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軍師日記 ~借り物知識で異世界統一~  作者: 楼那
柳泉という男
5/80

5.謁見

少し長いです

太陽暦1304年6月終旬 高柳泉


山の中で拾ってくれた一団はどうやらとんでもない人たちだったらしい。今になってそう理解した。俺が通された部屋は大広間。正面には一段高い場所に一席用意されている。

そして俺の目の前に座っているのは、拾ってくれた一団の主「高朱光」という子供、俺の隣には白い髭の似合う「許雄全」という老人が座っている。このような状況、日本にいたときにはそうそう体験するものでも無い。緊張で背中は冷や汗でビショビショだ。その原因の1つにこっちを・・・っていうよりも俺をジッと見ている男のことがある。腰には刀らしきものも差しているし、今にも斬りかかられそうだと思った。

そんなことを考えていると、広間に通ずる廊下が少し騒がしくなる。先ほどまでこっちを睨んでいた男も頭を下げた。いよいよだ。察するにこの地域を治めている領主の登場だと理解し、一緒に座っている2人に習って頭を下げる。

 なんとなく上座に座る気配を感じ、それと同時に俺達の両脇をと言っても部屋に対してだが、座っていく家臣らしき人たち。

「面を上げよ。朱光、良く戻った。雄全もよく無事で帰ってきた」

「ありがとうございます。父上」「ありがとうございます」

2人は再度頭を下げる。って俺はどうすれば良いの?左右の家臣達の視線は明らかに俺が集めているし、領主と思わしき朱光様の父親も俺と視線があった。そしてニッと笑われる。それを不快そうに、先ほどまで俺を睨んでいた家臣の方がこっちを見ている。

「それで龍尾の郷は如何であった?」

「はい。大きな問題も無く、むしろ前に訪ねたときよりも立派な都市へとなっていました。陸宰相が進められている鉱山開発も順調なようです」

とても俺より年下とは思えない受け答えに感嘆の声を上げかけて、慌てて口を閉じる。それをまた不審げに見られる。・・・もう嫌だ。

「なるほどな。陸桂葉に褒美を取らせよう。それで道中は如何であった」

「主街道は大方整備されております。ですが少し道を離れると、賊に襲われます。商人や旅人と思われる骸も確認しました」

 確かにあった。それもたくさん。正直あれにはかなり参った。

「そうか。白轟、そちに任せる。賊の根城を一掃し、街道の安全を維持できるよう法を整える」

「はっ!担当のものと話をつけましょう」

 俺から見て右側に並ぶ1番領主様に近い男が頭を下げている。

「さて、朱光よ。他に気になったことはあったか?」

「はい。どうやら東側の諸国より人が来ております。理由は分かりませぬが、何やら動きがあったのかと」

なんとなく領主様の目線を追ってみる。今度は反対側に控える俺と同じくらいの男に視線を合わせた。するとその男が小さく頷く。きっと何か知っているのだ。となると、あの若い男も何か偉い人なのだろうか。

「うむ。やはり朱光に任せて正解だったようだな。今後も励め」

「はっ!」

一瞬周りの空気が緩んだ気がした。誰もが緊張していたらしい。そして次の領主様の言葉でもう一度緊張感が漂うことになった

「これで謁見は終わりだ。朱光、呂登、雄全そちらは残れ。朱光の客人も同様に、だ」

 この言葉にざわめきが起きる。まぁそりゃそうだろう。話の流れ的にこれから俺の話を聞くんだろうからな

「兄上!先ほども申しましたが!」

「くどいぞ、白轟。それにあの者は朱光の客人である。無礼は我が許さん」

 結局渋々といった様子で控えていた家臣の皆さんは退出していった。ただし1番退出して欲しかった人は残っているが。おそらくあの人が呂登という人なのだろう。

「済まなかったな。我の臣らが」

「い、いえ。当然のことだと思います」

また睨まれた。もう本当に勘弁して欲しい。

「それで少し呂伏・・・この者の倅だな。に聞いたのだが何やら妙なことを言っているらしいな」

「父上、それは私からお話しいたします」

朱光様が俺の拙いしゃべりを見て助け船を出してくれたのだが

「朱光、今我はこの者と話しておる。そちは聞いておれ」

「はっ、申し訳ありませぬ」

 残念ながら俺が話す以外の選択肢はないようだ。

「まずは名乗ってもらおうか。名前がわからないのは不便なものだ」

「はい。俺・・・私の名前は高柳泉と申します」

「フム・・・変わった名前だな。少なくともこの大陸の者の名ではないな」

「はい、私もまだよく分かっていませんが、確実に言えること、それは私がこの世界の住人ではないということです」

 呂登さんの手が腰に差している刀に伸びた。それを領主様が手を出して押さえる。

「そうかそうか!実に面白いことを言うのだな。ならば我も名を言うべきであろう。我はこの国を治めている高白麗という者だ。もう分かっていると思うが、そこにおる朱光の父親である。さて楽しくなってきたな。じゃぁ泉とやらの奇妙な話を聞くとしようか」

 楽しそうにしているのは高親子だけなのだが、ここまで来たら腹をくくるしかない。

「では話します。実は・・・・・・・・・」

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