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『残憶レプリカ:』プロットver  作者: 毎日馬鹿
壱章 もぐもぐキューカンバー
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もぐもぐキューカンバー003

「……待ってください」

圧に押される。でも。


「今、それですか。先にこの子でしょう。親御さんだって心配してるかもしれません。」


〝黒い手〟について依さんから聞かれた俺は返す。

今優先すべきはあの黒い手では無く、少女のはずだ、と。


そう思っている。

……けれど。

それと同時にあの黒い手の事を僕は、話したくない。


厳密には溺れたあの時、引きずり込まれそうになったあの時に見てしまった黒い手と、その先の××。

思い出しかけて、やめる。


「顔に出てるよ。少年」


依さんは口角を上げながらそう言う。

この人は本来こう笑うんだろう。先程までの雑談とはまた表情が違う。


「順番はどっちだっていいよ。でも、聞いときたいんだ。仕事だからね。少年からすれば勿論その方が合理的に見えるのもわかる。黒い手の件は俺個人の興味というか、お仕事に関わるから聞きたいんだ。今はそういうことでいい。ただ、彼女はほら」


そう促され皿谷ちゃんへ目をやると、彼女は青ざめた表情で

「警察はダメです。……親も、大丈夫です。放っておいてください。大丈夫ですから」

と声を震わせ、腕を抱いて縮こまる。


「理由は……わかりません。でもダメなんです」


こうも押されては何も出来ない、しかし解決にならない。しかし年端もいかない少女が親元を拒むなんて。

……普通じゃない。


「おじぃちゃんやおばぁちゃんだったら、大丈夫かな?どの道記憶喪失になった君をここに放置する訳にもいかない」


「それなら」

と細く返してくれたものの

「でも、思い出せません」

と彼女は言う。


「そういう事で、少年の話が聞きたいんだよ。知ってること、全部。そして約束する、君の話が今件を解決する大事な糸口になる。」


……関係あるのか?


「救うなら。最後までだ」

……ズルいだろ。


「わかりました。でもすこし感情的になってしまうかもしれませんが」


「若いんだから、それくらいでいいんだよ。それじゃぁ、拝聴させてもらおうかな」

そう訝屋 依は僕に目線を合わせる。


喉が重かった。それでも僕は、口を開く。

あの黒い手と、その奥の××の事を。

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