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『残憶レプリカ:』プロットver  作者: 毎日馬鹿
参章 ぱらぱらドリーム
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ぱらぱらドリーム002

エアコンの音さえ響く、図書館内は話すには静か過ぎた、僕と縒木は必要だったあの1冊を借りて図書館を後にした。


しかし、世間はゴールデンウィーク真っ只中。

この町に数少ないオシャレなカフェなんてものは当然満席で、ファミレスでさえ学生と家族連れで溢れていた。

結局僕らは、連日皿谷と来たあの公園の、簡素なベンチに腰を落ち着けた。


「それで、話ってなんだよ」


「それはね……。××さ、今日暇だったりしないの?」


藪から棒に彼女は問う。タイムカプセルの手掛かりを探したり、あの幽霊の少女との約束を果たす用はあった。

この資料から、何か記憶に引っかかるものが見つかればと思っていたのだけれど。


「予定が無いことは、無い」


「女?」


「うるさい」


「図星じゃん。ゴールデンウィーク満喫してるんだね。羨ましいよ」


「……もし、暇だったら。どうだって言うんだよ」


縒木は妙に機嫌が良さそうに見えた。

いや、違う。上手く言えないけれど、ブレーキの壊れた人間みたいだった。


「そうだなぁ」

縒木は少し考えるふりをしてから、悪戯っぽく笑った。


「──駆け落ちとかどう?」

笑っているのに、その笑顔は軽かった。


「冗談はよせよ」


「××さ満更じゃないでしょ。ずっと席隣だったんだから、君の視線くらい流石にわかるよ。このスケベ」


突拍子も無いその冗談を、茶化しながらも彼女は否定せずに踏み込む。普段は見せないような、子供っぽく悪戯な笑み。それでも目の下には薄く隈が浮いていて、どこか寝不足の人間みたいな顔だった。


「変なもんでも食べた?お前らしくない。いつもの優等生ちゃんはどこいっちゃったんだよ」


「……知らないよ。死んじゃったんじゃないかな」


そう彼女は笑う。笑っているのに、どこか他人事みたいだった。

自分のことを話しているはずなのに、まるで別人の噂話でもしているみたいに。


「……駆け落ち、なんてのは流石に冗談なんだけどさ」


彼女はベンチへ視線を落としたまま、

小さく続ける。


「それでも、ちょっと巻き込まれて欲しいんだよね」


「面倒事は勘弁してくれよ」


遠くでサイレンが鳴る。遠目に見えたパトカーが、ゆっくり路肩へ停まった。


「私さ、家出中なんだよね。一昨日から家帰ってなくてさ」


警官が1人車から降りるとこが見えた。

ただそれだけなのに、妙に心臓が嫌な音を立てる。


「流石に、今頃お尋ね者かもね」


──だから、××。

私と一緒に逃げてよ。


悪い冗談だと思った。少なくとも、いつもの縒木は、冗談でもこんなことを言う奴じゃなかった。

それでも。その目は少しだけ必死だった。

僕は縒木の細い腕を掴むと、そのまま公園を飛び出す。


「……え、ほんとに?」

呆れたみたいに笑う声を背中で聞きながら、僕はそのまま走り出した。


風が抜ける。

掴んだ腕だけが、

妙に熱かった。

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