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怪を喰む  作者: 毎日馬鹿
もぐもぐキューカンバー
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もぐもぐキューカンバー008

正午を過ぎ、僕や皿谷ちゃんが濡れたままなのも風邪をひいてしまうだろうと、僕らは川近くにあるという、訝屋 依の根城に向かった。

「ここだよ」

〝逢住公民館〟そう入口には虫が食って年季を感じさせる縦看板があった。どう考えても不法侵入である。この倫理観の緩さは、それこそ彼の言っていた若かりし頃の名残なんだろうか。

「これって大丈夫なんですか……?」

「大丈夫だよ、電気もガスも上下水道も使える。とりあえず2人はシャワーを浴びてくるといい。俺はその間に軽い準備をしておくから」

僕が聞いたのはそういう事ではない。皿谷ちゃんを先にシャワー室に向かわせ、不法侵入の刑量と逢住地区について調べる。逢住は来浜と合併し今は逢来地区として旧来浜公民館を改装して新しい公民館にしているらしい、土砂崩れの避難所の欄に辛うじて旧逢住公民館の名前があったため、ここのインフラが生きてるのはそういう事なんだろう。最悪3年以下の拘束刑または10万以下の罰金だ。バレるなら僕が居ない時にして欲しい。

皿谷ちゃんが上がり、熱いシャワーを浴びて生き返る。25°Cを超えて夏日だと予報士は言うが、まだまだ寒暖差が激しく、特に山中の田舎町であるココはよく冷える。

シャワー室から上がれば、畳の大広間でおおよそ訝屋に作って貰っであろう皿谷ちゃんはカップ麺を食べていた。訝屋はホワイトボードになにやら書き込みを行っている。

「アリクイ君も上がってきたことだし、今後の作戦会議でもしようか。作戦名はそうだな、2人のヒロインに挟まれてるし、修羅場脱出作戦とかどうだい」

少女と故人の修羅場なんて、ご遠慮願いたい。

状況を整理すれば、川の怪異つまりは黒い手つまりは河童そして幼なじみルート、記憶喪失の少女ルート、訝屋曰くこうだそうだ。どちらの解決策も見えていないが、訝屋はもうほぼ八割解決しているという。しかしまだ言えないと勿体ぶる。

「モグリちゃんが警察や親をここまで強く嫌がる以上は、何かしらの原因があると思っていて。それでも記憶を戻す為にはやっぱり何かしら情報は必要だと思うんです」

なるほど、なるほど、と訝屋は咀嚼するように頷く。

「ソレは逃げじゃない?」

そっちで良いんだな、とそう言いたげな返事だった。

「逃げでは、無いです」

そう答える、ならいいんだよ、と珍しく悪態をつかれぶに飲み込まれる。

「そしたら、皿谷ちゃんとアリクイ君で皿谷ちゃんの記憶が戻るヒントでも探してきて、俺を信用できるならここの拠点は好きに出入りしてもらって構わないから。俺は河童退治のための準備とできるならモグリちゃんにまつわる情報も集めとくよ。夕方頃再集合で」

同意する。黒い手に襲われた少女、つまりは幼なじみが迷惑をかけた被害者である。その尻拭いが、今僕のやるべき事だと思った。


「じゃぁ、修羅場脱出作戦を決行とする!」

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