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軍師日記 ~借り物知識で異世界統一~  作者: 楼那
柳泉という男
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6.異世界人の証明

太陽暦1304年6月終旬 高柳泉


「では話します。実は私にもよく分かりません。私の生まれた国は日本という場所です。しかし朱光様や雄全様に聞いても分からないと言われました。私からすれば海興国という国も太陽大陸という名前も聞いたことはありません」

 また呂登さんがピクリと動いた。

「続けよ」

「はい。それで私がこの世界に来たきっかけなんですが思い当たることは1つしかありません。ある神社に立ち寄ろうとしたのが原因ではないかと思います」

 実際それ以外思い当たる節はない。あの時いくら上っても頂上にたどり着けなかった。そしてしばらく階段を上っていると知らない景色があった。俺の目に映ったのは、竜口神社ではない。あそこもなかなかに廃れていたが、その場所ほどではなかった。

「その神社の名前を聞いても良いか?」

「はい、名を竜口神社。かつてその地に災いをもたらした龍を討伐し、その(タテガミ)を奉納していたと聞いています」

俺の説明に何か心当たりがあったらしい。

「朱光よ。この者とどこで出会った?」

「はい、龍尾神社の跡地付近です。確かあそこにはかつて」

「あぁ創世神に作り出された龍の亡骸が埋葬してあるという伝説があったはずだ。今は跡形もないが・・・」

 どうやらあの場所にも龍の伝説があったらしい。あまりにも非現実的で信じがたいが

「泉は龍神様に魅入られた異世界の者か。これは確かに面白いな」

「そんな話を信じられるのですか」

 呂登さんは険しい表情で白麗様に意見する。

「信じるのはまだ無理だな。泉よ、我も含めてまだそちを信じることは出来ぬ。この者が特にな。何か証明できるか?そちがこの世界のもので無いという証明が」

 証明・・・か。正直服装が全然違うため、これが手っ取り早く証明になりそうなものだが異国のものだと切り捨てられる可能性もある。何かあっただろうか。

 身体をごそごそと漁ってみると、尻ポケットに堅いものが入っていることに気がついた。正直この環境では碌に使い物にはならないだろう。ただ証明するのに関して言うのであればこれほど適しているものは無いと思った。

「これはどうでしょうか。私達の世界ではほとんどの人が持っていた携帯電話というものです」

「その板がそちを証明するものか」

 予想通りの反応で頬が緩む。

「はい。本来の使い方は遠くにいる人と会話をするための装置ですが、残念ながらこの世界の環境では使えません」

「ふん、では証明にならぬではないか」

 鼻を鳴らしながら俺を睨む呂登さん。

「安心してください。この装置の機能はそれだけにありません。例えば」

 そう言いながらカメラを起動して朱光様にスマホを向ける。

「朱光様、笑ってください」

「お?こ、こうか?」

突然振られた朱光様は年相応な可愛らしい笑みを浮かべられ、その反対で呂登さんは俺をいよいよ切ろうとしている。そしてカシャッという音。

 俺以外の全員が肩をハネさせた。

「何だ今の音は!?」

「一体何をされた!?」

呂登さんと雄全様は驚いて声を荒げるが、俺は慌てない。撮れた写真をアルバムから開き、隣にいる雄全様に見せた。

「な、これは一体どういうことなんじゃ」

 驚きを隠せない雄全様は目線で呂登さんに許可を取る。頷いたことを確認して、立ち上がった雄全様は、白麗様の前へと進み出て俺のスマホを差し出した。

「これは・・・なぜ朱光がおる?それにこれは先ほどのやりとりの時のものではないか。一体どういう・・・」

 白麗様はまだ声が出ているだけいい。呂登さんは黙ってしまった。

「これはその瞬間をカメラというもので収めて記録するものです。私の世界では当たり前のようにある技術です。どうでしょう、これで信じてもらえませんか」

 唸るように白麗様はマジマジとスマホの写真を見ている。果たして俺の言葉を届いているのか。そしてまだ見ていない朱光様が見たそうにウズウズしている。

「朱光、こちらへ参れ」

「はい!父上」

 朱光様も立ち上がり白麗様の元へと寄り、4人で写真を眺めている

「私が板の中にいますよ!父上!」

「あぁ、真言不思議なことよ。これは認めねばならぬぞ。のう呂登よ」

「・・・確かにそうでございますね。たとえ他大陸の文明を以てしてもこのようなものは存在しないでしょう」

「そういうことだ。泉よ、しばらくこの地に留まるが良い。我が許す」

「あ、ありがとうございます」

 ようやく安心して身をおける場所が出来た。その安心感からか俺はその場で意識を手放してしまう。微かに残る意識の中で

「雄全よ。後宮へと運んでやれ、あとは姉様らが面倒を見てくれるであろう」

「はっ」

 そのあとどうなったかは覚えていない。

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