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45歳DTPデザイナーは36協定違反で異世界出向  作者: 洋蔵
異世界でも人間は弱い
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レイヤー57 人が人を裁く魔法

魔法が使えるなら

不要な機能や器官ができて

身体のどこかが退化するかもしれないね


復興は進む。


灯が戻る。


食料が流れる。


道が開く。


だが


別のものも増え始める。


研究員が報告書を置く。


窃盗。


横流し。


暴行。


放火。


襲撃。


「増えてるな」


洋蔵は否定しない。


「はい」


一拍。


「人災です」


疲労。


飢え。


不安。


警戒の緩み。


復興の停滞。


そこに魔が差す。


「起きるべくして起きている」


沈黙。


魔導灯には抑止効果があった。


照らす光。


人の目。


安心と平穏。


犯罪率は下がる。


だが


強い悪意には届かない。


捕縛はできる。


だが問題が残る。


証拠。


研究員が低く言う。


「裁けない」


目撃がない。


記録がない。


罪を証明できない。


冤罪も起きる。


平和が心を蝕む。


凄惨な私刑も始まる。


洋蔵が図面を開く。


新術式。


司法術式。


第一系統。


精神汚染検知。


悪意反応。


加害衝動。


強制判定ではない。


残留痕跡観測。


研究員。


「心を読むのか」


洋蔵。


「違います」


一拍。


「精神の汚染を測定します」


第二系統。


罪状照合。


暴力。


殺意。


背信。


反復性。


危険度算出。


第三系統。


量刑術式。


拘束。


隔離。


行動制限。


労役付与。


段階処罰。


魔法が執行する。


人ではない。


第四系統。


監査記録。


判定履歴保存。


改竄防止。


複数照合。


暴走防止。


第五系統。


死刑制限。


研究員が問う。


「処刑もやるのか」


洋蔵は沈黙する。


長い間。


「……罰は…命の選別は」


一拍。


「人が決めるべきです」


魔法は裁定する。


だが、


命の最終判断は魔法に委ねない。


罪と罰は人の業であるべきだ。


民意。


合議。


公開審査。


研究員が小さく笑う。


「全部を魔法にはさせないのか」


洋蔵。


「はい」


円が更新される。


監視。

記録。

判定。

拘束。

抑止。

責任。


一拍。


魔物は外から来る。


だが


人災は内から生まれる。


研究員が問う。


「最強の魔法は?」


洋蔵は静かに答える。


「裁く責任から逃げないことです」

善と悪は

人が作った概念

弱さを辱める強さを悪と蔑み

弱きを守る強さを善と讃える

悪意を犠牲に平和が成り立つなら

善意が命を奪いにいってはいけない

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