レイヤー56 資源を無駄にしない魔法
生活が安定するということは
ゴミが増えること
生きることは
何かを消費していくこと
豊かさを補う便利さとは
無駄を含む有益さである
街から瓦礫は減っていく。
だが
瓦礫の山は消えない。
研究員が顔をしかめる。
「増えてるな」
積み上がる廃材。
壊れた家具。
汚染布。
腐敗物。
生活ゴミ。
復旧が進むほど
不要物が増える。
「片付けても終わらない」
誰かが言う。
洋蔵は静かに答える。
「文明が戻っている証拠です」
一拍。
「だから処理が必要です」
運搬はできる。
だが
処理が追いつかない。
焼却では足りない。
埋設では腐る。
放置すれば病が広がる。
図面が開く。
新設計。
分解再構築プラント。
魔法依存型資源循環施設。
第一系統。
自動分別。
材質判別。
危険物検出。
腐敗物隔離。
再利用可能資源抽出。
第二系統。
分解処理。
有機物分離。
無機物精製。
汚染除去。
元素単位まで戻す。
研究員。
「ここまでやるのか」
洋蔵。
「混ぜる前に戻します」
第三系統。
再構築。
建築材生成。
加工素材精製。
金属再利用。
繊維再編。
第四系統。
生体循環。
堆肥化。
飼料生成。
農地還元。
「捨てるのではなく循環させる」
第五系統。
分配網。
各ギルド。
建築。
農業。
鍛冶。
医療。
必要資源として再配布。
研究員が呟く。
「もうゴミじゃないな」
洋蔵。
「未処理資源です」
一拍。
プラントが稼働する。
都市が少しずつ軽くなる。
悪臭が減る。
病が減る。
道が戻る。
生活が回り始める。
円が更新される。
回収。
分別。
分解。
再構築。
循環。
再配布。
一拍。
復旧とは
壊れたものを作り直すことではない。
流れを戻すことだ。
研究員が問う。
「最強の魔法は?」
洋蔵は答える。
「無駄にしない魔法です」
処理するのは難しいけど
分解さえしてしまえば
自然の環に還るだろう




