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第十六話 千夏の提案

 その時、がらりと図書室の扉が開く。

「あ、あの……」

 千夏だった。先ほどより少しだけ落ち着いたようだ。

「千夏?もう大丈夫なのか?」

「ええ、まあ……。二人とも、お疲れさまっす。」

 まだ声が震えている。ふらふらと俺に近づいてくると、俺の服の裾をきゅっと握って見上げるようにして言った。

「……あの……いきなりっすけど、今から購買行ってアイスとか食べないっすか?」

「え? アイス……?」

 彼女は恐る恐るといった様子で続ける。

「は、はい……あの、こんな時だからこそ、休憩とか……。ていうか、気分転換しないとおかしくなりそうで……」

 その言葉に、俺は面食らう。……確かに、死体を見つけてからずっと気を張りっぱなしだ。スイのことは気になるが……俺もこの現実から逃げたかった。

「……わかった。スイは……来るか?」

 俺はスイの方を見ずに言った。どうしても声が低くなってしまう。

「……うん。私も行こうかな」

 スイはうつむいたままだった。彼女は小さく足音を立てて隣に並ぶ。千夏は不安げに彼女を見つめると、切り替えたように明るい声を出した。

「さ、さあ!行きましょ、センパイ」

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