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暴かれた秘密(3)

「どうして?」

「脳の病気が原因です。貴方は死んでしまった皇の身体に入って、力を回復しているところです。その身体は本来の状態である、脳の機能が止まった死体に戻ってしまいそうだったので、スメラギと入れ替わって神力で命を繋いでいたんです。死者を蘇生する神力ではないから完全には治せないけど、それでも…。」


 何だそれ。この身体は死体で、俺はそれに入り込んだ何かだって?信じられねえ。俺には昔からの記憶が全てあるし、別人だった記憶なんてない。


 くだらねえ妄言だ。そんなこと、信じない。…そう言いたかったのだが、言葉が喉につかえる。

 俺はミカドの方を向いた。


「人間が妖怪になっているのは、貴方の仕業なの?」

「…違う。本当に止めたいと思っているんだ。」


 ミカドはミヤを見た。ミヤが頷いたので、言葉を続ける。


「あれは事故のようなものだ。誰もあの事件を引き起こしたいと思ってはいない。でも、止めることも難しいんだ。」

「それって、俺たちが神皇国から日本に来たことと関係がある?」

「まあ、ある。」


 ミカドは気まずそうに言った。思ったより罪深いぞ。


「そのことについては、気にしなくていい。こちらで対処しよう。」


 正直、俺もそれについて深掘りするどころじゃない。


「妖怪化しそうな人を突き止めていたのはどうして?」

「あの現象は、人間の欲望に反応して生じるんだ。強い欲望をもった人間を探していただけだ。向こうで自分は妖怪を使役していた。今でも妖怪の力を封じるくらいは容易い。完全に力を消すことはできないが、力を弱めて日常生活に戻してやるくらいのことはできる。」


 あれ?明美さんは、俺が妖怪化した人間の妖力を吸収して人間に戻したと言っていた。ミカドと協力できたら、もしかして…。


「ねえ、俺なら妖怪になった人間の力を吸い取って人間に戻せるかもしれない。この近くに妖怪化した、或いはしそうな人間はいる?」


 ミカドは懐から手帳を取り出した。ページを捲ったのち、ミヤに向かって話し掛ける。


「どう思いますか?」

「そうね。上手くいったら、人を救えるのはもちろん、力を早く取り戻せると思う。やってみる?」


 ミヤの言葉に、ミカドは頷いた。力関係が見えるな。元は神皇陛下と皇配陛下だからか。


「分かった。準備しておこう。皇が退院してからだ。」


 案外すんなり許可してくれるんだな。


「あと、もう、俺とスメラギを入れ替えないでくれ。」

「どうして?」


「スメラギの身が危険だから。入れ替わったまま死んだら元に戻れないんだろう?昨日、神皇国ではリュウサキ一味が皇宮を襲撃してミライを殺したんだ。皇宮の守り神のマロウドも不在のようだし、ツカサも信用ならない。こんな時に、癒しの神子が皇宮からいなくなったら困る。」


 ミヤが蒼ざめた。


「そんな…ミライが死んだ?」

「それも気になるけど、支配する神様と言葉を交わしたのか?」


 二人ともかなり動揺している。俺は一息置いてから答えた。


「支配する神って?」

「えーっと…。」


 言い淀むミカドの横で、ミヤは意を決したように口を開く。


「ツカサ様よ。あの方は、神皇国内にいる者全てを支配する神様なの。同等の力を持つ、転化させる神様、マロウド様とその力を強く受け継いだ者以外は全て、支配する神様の思想に反する行動を取れないの。それは、支配する神様の器である神皇家の人間も含めてね。わたしは即位してからずっと、意識がしっかりしているのに、今だったら考えられないような命令を出しても何も違和感がなかった。自分の意思でそうしたんだと思ってしまうの。他の人も同じ。」


 俺はゾッとした。そんなの、完全な洗脳じゃねえか。でも、リュウサキの証言と矛盾はない。


「支配する神様は、ミヤの命を犠牲にして、リュウサキやカザハナなど、転化させる神様の力を強く継いだ者を殺そうとしていた。転化させる神様は、それを防ぐためにわたしに神力を授けて逃がしたの。わたしは心の奥で神皇としての使命から逃れたい、誰かに代わってほしいと願っていたから、転魂の力が発現した。支配から逃れて正気に戻ったわたしは死ぬのが怖くなり、ミカドを連れて転魂を行った。…取り憑いていた支配する神様を置き去りに。」


 神皇陛下を餌にリュウサキにダメージを与える。今回、ミライが行った手口と同じだ。つまり、ツカサの手口だったのか。十年前はマロウドが本物のミヤを逃がしたせいで、リュウサキが思い通りにミヤとミカドを喰ってしまったわけだ。その後、ヒサメによってリュウサキの右腕が斬り落とされた。本当は、今回ミライが行ったように、敢えてミヤを喰わせて術か何かでリュウサキを道連れにして、ツカサはヒジリに乗り移るつもりだったのだろう。


「転化させる神様ってマロウドのこと?」

「…ええ。」

「話しを聞いた感じだと、ツカサは悪い神だと思ったんだけど、二人はどう思ってる?」


 二人は顔を見合わせた。ミカドが口を開く。

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