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【蘇生スキルで世界最強へ】 無能だと思っていたスキルが進化して最強になりました 〜蘇生スキルを手にした俺は蘇った仲間たちと共に冒険者ライフを楽しんでいく〜  作者: ああああ
第三章 深淵に潜む絶対

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怒り狂う武王


南門は怒号と金属音に満ちていた。押し寄せるゴブリンやヘルドッグを、クルエラは無言で捌いている。彼女は血の粒子を薄く広げ、負傷者の前に立ちはだかるウッドウルフの首を一瞬で斬り落とした。

飛んできた毒の棘は血衝弾ロクトスバールで撃ち落とし、断末魔を上げる魔物が血煙に変わる。どこか不気味な静けさの中、彼女は汗一つかかずに動いていた。


リノはその隣で豪快に笑っていた。翼をばさりと打ち、両手に力を宿してタンクオーガの顎を殴り飛ばす。殴られた巨体が数メートル先まで吹き飛び、ほかの魔物をなぎ倒す。思わず周囲の冒険者が歓声を上げるとリノは「こんなんじゃ全然足りぬのじゃ!」と鼻を鳴らし、汗まみれの男たちを励ますのか煽るのか分からない言葉を投げた。


そんな折、「北門が危ない!」と叫ぶ伝令が駆け込んできた。息を切らして防衛線を走り、冒険者たちに知らせる。リノは興味津々に耳を傾け「おお!早くいこうではないか!」と喜々として叫んだ。クルエラは淡い瞳をその伝令の方へ向けるが、返事をすることなく再び魔物へと視線を戻す。彼女の周囲には血で形作られた長剣が幾本も宙に漂い、いつでも飛び出せるよう漂っていた。



───その少し前。王都の外縁部、北門前線。



怒号と悲鳴が交錯する荒れ地で、ジルベルトは拳を振るっていた。橙色のオーラを纏った拳がダークウルフの頭蓋を容易く砕き、ゴブリンナイトを一撃で吹き飛ばす。彼の怒りは魔物ではなく、誰かに向いていた。顔を歪ませながら「カイン……!」と吐き捨て、目の前の敵を蹴散らしていく。かつての仲間への怒りに任せ、王都の為というより己の憤りをぶつけるように荒れ狂っていた。


仲間の冒険者たちが彼の背に続こうとした、その時だった。血の匂いを乗せた風と共に、瘴気が漂い始める。背後で炎が上がり、悲鳴が響き渡った。振り向いたジルベルトの視線の先には、炎の中からゆらりと姿を現す影。その姿は赤い炎に包まれ輪郭ははっきりしない。目元も口元も、どこか人間離れした線がぼんやりと浮かびが上がっている。


影の存在──魔族は、楽しげに笑った。



「ガハハ!人間のくせにいい表情してんなてめぇは!さぞ怒り狂ってんだろ?いいぜ、力をくれてやる。そいつで好きなだけ暴れ回るがいい!」



刹那、炎の腕がジルベルトの額をなぞった。焼き印のように赤い模様が彼の額に浮かび上がる。抵抗しようと拳を振りかざしたジルベルトだが、その腕は魔族の掌で易々と受け止められ、そのまま強烈な熱に包まれて何もできなかった。周囲の仲間たちは炎に焼かれて倒れ、その後ろで魔族が高笑いを残し姿を消した。


模様が刻まれた瞬間、ジルベルトの瞳から理性の光が消えた。口から漏れるのは「ぐおお……ぎぃ……」といった呻き声だけ。彼は周囲の仲間や魔物を区別しないまま拳を振り上げ、次々と叩き潰した。血と炎がまき散らされ、怒りと憎しみだけが彼の行動原理となっていた。


そして現在。南門の防衛線で、その狂化したジルベルトが姿を現した。重装備の冒険者たちですら、彼の突進を止められない。橙色のオーラに炎の模様の赤が混ざり、巨躯の魔物を片手で引き裂く。



「グォ……グギャァアア……!」



獣の咆哮のような声を上げながら、ジルベルトは門前の人垣へ突っ込もうとした。その光景を見ていたクルエラは黙って一歩前へ出る。両手から血の弾丸が飛び出し、素早くジルベルトを牽制した。



「むむ、見慣れた顔じゃな。しかし理性がないと見える」



リノが眉をひそめる。その視界に飛び込んで来たのは、筋骨隆々とした男性の姿だった。黒の短髪は泥と血でべったりと固まり、皮の鎧はほとんど原形を留めていない。血走った眼は焦点を失い、ヨダレが垂れている。口から漏れるのは言葉にならない呻き声。体の至る所に赤い炎の模様が浮き上がり、波打つ筋肉が今にも破裂しそうだ。


ジルベルト。かつて[龍を追う剣]の武闘家であった男が、炎の模様に飲み込まれ狂獣となってそこにいた。



「グァゥゥ……!!」



獣のような雄叫びを上げると、ジルベルトはまっすぐに突進してくる。盾で守る避難者を踏みつぶし、ウッドゴーレムすら弾き飛ばして、ただただ暴力的な力を振るっていた。まともな理性は残っていない。かつては渦巻くオーラと熟練した体捌きで武技を見せていた彼の姿はなく、炎の模様がもたらす力のままに暴れ回るだけの化け物になっていた。


すぐにクルエラは彼の進路を塞ぐように前へと出る。右手を前に突き出すと、細長い赤い粒子が弾丸となって放たれた。血衝弾ロクトスバール──彼女が掌から放つ最小単位の攻撃だ。狙いは正確で、弾丸はジルベルトの膝へと突き刺さり、脚の動きを一瞬だけ鈍らせた。だが狂戦士と化した男は痛みすら認知していないのか、足を引きずりながらなおも進行を続ける。



「骨のありそうな奴じゃな!」



リノが先んじて飛び出した。彼女の腕が振るわれる。ドゴォッという空気を揺らす音と共に、ジルベルトの体は地面へと叩きつけられた。その巨体が地にめり込み、周囲の土と瓦礫が散り散りに跳ねる。しかし、彼は起き上がると怒りに唸り声を上げ、今度は地面を掌で掴んで土を投げるような仕草を見せた。石礫が飛び散り、兵士や避難者が一瞬顔を覆う。



「こざかしい!」



血管の浮かぶ両腕を振り上げながら暴走する男に対して、リノは身体を半回転させて蹴りを見舞う。軽く振ったように見えたその一撃で、ジルベルトはかなり遠くに吹き飛び、建物の壁を壊して倒れた。しかし、彼は身体中の筋肉を膨らませ、またすぐに起き上がる。眼は血走り、口元から泡を吹いている。言葉はもはやなく、残るのは怒りと憎しみを象徴するような呻き声だけだ。


クルエラは避難者に血の鞭を伸ばし、倒れていた女性を安全な場所まで引き寄せた。手際良く止血を施し、再びジルベルトの方を見る。次々と殴りかかるリノの拳を、彼は本能のままに拳と拳で受け止める。手が爆ぜようと関係なし。その全てが感情に任せた攻撃だ。防御も回避もなく、ただ前へ進むばかり。その光景を見たクルエラがため息を一つ。



「……悪く思わないで」



クルエラの指先が弧を描いた。赤い粒子が一瞬で集まり、半月形の鎌を形成する。血斬鎌ロクトフォルス。刃先は薄く鋭く、それでいて手元の柄は生命の温もりを感じるような武器だった。



「ぐ……ぎゃ……!!」



ジルベルトが獣のように叫びながら振り上げた拳に、リノが真横から踏み込む。腹部に一撃をもらったジルベルトはよろけ、クルエラのほうへと飛ばされる。彼女は半歩踏み込み、大鎌を水平に振り抜いた。


赤い軌跡と共に、ジルベルトの首が飛んだ。眼と口が見開いたまま、ゆっくりと地面に落ちる。炎の模様が額から消え去り、同時に残された身体ががくんと崩れ落ちる。びしゃりと血が噴き出し、地面を染めて蒸気が立った。


重い沈黙が一瞬だけ広がった。戦いに加わっていた冒険者たちは息を呑み、隣り合う兵士たちの嘆息が交差する。クルエラは何も言わない。赤い鎌が霧のように消え、再び無言の佇まいに戻った。



「次へ行く」



それだけ呟いてクルエラが振り返ったとき、遠くから新たな叫び声が聞こえてきた。



「西門に本隊が接近中! 南門の十倍規模のスタンピードです!」 



兵士が息を切らしながら走り叫ぶ。その顔は青ざめ、背後からは巨大な砂煙が天を覆うのが見えた。土煙は南門とは比べ物にならない高さと広さで、まるで行軍を告げる雲のようだった。

戦いは終わらない。今度は西門で、さらなる波を迎え撃つのみだ。クルエラは踵を返し、リノは笑みを深めた。





「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、ページ下の評価☆☆☆☆☆5つ星をよろしくお願いします! 「面白くない……」「ここおかしくない?」など思った方は、ぜひ感想にてご指摘してください! どちらも私の向上心を後押しする材料ですのでどんどんお願いします!


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