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第十七話 二人の少女

 まだ昼時には早く、購買には人の気配がなかった。ケースから俺とスイは棒アイスを、千夏はバニラのソフトクリームを選ぶ。俺たちは窓際の壁にもたれて口をつけた。

 スイと俺の間には絶妙な距離がある。俺はスイの方に顔を向けられなかった。

 隣の千夏の向こうで、窓から静かに日差しがさしている。彼女はわずかに俯いていて、その表情は髪に隠れて見えなかった。

「……ふう。ちょっとだけ落ち着いたっす……」

 スイがぽつりと言う。

「……そっか。よかった」

「そうだな。怖いよな、こんなことになって……。」

「はい……。でも、こんな時だからこそいつも通りにしてたいんす。」

 彼女はかすかに笑った。ほんの少しだけ、千夏の手が俺に近づく。

「…………。」

 彼女は何かを言いかけて口を開き、そしてやめた。

 スイは棒アイスをほとんど口に運んでいなかった。溶けたアイスがぽたりと床に落ちる。

 俺は空気を変えるように明るい声をあげた。

「……あーあ、本当は俺もソフトがよかったな。でもそれが最後の一個だったからさ。いつも通り、ついてないな」

「そうなんすか?言ってくれれば譲ったのに。……もう」

 彼女は視線を揺らした。何かを考えるように、長い睫毛が伏せられる。

「じ、じゃあ……ひとくち、だけ……」

 その頬がだんだん色づいていった。

「え? 今何か言ったか?」

「い、いえ!」

 千夏は慌てて手を振る。

「な、なんでもないです……あはは……!」

 その笑顔に俺は首をかしげる。風が彼女の髪を揺らしていた。

 スイはそんな俺たちの様子をじっと見つめていた。

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