もぐもぐキューカンバー007
どこから聞く?
黒い手か、俺か、それとも怪異か。
でも、何にもわかんないんだろ。
まぁいいや。
〝黒い手〟〝俺が何者か〟そのどちらを語るにしても〝怪異〟の存在を知ってもらわないと理解できないだろうから、先ずは〝怪異〟について語ってあげよう。
怪異っていうのはね。
隣に居るくせに触れない奴らだ。
普通は、出会わない。
勿論、その方がいい。見たら、向こうもやってくる。
連中はそれでいてどうしようも無く理不尽ときてる。
疫病神みたいなもんだね、〝怪異〟は見ざる聞かざる言わざるが吉なんだよ。
そして〝俺が何者か〟について。
端的に語るなら、それらの〝怪異〟を回収して、ほどいて、また組むそういう仕事。
慈善事業じゃないよ、しかもサラリーマンだ、上司は怖いし、大物相手だと死にかけることなんてザラだし、命なんて、まぁ軽い。
さて、ここまで着いてきてるかなアリクイ君。
ここまで語れば後は君の想像通りだとは思うんだけど、折角だ、おじさんの語りをもう少しだけ聞いてけよ。
〝河童〟ってさ、何だと思う?
君の知ってる物をまず聞かせてよ。
川にいる。
小さい。
人型の。
そうそう、典型的だね。でも合ってるよ。続けて。
頭に皿乗っけて亀の甲羅を担いだUMA?
それはまた極端な河童像だね、河童像って河童なのか象なのかわかんなくなる面白い言葉だね。
でも遠くない。
古典的な事をいうなら、元来河童は水神の零落した姿だとか言われてるんだけど、これは同情だろうね。
ほら、もっと考えてみなよ。
なんだと思う?
頭の皿?
亀の甲羅?
ツルッとした緑色の皮膚?
ギョロっとした目玉?
尖った口元?
やや小柄な体躯?
推測してみなよ。
人型が、膨らむ。
色が変わる。形も変わる。
ほら、繋がってきただろ。
アリクイ君は顔色がわかりやすいね、楽しいよ。
川にいる小さい人型なんてさ、わかるだろ。
そこは、人を変える。口元はふやけて、目玉も落ちる。流されて削れて。血色だって変わる。
いい顔するじゃん。
でもそんなに叫ばないでくれよ。モグリちゃんが怖がっちゃってるじゃないか。
折角君が助けたんだちゃんと大切にするべきだと思うけどね。
これが河童の正体だよ。
そしてやっと今件だ。
長かったね、後ちょっとだよ。
この1年で、20人以上引き込まれてる。
全部未遂だけどね。しかも、同じくらいの歳ばっかり。
辿っていけば、すぐだったよ。
全部、君の幼なじみに繋がる。
寂しかったんだろうね、きっと今も。
たぶん、あの引き込んだ先の、暗く静かな川底に、彼女の残りがまだあるんじゃないかな。
そういう引っ張ってくれるやつだったんだろ。
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