兄弟、姉妹
王子が放った魔力の光線は、その圧倒的熱力で進路にある『形あるもの』全てを消し飛ばした。
残ったものは、空気、光、あとは────
小さな影。
ノアの魔術は影を介して異空間に物を保管するというもの。
食料は腐らず、武器は錆びず、大きさの制限は緩い。
その空間に生き物を入れたらどうなるのか?
試す機会が無かったために、ノア自身にもその答えは分からなかった。
食料が腐らないほど時間の概念が曖昧で、武器が錆びないような水も空気も無い空間に、人の体は耐えられるのかなど。
光線が届く直前、影から空へと打ち出した盾。
その盾の影を異空間から戻ってくるための門として、ノアは自身を異空間へと飛ばした。
そして、今、その陰から出び出す。
新しい魔女の姿で。
──「ここは変な場所だね」
──「うん。ボロボロの体がもっとボロボロだよ」
──「私たちなら治せるよね」
──「うん。僕たちの魂を使えば」
──「あの子の願いでもあるしね」
──「ありがとうね、人の君。置いて行ってしまった末の妹は、君のお陰で幸せな生を見つけられた」
暗闇の中で語りかける六つの声。
その言葉が聞こえた後、ノアは自分の体から痛みが引いていくのを感じた。
そして、誰かに手を引かれるように、異空間の出口へと進んでいく。
六つの温かな光の玉が、体の内へと入っていく感覚があった。
「こちらこそ、貴方たちの妹のお陰で、素敵な夢を見れました」
告げるは感謝の言葉。
異空間に耐えらず崩壊しそうになった体を彼らが治し、補強してくれたのだと直感で理解する。
七匹の猫に繋がれた命で、ノアは敵の前に立った。
「王子。────決着をつけよう」




