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【蘇生スキルで世界最強へ】 無能だと思っていたスキルが進化して最強になりました 〜蘇生スキルを手にした俺は蘇った仲間たちと共に冒険者ライフを楽しんでいく〜  作者: ああああ
第三章 深淵に潜む絶対

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ep.34 【憤怒の魔王】ヴルクラッド


赤い光に包まれて意識を手放したはずなのに、また息をしている。皮膚の焼ける匂いと肺の痛みだけが生々しく記憶に残っていた。もう何度目かの復活を繰り返したあとだ。


──ああ、なんで俺はこんな奴と戦ってるんだろう。



「雑魚雑魚雑魚!雑魚がァ!」



耳朶を裂くような罵声が飛ぶ。炎の剣を振るう赤髪の魔族は飽きもせず嘲笑を繰り返していた。


──痛ぇよ。もう、死にたくねぇよ。


俺がここに来たのが間違いだったのか。こいつに剣を向けたのが間違いだったのか。クルエラやリノだったら、こんな目には遭っていないのかもしれない。そんな後悔が浮かんでは、すぐに胸の奥の怒りに押し流される。



「ガッははっ!すっげぇな!何回でも生き返るじゃねぇか!」



ふつふつと憎悪が湧き上がる。その矛先は炎の魔族に向いているが、同時に抵抗すらできない自分にも向けられていた。



「スキルは強ぇけど、てめぇ自身が弱ぇんじゃどうしようもねぇな!恨むんなら、そんなスキルをお前に授けた運命ってやつを恨むんだな!」



──クソ野郎……楽しそうに殴りやがって。なんでそんなことが平気でできるんだよ。



「神様って奴もヒデェよなァ?弱者に自己蘇生を与えたところでこうなることなんざ分かり切ってただろうに!お前もそろそろ気付けよ。弱ぇ奴はどこまでいっても弱ぇってな!」



……その言葉は残酷なまでに的確だった。これまでの戦いで、俺は奴との実力差を嫌というほど思い知らされてきた。どんな手を尽くそうと届かない壁が、目の前の魔族にはある。それでも俺は──悔しくて、悔しくて、たまらない。



「くっ…………!」



熱に焼かれた目尻から涙がこぼれ落ちた。惨めすぎるだろ、こんなの。

剣を杖代わりにして立ち上がろうとするけれど、膝に力が入らず、何度も地面に突っ伏す。

それでも起き上がらなくちゃいけない。一矢報いなければ。



「うぅ…………」



ただただ嬲り殺しにされるだけの屈辱は耐え難い。怒りや悔しさ、恐怖や羞恥──ぐちゃぐちゃな感情が胸の底から喉へと押し上げてくる。



「ゔえぇぇ……」



吐いた。胃の中身を吐き戻し、酸っぱい匂いが鼻を刺す。目の前の現実を体が拒絶している。



「きったねぇゴミがよ!」



炎が視界を覆う。──また、殺された。



「おら!起きろ!まだまだ殺し足りねぇんだ!」



意識が戻る前に首を掴まれ、頭を焼かれる。熱い、と感じるより早く視界が真っ白になる。

生き返っては殺され、殺されては生き返る。その繰り返し。どんなに抵抗しても、次の瞬間には視界が暗転している。これは拷問だ。終わらない死と再生のループ。痛みと理不尽な暴力への恐怖が心を削っていく。



「やめてくれ……」



焼かれ、切り裂かれ、殴られ続けるのはもう嫌だった。生き返るたびに味わう痛みが怖い。



「あァ!?なんだァ?」



怒りや憎しみが込み上げても、その度に圧倒的な恐怖がそれを塗り潰す。刃向かう意志すら奪われていく。



「もう……許してください……」



気付けば口が勝手にそう呟いていた。両手は震え、地面に額を擦りつける。もっとも惨めな命乞いだった。無意識に……俺は自己防衛のためにそうしていた。



「がっはっは!お前って奴はホントに笑わせてくれるじゃねぇか!命乞いなんかしやがってよ!とことん惨めな奴だなァ!?」



「………………っ!」



何も言い返せない。言い返せばまた殺されるかもしれない、と……。その恐怖が体を拘束する。石のように固まったまま、魔族の足元すら見上げられない。



「でも、駄目だなぁ……お前はここで殺さなきゃならねェ」



──頭上で炎が膨れ上がり、鋭い痛みが背中を貫いた。



「がっ、はぁ……っ!」



剣だ──背骨を串刺しにされた。患部が燃えるように熱く、全身に痺れるような衝撃が走る。肉の焼ける匂いが鼻をつき、意識がかすむ。



「もっと足掻けよ!もっと泣き叫べよ!じゃねぇと面白くねぇだろ!?」



「あがぁぁぁ!!!!」



痛い痛い痛い……!熱と痛みしか感じない。何度剣で斬られようと、何度炎に焼かれようと、奴は飽きない。俺を転がしながら、愉快そうに笑っていた。

視界が暗くなり、耳が遠くなり、体の感覚が薄れていく。もう何度もやってきた死へのいざないが、またやってくる。



「もっと喚けよ雑魚がァ!弱者は弱者らしく!!!!いて!すがって!ひざまずけェ!そして──」



魔族の右手に炎が収束していくのが見える。



自分てめぇが焼かれる姿をその目に焼き付けるんだな!がはははは!」



朦朧とした意識の中、その言葉だけが鮮明に突き刺さる。



「うっ、あ…………」



喉が焼けて声も出ない。頭が割れそうに痛い。手足が動いているのかすらわからない。



「フレム=シーラ!てめぇの力が必要だ!この雑魚は普通の方法じゃ殺せねぇ!永遠に消えねぇ炎を作るぞ!」



魔族の叫びと共に、青白い炎がうねりを増す。周囲の空気を歪ませ、見るだけで肌が焼けるようだった。それは生き物のように蠢き、俺に牙を剥いている。



「あばよ、雑魚。面白れぇスキル持ってっから名だけは聞いておいてやるぜ」



「ぅぁ、ぁ…………」



「ちっ、最後まで面白くねぇ野郎だ……!」



炎がさらに高く燃え上がった。視界が赤く染まる。逃げる気力なんてもうない。

逃げようとさえ思えない。



「冥土の土産だ!最後に俺の名は教えてやろう!」



「あ…………っ」



「憤怒の魔王、ヴルクラッドだ!あの世でも俺の名に震えてるんだな!がははは!……死ねェ!」



視界が白に染まり、もう何度目かも分からない死を迎えようとしていた。


自然と涙が溢れる。……もう、疲れた。こんな苦痛から逃れられるのなら、いっそ本当に死にたい。

天再葬蘇リバイヴ・ディー】──頼む、俺を生き返らせないでくれ。もう、戦いたくないんだ。もう、痛いのは嫌なんだ。どうか──。


……今はただ、この現実から逃れるように眠りたい。それだけだった。



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