武装
ニョグエガという名の
深い闇が形を成していく
巨獣のような
力強い二脚の足
三対のビロードのような
蝙蝠の翼に
黒い竜麟を張り詰めた
細身の胴体
そして、下の一対に
黒い双剣を握りしめた
翼と同対の
三対の細身の手足
悪魔と竜を絶妙なバランスで
造られた頭部
その姿を見て私は
ニョグエガのその姿は
偽りだと即座に分かった
あの姿は、今も黒水晶に眠っている
「神の狂気」のために存在するもの
【どうした? 甘露の蜜の贄よ
この姿こそ、我が真の姿
この姿にて、再び贄にしてくれよう】
ニョグエガが
愚負に満ちた言葉を吐く
「その姿が貴様の真の姿だと?
ふざけるな!
私から奪った力で
構成されたものだろうが!!
私の動揺を誘うつもりだったようだが
逆効果だと知れ!!」
私は叫ぶと
ニョグエガに奪われた
力の残りを使って
ニョグエガの偽りを剥がし
真実の姿を暴くための
真言を詠った
「真実を照らし出す光よ
我が前にいる
罪人の偽りを暴き出し
本来の姿を映し出せ!!」
真言を詠い終えると
闇の大広間の天井から
光の柱が現れ
ニョグエガを包み込んだ
【……グゥアァァァー!?】
光の柱が消え去ると
ニョグエガの姿は変わっていた
「神の狂気」の姿ではなく
黒い球体の中心部には
澱んだ赤い一つ目と
獣じみた歯が剥き出した口があり
球体の外周に当たる部分には
七つの黒いヒルみたいなものが
触手のごとく
蠢くように生えていた
それがニョグエガの
本来の姿だ
そして、ニョグエガの眼前には
拳大の大きさの光の球が漂っていた
あれは、ニョグエガが私から奪った
力を結晶化したものだと分かった
【この姿にさせるとはぁぁ……
許さぬ……許さぬぞぉぉぉ!!】
ニョグエガが吼えている
だが、隙を見せ過ぎだ
「……戻れ」
私は呟いた
ニョグエガに気づかれぬ音量で
相手が隙を見せている間に
光の球の結晶を奪取し
奪われた力を取り戻すためにだ
そして、光の球は
私の声に反応して
私の手中に向かってきた
光の球が掌に溶け込んでくる
すると、枯渇した大地に
降り注ぐ雨が染み渡り
大地を潤すように
私の身体に力が漲ってきた
そして、私は叫ぶ
「断罪の黒き魔刃よ!
破邪の白き衣鎧よ!
悪退の聖盾よ!
疾風の具足よ!
主たる我が意に応じ
この地にて顕現せよ!」
取り戻した力で
ニョグエガを滅ぼすための
武具を纏うために
【武具を手にしたか
こうなれば、抗うことすら出来ぬよう
徹底的に叩きのめし
四肢を串刺しにして
有能者の力を――甘露の蜜を――
枯れ果てるまで奪い尽くしてくれるわ!!】
「貴様の願いは叶わない
今、貴様を滅ぼす者の名を
貴様が寄生していた者の名を
教えてやろう
我が真名は――創造偽神デミウルゴス
この偽創造世界に置ける
――神だ」
私は真名を告げつつ
武具を付けた
これで、ニョグエガを滅ぼすための
準備は終わった
そして、ニョグエガとの戦いの始まりだ――
冒頭の「神の狂気」は著作[滅びゆく世界 二人の魔王]に出てくる「罪」の完全体から取りました。
というか、今回のが本来の姿ですが。
創造偽神デミウルゴスの元ネタは、以前作成した[神様バトン]から取りました。




