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【蘇生スキルで世界最強へ】 無能だと思っていたスキルが進化して最強になりました 〜蘇生スキルを手にした俺は蘇った仲間たちと共に冒険者ライフを楽しんでいく〜  作者: ああああ
第三章 深淵に潜む絶対

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ep.30 悪魔の禁書


書庫室の奥へと足を進めながら、俺は棚という棚を順に確認していった。

重く乾いた紙の匂いが鼻をかすめ、静けさが耳を圧迫する。

手に取った一冊『イザベラの破滅写本』──これは違うな。

もう1つ手に取ってみる。『究極の運命論』──これも違う。

その隣に視線を移す。『ドキドキ!シスター直伝<夜の聖魔法>』──おまっ、これはダメだろ。怪しすぎるって。


いくつか手に取っていき、やがて悪魔関連のタイトルが目にとまりだした時、ついに『悪魔存在記録索引』と金文字で刻まれた背表紙を見つけた。開くと、確かに悪魔の一覧がずらりと並んでいる。


だが──。



「……無いな」



ページを何度見返しても、「ヴェル」という名は記されていない。

似た響きの名前はあるが、微妙に綴りが異なる。

ため息をつき、本を棚に戻したその時──背後から不意に声がした。



「おやおや、珍しいお客さんだね」



振り返ると、中年の男が立っていた。黒い法衣に身を包み、肩までの銀髪をきちんと撫でつけたその姿は、いかにも教会の関係者らしい。一瞬、見つかってしまったかと焦ったが、この人はあまり気にしてない様子だった。



「あ、あなたは……?」



「この書庫室の管理者ですよ。いやぁ、冒険者が禁書の棚に来るなんて珍しい。何かお探しかな?」



「あの……」



少し迷ったが、ここで隠す理由もないだろう。



「ヴェルという名の悪魔について調べています」



男は眉をひそめ、「ヴェル……?」と小さく繰り返した。

その瞳が一瞬、遠い記憶を探るように揺れる。



「はて、どこかで聞いたことがあるような……あっ、そういえば──」



何かを思い出したらしく、ぽんと手を叩いた。



「もしかしたら、あの本にあったかもしれません。ちょっと待っていてください」



そう言って背を向けかけた男は、ふと小声でこう呟いた。



「……しかし、あれを“悪魔”と呼んでいいのやら」



胸の奥に、言いようのない引っかかりが生まれる。

“悪魔と呼んでいいのやら”──どういう意味だ?

だが問いただす前に、男は静かな足音を響かせ、書庫の奥へ消えていった。


やがて彼が抱えて持ってきたのは、厚みのある古びた書物だった。革張りの表紙は深い緑色で、金の装飾は擦れているが不思議な気品を放っている。



「これは太古の時代、エルフ族の一人が執筆した歴史的価値の高い書物です」



そう前置きして、男は大切そうに表紙を撫でた。



「今では“不踏大陸”と呼ばれるアルヴァノン……その地において、神話の時代を生き抜いた著者が、自らの目で見聞きした出来事を書き記しています。戦乱、災厄、そして人智を超えた存在との邂逅。まるで生きた証言のようですよ」



聞きながら、俺は自然と息を呑んでいた。

そんな本がこの世に残っていること自体、奇跡のようだ。



「彼はその後、イーシェル大陸へと移り住み、この書物を各地の学舎や教会に配って回ったと伝えられています。ですが、時の流れと共にその数は失われ……今では世界にたった四冊しか残っていません」



四冊──。思わずその数を反芻する。

世界の広さを思えば、ほとんど幻のような存在だ。



「もちろん触ることは禁止されています。状態を保つためにもね。代わりに私が探して差し上げますよ」



そう言われ、俺は頷くしかなかった。

禁書の中の禁書。手に取れないもどかしさはあるが、ここで見つかるかもしれないという期待が勝る。

男は慎重にページを繰り始めた。

厚い紙が擦れる音が静寂を裂き、ひとつひとつの文字が光を帯びるように目に入っていく。


やがて──



「あった、これかな?」



男の指が止まった。そこには確かにこう記されていた。



『ヴェル=ベント』



「原初の悪魔の名だ」







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