気まずそうに言い淀む。


「どうしたの?」


「いえ、そうね…。転化させる神様は、人々に自ら望みを叶える力を与えて、自分で理想を実現させることを目的としているの。ただ、力を得た人物が力を悪用して他者を虐げることもあるのが難点ね。それに、特定の力を得させるために、皇宮の人々が弱い立場の人間を利用していたの。敢えて本人や周囲の人を傷付けたり追い込んだりしていたみたい。支配する神様は転化させる神様の能力を利用したいと思っていたけど、転化させる神様は人々が傷付くことを嫌っていたんだと思う。」


 そういうことか。万人を支配する能力と万人に望んだ力を授ける能力の組み合わせは、完全に統率が取れる、一騎当千の力を持った軍団の確保につながるんだ。最悪のタッグだ。


 俺はカラカラになったのどを潤そうと、ペットボトルの水を口にした。生ぬるい。俺が飲み終えるのを待って、ミカドが口を開いた。


「転化させる神様は、支配する神様がいなければ善い神様だ。感覚が人間に近いのかな。」


 どっちもどっちな気がすんだけど…。


「とにかく、マロウドがいなくてツカサはやりたい放題。ミライは死んで、リュウサキはまだ生きている可能性が高い。こんな状態で転魂されたら困る。」

「でも、スメラギと入れ替わらないと、貴方が死んでしまうわ。」


 俺は自嘲気味に笑った。


「皇はとっくに死んでんだろ?俺はその身体を乗っ取った化物だって、あんたが言ったんだ。あるべき姿をこれ以上歪めない方がいい。俺が言えたことじゃないかもしれないが。」


 俺は何も自殺願望があるわけじゃねえ。ただ、自分の存在が他の人の人生に大きな負の影響を及ぼすことに耐えられないだけで。そのくらいの良心は持ち合わせている。


「それでも…貴方を見殺しにするなんて…わたしには…。」


 ミヤは顔を手で覆う。この十年間でよく分かったが、この二人は善い親であり、善い人だ。それは間違いないだろうと自信を持って言える。…だからといって赦せはしないこともあるが。


「結論を出すのは後にしよう。少なくとも、皇の身体が治ってからでも遅くないはずだ。」


 ミカドの提案に、俺は頷いた。これ以上はこの身体が持たない。立ち上がった二人を俺は呼び止めた。


「待って。聖は、あの子は何か知っているのか?」

「何も。この先も何も知らせる必要はないだろう。」


 初めて意見が合った。


「同感だ。しかし、スメラギにはこのこと報告させてもらう。」

「…そうか。分かった。」


 二人は病室を出て行った。俺は深い溜息を吐いた。窓の外はどんよりと曇っている。ゲリラ豪雨にでもなりそうだ。


 まさかあの二人が神皇国の者だったとは…。俺が三宮皇じゃなかったことよりショックだ。


「俺は一体何者なんだ…。」


 右手を上げて蛍光灯に透かしてみても、何の変哲もない俺の手なわけで…。それ以上のことは推察の域を出なかった。疲れた。考えたくもない。


 結局その日は何をしたのか覚えていない。習慣化している日記だけはしっかりと書き上げ、俺は眠りに就いた。

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