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レイヤー61 厄災潰しに出向

さぁ新章です


復興は進んでいた。


街には灯が戻る。


子どもたちの笑い声。


市場には人が集まる。


誰もが少しだけ


明日を信じ始めていた。


だが…


異変は静かに始まる。


研究員が報告書を机へ置く。


「なんだか嫌な案件ばかりだ」


洋蔵が一枚ずつ目を通す。


不自然な異常気象。


前兆もなく起きる集団恐慌。


人柱を捧げる新興宗教。


墓地からのアンデッド大量発生。


急激なデフレーション。


都市に突如現れた巨大なモニュメント。


貧民街へ大量に流入した魔力酩酊用魔道具。


一拍。


洋蔵が資料を閉じる。


「……共通しています」


研究員が眉をひそめる。


「何だ」


「因果律への干渉です」


部屋が静まり返る。


偶然ではない。


自然現象でもない。


誰かが


世界の均衡へ手を伸ばいている。


研究員が低く呟く。


「これって…禁呪か」


洋蔵は静かに頷く。


「可能性が高いですね」


封印したはずだった。


存在ごと。


理論ごと。


術式ごと。


誰かが辿り着いた。


あるいは。


封印を破った。


研究員が問う。


「どうする」


長い沈黙。


洋蔵は立ち上がる。


工具箱を持つ。


図面を丸める。


「もちろん現場へ行きます」


一拍。


珍しく。


声に感情が混じる。


「人の苦労を…」


「何だと思っているんでしょうね」


研究員は黙って聞いている。


「こっちは」


「残業してまで封印したんです」


一拍。


「定時で帰れなかったんだぞ」


研究員が吹き出す。


「怒るところ、そこかよ」


洋蔵は真顔のまま答える。


「そこです」


「封印には時間がかかります」


「便利だから使う」


「危険だから封印する」


「その判断まで含めての設計ですから」


壁に貼られた世界地図。


七つの印。


異常気象。


集団恐慌。


邪教。


アンデッド。


経済異常。


巨大モニュメント。


魔力酩酊。


研究員が地図を見る。


「さて」


「どこから潰す」


洋蔵は少しだけ笑う。


「近いところからです」


「遠いと出張費が掛かります」


研究員が呆れる。


「そこは現実的なんだな」


洋蔵は工具箱を持ち直す。


「設計も封印も」


「定時で終わらせます」


扉が開く。


復興のためではない。


今度は。


復興を壊す者を止めるため。


円が更新される。


異変。


調査。


解析。


封印。


摘発。


鎮圧。


出向。


研究員が最後に尋ねる。


「最強の魔法は?」


洋蔵は振り返らず答える。


「悪用される前に止めることです」


そして小さく付け加える。


「どこの誰だか知りませんが」


「覚悟してください」


「人の残業を無駄にした代償は、高くつきます」

激おこです

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