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【蘇生スキルで世界最強へ】 無能だと思っていたスキルが進化して最強になりました 〜蘇生スキルを手にした俺は蘇った仲間たちと共に冒険者ライフを楽しんでいく〜  作者: ああああ
第三章 深淵に潜む絶対

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ep.29 スタンピード


ジルベルトに勝った──その事実は、嬉しいはずなのにどこか引っかかっていた。


あれほど罵られ、怒鳴られ、殴られても何も出来なかった俺が、ついに奴に一矢報いた。奴の捨て台詞や悔しそうな顔を思い返すと少しだけ胸がすく。

けれど、ジルベルトの捨て台詞が耳の奥から離れない。「この借りはいつか必ず返す」──怒りと憎しみを宿したあの目。かつての俺なら怯えていただろうが、不思議なことに今は嫌悪や恐怖ではなく、妙な安堵と覚悟が胸に残っている。彼なりの執念なのか。あるいは俺自身の成長を認めた結果か。真意を測る術はないが、少なくとも俺はもう逃げないと決めた。



「気にしたところで仕方ないか……」



一人で呟き、俺は頭を振って歩き出す。とりあえず今の目的はヴェルの蘇生だ。気を取り直し、クルエラとリノと共に王都の端にある分教会へ向かう。森の裏手に佇む小さな石造りの教会は、昼でも薄暗い森の中で温かな光を放っていた。年老いた神父が俺たちを迎え入れ、話を聞いてくれる。



「やあ、カインくん。最近顔を見なかったから心配しておったぞ」



「お久しぶりです、神父さん。実はちょっと困っていることがあって……」



蘇生のことは伏せつつ、ざっと事情を説明すると神父は眉根を寄せた。



「ヴェル、と言われてもな……イーリス教の教本には似たような名はいくつかあるが、悪魔の本名までは書かれておらん」



「やはりここでは調べられませんか?」



「うぅむ……もしかしたら禁書レベルに記されておる悪魔やもしれん」



「禁書……?」



その響きだけで背筋がひやりとする。冒険心はくすぐられるが、まだ踏み入ったことのない領域だ。

とはいえ、そこまで恐ろしい代物というわけでもない。多くは神の教えに背く術式や、悪魔との契約方法といった“知ってはいけない知識”を封じているだけだ。恐らく信仰に必要のない教えを制限しているのだろう。昔村にいた冒険者からそう聞いたことがある。



「ああ、教義的に問題のある存在や禁忌の術に関する記録は中央の協会本部で管理されておる。『中央協会の書庫』に行ってみるとよい。わしからも許可書を書いておこう。これなら多少は便宜が図れるじゃろう」



ありがたい申し出だ。礼を言い、俺たちは教会を後にする。


中央協会は王城の内壁にあるイーリス教の本部だ。そこには大陸中の文献が集まり、当然禁書も含まれる。ただし閲覧には厳しい審査が必要だ。本当に見せてもらえるのか──不安を胸に歩を進める。


街道を歩いていると、遠くからただならぬざわめきと馬のいななきが響いた。

視線を向けると、砂埃を巻き上げながら商団の馬車が城門へ駆け込んでくる。その先頭に見覚えのある二人──コンラットさんとトマソンさんがいた。



「どうしたんですか?」



「まずい……!スタンピードだ! それもかなり大規模な!」



「なっ……?!」



かなり焦った様子のトマソンさん。後ろにいたコンラットさんが馬車を降りる。



「トマソン!城門に報告を頼んだ!俺はギルドに報告してくる!」



血相を変えたコンラットさんの様子から、本当にただならぬ事態だと理解する。俺たちも迷わずコンラットさんについてギルドへ向かった。


ギルドの中は先ほど以上の混乱に包まれていた。依頼カウンターは閉鎖され、エルメニコさんをはじめ幹部たちが声を張り上げて応援を手配している。天郭の魔術士たちは防御結界を準備し、高ランクの冒険者たちは鎧に汗が滲む暇もなく馬に跨がっていた。



「城門南側からも魔物が迫ってる!東門も数が多いらしい!」



「炎の模様を持つ魔物も複数確認!注意しろ!」



炎の模様……。トマソンさんやクレイジーベアーのアザと同じものだろう。誰かが意図的に配置しているのだろうか?嫌な胸騒ぎが広がる。



「どうしよう……俺達も加勢にいくか」



「戦いかっ!!戦いなのか!!」



俺の一言にリノが食いつく。だが、クルエラが服の裾をそっと引いた。



「ヴェルなら、得意な状況……」



その言葉に少しだけ考える。



「ヴェルなら、この魔物の大群を片付けることができるのか……?」



クルエラは小さく頷く。隣にいるリノも「確かにあやつは得意じゃろうなぁ」と賛同した。



「わかった。ならヴェルを蘇生するために中央協会へ急ごう!」



「待つのじゃ!我はここの民たちを救ってくる!」



「リノ!それ戦いたいだけだろ!」



「うるさーい!!ここは任せてお主は先に行くのじゃー!!」



一歩も引かぬという形相のリノに呆れてため息をつく。チラリとクルエラを一瞥すると、彼女は察したように小さく頷いた。



「リノは任せて」



「はぁ、まったく……。クルエラを困らせるんじゃないぞ」



「わかっておる!!」



本当にわかっているのやら。まぁクルエラがいるから大事になることはないだろうけど。



「クルエラ、あとは頼んだ」



「カインも気をつけて」



俺は頷き、西側区画の中央協会へと走る。普段は活気あるこの道も、今日は緊迫した空気に包まれていた。慌ただしく動く冒険者や商人たちをすり抜け、協会の重厚な大扉を押し開ける。


荘厳な回廊の先では、シスターたちが負傷者の治療に追われていた。クエスト中にスタンピードに巻き込まれた冒険者たちだろう。

普段は見張りがいる書庫の扉も、今日は人影がない。迷わずその扉を開けると、天井までそびえる本棚が視界いっぱいに広がった。


紙の匂いが鼻をくすぐる。

──ヴェルに繋がる手がかりは、この中にある。






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