研修終了~初仕事
14日間の研修を終えた俺たち三人はランス社長の前に立っていた。
「ご苦労様!研修の成果はそれぞれ聞いている。ひとまずは形になったようだな。これからは仕事を通じてこの世界に慣れていってもらう。正式に仕事を始める前に社員証と携帯電話を渡しておこう」
俺たちの絵?が描いてある身分証か、これは?
それに何か数字が並んでいる道具だ。
「リリス、後で使い方を説明してやれ。まだ、この世界に慣れていないお前たちには、魔物の討伐依頼を何件かこなしてもらう。リリスとお前たち三人でだ」
「えー、ムサシと一緒じゃないの?初心者のお守りはめんどくさいなあ」
リリスが横目でこちらを見ながらため息をついている。
俺たちも小さな女の子のようにしか見えないリリスをジト目で見ている。
「ふふっ、リリスを見かけで判断しない方がいいぞ!彼女は非常に気配に敏感で索敵能力に長けている。パーティに一人は欲しい人材だ、サラは彼女から学ぶといい」
「えっと……俺は?」
「……人には向き不向きがある。カストロは向いてないな。ガウスはもっと魔力の操作を覚えてからだな」
むう……先を越された感があるな。
それより初仕事は?
「仕事だが地竜討伐をしてもらう」
「!地竜……やたら硬いしタフで私と相性が悪いじゃないの!」
リリスが文句を言っている。
確かにドラゴンは元の世界でも強敵が多かったが……この世界でもそうなんだろう。
「ははは、しかも、一匹でなく群れでたくさんいる」
「無茶苦茶言うな!」
「この依頼はリリス向けじゃないが、ガウスにはうってつけだとクレイが言ってたからな」
「俺!?どういうことですか?」
「相手は硬くてタフだがそこまで素早くはないし、威力を気にせずぶっぱなしていいからとクレイは言ってたぞ」
うーん、褒められているか微妙!?
俺たちは地竜の群れがいるという谷に向かっていた。
途中までは車で、そこからは徒歩だ。
道中は魔物が出てきたが魔力銃と初級魔術であっという間に蜂の巣だった。
魔力銃と初級魔術の組み合わせだとほとんど隙なく弾幕を張れる感じだな。
みんなはあきれた顔をしていた。
リリスに魔力を温存しておけと言われて自重した、ちぇっ、まだまだ大丈夫なんだけどな。
リリスは魔物が姿を見せる前からどっちにいるか教えてくれる。
こちらから先制攻撃できることがあり、相手から不意打ちをくらうことが全くない、なるほど人は見かけによらないもんだ。
サラは防御結界を尖らせて魔物を串刺しにしてる、どこが防御結界だ!?
そして、サラはリリスに魔力による索敵の仕方を教わりながら進んでいた。
才能があってうらやましい……。
カストロは防御するだけで相手にダメージを与えている。
以前から使っていたが威力があがっているようでそれだけで魔物が倒れることがあった。
接近戦はしたくないな。
と思っていたが遠距離攻撃をそのまま跳ね返したりもしていた。
リリスが立ち止まった。
この先に地竜の群れがいるようだ。
リリスがみんなの顔を見て言う。
「役割を確認するね。ガウスは魔力銃で牽制しつつ、最大威力の魔術を使って!あまり地形を変えてほしくないらしいので冷却系にでね」
「了解!」
「カストロはガウスの護衛、ガウスの魔術がないと火力不足になるからしっかりね」
「まかせろ!」
「私とサラは地竜がなるべくはぐれないように一ヶ所に集めるように立ち回ること、倒そうとはしなくてもいいよ」
「わかったわ」
作戦開始だ!
前に進むと地竜たちは敵に気がついたようで俺たちの方へ向かってくる!
俺は最上級の呪文を詠唱しつつ魔力銃を撃つ。
地竜の背中に直撃させても一瞬ひるむくらいで前進をやめない!
俺はさらに連射する、鼻先に当てると衝撃で地竜がひっくり返った。
ひっくり返った腹を狙うとダメージを与えたようで動きが鈍くなっている。
その間に他のアース・ドラゴンが近づいてきている。
サラの結界によって一ヶ所にだんだん集まってきている、だんだん狭くなる道のような結界らしい。
さらに集まったところにカストロのインビジブルシールドがあったようで混乱している。
その後ろから別の地竜がぶつかってきて大騒ぎだ。
リリスは結界の外にいた一体と向かい合っている。
リリスが何回も斬りつけているようだが、硬いウロコにはじかれているようだ。
あれでは倒せないだろう……と思ったらいきなり地竜が倒れて動かなくなった。
何をしたのだろう?
そんなこんなで呪文の詠唱が終了した。
「みんな!俺の後ろに!」
全員素早く撤退してくる。
「よーし!絶対冷凍波!」
谷間全体が真っ白に凍りついた。
地竜たちは氷の彫像のように固まって動かなくなっていた。
「やるねえ、ガウス!見直したよ!ちょっとオーバーキルだけど」
リリスはニコニコしてガウスの顔を覗き込んでいた。




