ここはどこだ?
白い空間を長く落ちていった後、ふと気がつくとガウスたち三人は森の中にいた。
一体どれくらいあの空間にいたのか、時間の感覚がない。
まだ二人の体をつかんだままでいた、カストロに言う。
「おい!そろそろ離してくれ!」
「ああ……悪い。ここはどこなんだ?」
「一体どうなったの?壁をぶち破ったりしたのがまずかったの?」
俺は周りを見回してみる。
違和感を感じる。
草木が見たことがないものばかりだ……いや少しだが見覚えがあるものもある。
「……壁をぶち破らなくても転移の罠を踏めば、高確率でこうなっていた気がする」
「転移の罠では同じ迷宮内に出るものじゃないのか?」
「見たことのない木が生えている森ね」
「あの白い空間は普通ではなかったからな……植物に詳しかったらここがどこかわかったかもな」
この時俺たちは自分たちの世界のどこかに飛ばされたのだと思っていた。
そりゃまさか異世界だなんて思ってもみないよね。
その時、後方に強大な魔力を感じる。
振り向くとガサガサと草をかきわけ巨大な白い虎のような魔物が現れ、こちらにすぐに襲い掛かってきた。
不意打ちのつもりか!?
「カストロ!抑えてくれ!サラは援護を頼む!」
「休む暇もねえな。まかせろ!」
「きゃあ!何よ!あの大きな魔物?」
俺はすぐに詠唱を始め、いつものフォーメーションで対応する。
カストロが少し弾き飛ばされそうになるがなんとか踏ん張っている。
サラは普通の結界では止められないのを見て、小さいが集中した結界をカストロの前に出現させて魔物の攻撃を防ぐのに成功していた。
まったく器用な奴だ。
そして俺は巨大なかまいたちを発生させ魔物を切り刻んだ。
俺の魔術が発動したら勝ち、それが俺たちのいつものパターンだった。
たいていオーバーキルな感じだけどな。
一休みしようと思ったが、さらに周りに魔力を感じた。
さっきの魔物に比べたらだいぶ弱い気配……。
俺たちは油断していた。
俺は何者かが魔術を使おうとする気配を感じ、反射的に対魔術の結界を張った。
だが、何も起きない!?
急に周りが静かになったように感じられた。
「……!?」
「……」
「!?」
何も聞こえない。
俺はカストロとサラが口をパクパク動かしているのを見て呆然となった。
俺はあわてて呪文の詠唱を始めるが魔術が発動する気配はない。
そんな魔術は聞いたことがないが何らかの魔術をかけられたのか!?
そこは三人の人影が近づいてきた。
一人は刀を持った男で、落ち着いた雰囲気を持っている。
その男は武器をしまい敵意がないことを示し、身振り手振りでこちらに来いと言っているようだ。
もう一人の筋肉ムキムキの男は俺たちの倒した白い虎の死体をかついでいるようだ。
もう一人、背の小さな女の子が刀を持った男に向かって口をパクパク動かしているのが見えるが何も聞こえない。
俺たち三人は顔を見合わせると相手の方に歩き出した。
だってどうしようもないしな。
敵意はなさそうだし、ここだどこか知りたい。
相手に近づいていくと急に物音が戻ってきた。
刀を持った男が笑顔で話しかけるのが聞こえる。
「ようこそ!カオスワールドに」




