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レイヤー62 貧民街に出向

これはやっちまったな?


最初の出向先は


貧民街だった。


復興から取り残された街。


崩れたまま見捨てられてしまった建物。


負のオーラを纏い痩せ細った人々。


そこへ


大量の魔道具が流れ込んでいた。


研究員が一つ拾い上げる。


「これか?」


洋蔵は手に取る。


一瞬で表情が消えた。


「……畜魔力装置」


研究員が息を呑む。


「お前が作ったやつか!?」


「はい」


外装は違う。


刻印も削られている。


だが。


内部構造は同じだった。


蓄えた魔力を


使用者へ流し込む。


本来は


都市を支えるための装置。


しかしこれは


快楽だけを与える道具。


思考に色欲がまとわりつく。


魔力が身体を満たす。


一瞬で疲労が消える。


多幸感に包まれ意識が深く沈んでいく。


研究員が呟く。


「まるで麻薬だな」


洋蔵は首を振る。


「もっと悪質です」


魔力酩酊には次のフェーズがある。


魔力が蓄積する。


限界値を超える。


身体が変質する。


理性が崩れる。


やがて


魔物へと変態する。


簡易的に厄災を再現している。


一拍。


さらに資料が運ばれてくる。


研究員が固まる。


「拉致…いやこれは…回収か?」


洋蔵は黙って読む。


魔物化した者は


処分されない。


捕獲される。


拘束される。


無理やり術式を刻まれる。


傀儡化。


兵器。


使い捨ての道具。


「ここまでやるのか…」


吐き気がする。


誰も言葉が出ない。


洋蔵は魔道具を握る。


軋む音。


罅が入る。


珍しく


感情を抑えられなかった。


「……最悪ですね」


静かな声だった。


だが。


怒りが滲む。


「人を壊して」


「資源にする」


「しかも」


手の中の魔道具を見る。


「私の設計を使って」


「生命の循環を逸脱してる…」


沈黙。


研究員が横を見る。


洋蔵の肩が震えていた。


「お…おい、大丈夫か?」


返事はない。


長い沈黙。


やがて。


小さく息を吐く。


「怒りで…」


一拍。


「目眩がします」


魔道具を机へ置く。


図面を広げる。


「壊します」


研究員。


「魔道具をか?」


洋蔵は首を振る。


「…違います」


一拍。


「作った人間をです」


研究員が苦笑する。


「ずいぶんと物騒だな」


洋蔵は静かに答える。


「安心してください」


「社会的に…です」


現場が動き始める。


魔道具を押収。


魔力を抜き取る。


被害者を保護。


魔物化した者を隔離。


供給経路を追跡。


そして。


流通元を見つけだす。


円が更新される。


押収。


解析。


保護。


隔離。


追跡。


摘発。


研究員が最後に言う。


「最強の魔法は?」


洋蔵は静かに答える。


「人を救うために作った魔法を…」


一拍。


「人を壊すために使わせないことです」

まじで許さんからな

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