勝機なんてものは1000に1つもあれば良い
ジャンルをハイファンタジーに改めました。作者主観としてはエンディングがヒューマンドラマであるのは間違いないのですが、世界観はファンタジーなので変更してみた次第です。ご意見などありましたら教えて頂けると助かります。
「走れ走れ!体力が無くなるまで走り続けろ!!
「歯を食いしばれるうちは死なん。走れ
「俺を睨む気力があるうちは死なん。走れ
「涙が出るうちは死なん。走れ
「起きろ、倒れる時に手をつけるならまだ余裕がある証拠だ。走れ
「どうした、そこまでか?体力が無くなったら魔力を使ってでも走れ
「もう立てないか?立て、死んでも俺が蘇らせてやるから安心して走れ
「待て待て待て待て待て!!!!!!!」
「待ってくださいハーヴィーさん!?」
≪居合拳≫ハーヴィーが企画した特訓の結果は惨憺たるものだった。
半日走り続けた神殿騎士たちは全員仰向けに倒れたまま動けなくなっており、冒険者も同様に天を仰いで干物のように動けなくなっている。
「最初はもうちょっと穏便な修行だったろ!?なんで一週間でこんな厳しくなってんだ!!?」
「使えない者を淘汰するのは当たり前だろ。伸びない奴を伸ばせとでもいうのか?」
「それはあんまりな言葉ですよ。彼らだって神殿騎士として日夜厳しい訓練を積んできたんです。もう少しゆっくりご指導頂ければ・・・」
「ゆっくり指導して欲しいなら神殿で学べ。俺にはできん」
「そうは言ってもだな、モノには限度ってもんがあるだろ!?参加者全員潰すまで走らせてどうすんだよ!」
「お前こそ俺の言葉をちゃんと聞いてたのか?俺はドミを鍛えると言ったんだ。ドミに並んで付き合う奴がいるなら見てやってもいいが、わざわざ新しい連中を一から面倒見て鍛えたりはせんぞ」
「こんなの彼女だってもちませんよ」
「そりゃそうだ!獣人のB級冒険者だってぶっ倒れてるってのに・・・」
「店長?もう休憩ですか?」
「「え」」
「そうだな、一旦休憩にするから店の様子を見てきてくれ。大丈夫だとは思うが足りないものがあったら買い足しておくこと。魔石と酒は足りていても1ケース買っておいてくれ。代金は二番金庫の下段、今日の昼食もここから出して食べて良いぞ」
「ありがとうございます!!」
「え・・・・・・なんで平気そう・・・なの・・・」
「嘘だろ・・・」
「えっと、なんでそんな元気なの、かな?さすがに無理してるよね?」
「全然平気です!任せて下さい!!」
むふー、と鼻息荒くドミが返す。
「冗談だろ?半日走りっぱなしとか平気なわけ・・・」
「これくらい普通ですよ?一日かけて三つ先の村まで水汲みに行かされた時に比べたら余裕です!!」
「なにやらせてんだあんた!?」
「獣人の身体能力を生かさないのは勿体ないだろ」
「それにしてもこれは・・・いや、一朝一夕で付く体力じゃないですよ?」
「二年前からやらせてるから、これくらいはな」
「だから、なにやらせてんだあんた!?」
「猫獣人は俊敏で生命力がある。幸いにもドミには他の獣人たちと違って余計な驕りが無かったから仕込み甲斐もあった」
褒められたと思ったドミが照れ笑いを浮かべて走って行く。
「・・・・・・まだ走れるんだね」
「あんな体力必要ねえだろ」
「いつか、ドミが旅に出るときのためにな」
「旅?」
「ああ。俺はここを離れられないからな。本人には言って無いが、ドミが一人旅できるように想定して訓練させてきた」
「どういう事だよ?」
「ダンブランに居続ける理由が無いからな。拾った義務として俺は面倒を見ているが、あいつの居場所が俺の店である必要は無い。あいつが行きたいとき、行きたい場所に行けるだけの力をつけさせてやるのが俺の役目だと思っている」
何を差した言葉か、アンリにもフェイにもはっきりとはわからなかった。だが遠くを見るハーヴィーのまなざしには、はっきりとした離別の意思を感じる。
「・・・それにしても凄い体力ですね。単純に走るだけの勝負をやったら僕でも負けるかもしれない」
「同感だぜ、俺は勝負する気にもならねー」
「筋は良いと言っただろ」
「体力だけは認めるけどよ」
「基礎をおろそかにする奴は伸びる前に死ぬ。いつだってな。苦境を支えてくれるのは自分自身の積み上げたものだけだ・・・お前は違うだろうが」
微笑を浮かべながらハーヴィーがフェイに言う。
「は?なんだそら」
「天才にはわからない事だ」
「天才だなんて思ったことねえよ」
「お前の不幸はそこなのかもしれないな」
「・・・どういう意味だ」
「お前は天才だ。しかも努力できる種類のな。お前は自分が強い事さえわかっていないだろ?当たり前に強すぎて」
「俺より強いやつなら目の前にもいるくらいなんだけどもよ」
「だがいつか超える。俺もレスターも、お前にはおいていかれるだろう。いや、いつかなんて言葉は正しくないな。あと10年・・・いや、5年もあれば、お前は西方で最も強いS級冒険者になっているだろう」
「はっ?!冗談だろ。だいたい最強なんて興味ねえよ」
一言も喋らないアンリを一瞬だけ横目に見ながら、ハーヴィーが続ける。
「フェイ、大事な事だから一度だけ言っておく」
「・・・なんだよ、真面目な顔しやがって」
「お前が手に入れられるものを求めないのは自由だ。持っているものを捨てるのも、お前には容易い事だろう。だがな、お前が投げ捨てられる物は、他の誰かが生涯を懸けて求め、それでも手に入らない種類のものだと覚えておけ・・・・・・・・・たまには自分と誰かを比べてみるといい。蔑むのでも見下すのでもなく、お前が下だと思う誰かを見て、自分の膝が曲げられる事を思い出せ」
「・・・よくわかんねえ」
「ねえ、二人とも」
緊張したアンリの声。指差す先からは、ダークブロンドの髪を無造作に首の後ろでくくった美女が大股で近づいてきていた。
「綺麗な御嬢さんだな。知り合いか?・・・いや、この空気は・・・神将か!?」
「ヴェラーラだ。色気の無い戦のかどわぁ!?」
一瞬で間を詰めたヴェラーラの拳が唸るも、フェイは持ち前の反射速度で顔面への一撃をかろうじて回避する。
「よけるな。馬鹿」
「よけるわ馬鹿!?なんでいきなり殴りつけてくんだよ!?」
「お前が殴って欲しそうだったからな」
「人を変態みたいに言うんじゃねえ!!」
「変態に失礼だぞ」
「おうおう、喧嘩売ってんだな。上等だ馬鹿女神」
蹴り返したフェイの脚を片手でいなすヴェラーラ。
眼にも止まらぬ速さで打ち合う二人を半眼で見ながらハーヴィーが言う。
「・・・随分仲が良いんだな。さすが加護持ち・・・いや、さすが≪誑し込み≫だ」
「あはは、なんですかね。戦女神と殴り合ってるとか正直意味がわからないんですけど」
戦闘は短時間で、あっさりヴェラーラの勝ちに終わる。
「・・・いてぇ」
「お前、弱くなったか?」
「いろいろあんだよ!?・・・それより、何しに来た」
「ああ、実はお前たちに依頼を持ってきた。冒険者は依頼で動くんだろ?」
神からの依頼と聞いてアンリがまっさきに居住まいを正す。
「ピサンティエ様から・・・ではないですよね?」
「違う。今回はアラヴィスム、それからベスティアだ」
「ベスティア?誰だ??」
フェイの問いにアンリも首を横に振った。
少なくともダンブランや北方王国で祀られている神ではない。
「ベスティア・・・もしかして夜明けの神か??エルフ族の主神だと言われてるが」
「そうだ。今回の依頼は二人から、フェイ、お前宛に来てる」
「いぃ!?冗談だろ、俺はどっちの神とも縁が無いんだぜ?だいたい神様が依頼するなんて面倒な件に決まってるだろ。嫌だよ、お断り」
「そうか。南方に魔神将がいる。お前には討伐に来てもらいたかったんだが」
「ぜっっっっっっってえ嫌だ!!!お前馬鹿だろ!?なんで俺が行くと思ったんだ??俺は戦うのも死地に行くのも嫌なんだよ!楽して可愛い子と遊んで暮らしたいんだ!!」
「お前が行かなければセルシスが死ぬ」
ぴしり、と、空気が凍る音。
「・・・もういっぺん言ってみろ」
「お前が行かなければセルシスが死ぬ」
アンリが止める暇もなく、フェイの手がヴェラーラの襟首を掴む。
「お前が!そのセルシスを助ける為に南方に行かせたんだろうが。≪冒涜者≫も一緒にいて、なんでダチ公が死ぬんだよ!!」
「状況が変わった。南方は魔神将の手中にあると思っていい。≪冒涜者≫一人で冒険者ギルドの全員を相手にできるものじゃないだろ」
「ちょっと良いか」
口を挟んだのはハーヴィーだ。
「南方が魔神将の手中にあると言ったな。≪冒涜者≫が冒険者ギルドと戦うということは、冒険者ギルドが魔神将の側についたという事か?」
「そうだ。強要されてる連中もいるが南方のS級冒険者の大半はわかっていて魔神将に降った」
「抵抗しなかったのか?」
「抵抗した奴は死んだ。逃げた奴もいるがな」
「・・・死んだ奴の名を聞いてもいいか?」
「≪彩華≫≪流炎絶刀≫≪無極≫≪轟く・・・」
「ああ、十分だ。ありがとう」
黙祷を捧げるように目を瞑るハーヴィーの横でアンリが小さく祈りの言葉を捧げる。
「・・・魔神将相手に戦えって?」
「魔眼の能力にだけ気を付ければ良い。安心しろ。純粋な戦闘能力なら北の魔神将に遠く及ばない」
「次から次へとでてくる魔神将退治の依頼に駆り出されるとか御免だぜ」
「世界樹が新生した今、この世界を蝕むマナの流れは正常化しつつある。少なくとも今後何百年かは魔神将が復活する事は無いだろう」
思案するフェイ。
「お前はセルシスには借りがあるはずだ。断るのは構わな・・・」
ぼくっ。と鈍い音がした。遠慮なく頭を小突かれたヴェラーラが唇を尖らせる。
「痛いじゃないか」
「二度とそんな言い方するんじゃねえぞ。今度言いやがったらてめえの加護は叩き返すからな」
「・・・で、どうするんだ?」
「・・・・・・行くさ。ダチ公を見殺しになんてするもんかよ」
「なら僕も行く」
「アンリ!?」
「元々南方へは行くつもりだったしね。どんな移動手段かは知りませんが、人数に制限はありますか?」
「今回はアラヴィスムが門を開く。何人でも問題ない」
「お前な!相手は魔神将だぞ!?」
「そうだね。でも運が良かった、これなら僕もダーナもついていける」
有無を言わせぬ口調にフェイが思わず口を閉ざす。
「敵が魔神将だと言うなら戦力は集中させて挑むべきだよフェイ。ダーナやホロゥストーク、オウルトやレスターさん、声をかけられる人はいくらでもいるよ」
「・・・それほど長くは待てないぞ」
「まあ、雑兵を何人連れて行っても意味はないだろう。確固たる意志を持って同行できる人間に絞れば良い」
「確固たるって・・・なあ、魔神将相手だって話してついてくる奴なんているのかよ?」
ハーヴィーがニヤリと笑い、その刈り込まれた顎鬚を指先で撫でた。
「少なくとも、ここに一人いるぞ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんでこうなっちまったんだか。
爺さん・・・スレイマンが埠頭の商会をいくつか回ると、獣人の御者付き馬車が一台あっという間に手に入った。
オヤジもグランの三騎士として有名だが、スレイマン・グランダルトはオヤジと違い、称号だけじゃなく本人も侯爵位を持ってるとかなんとか聞いたことがある。
詳しくは知らないが若い時は冒険者だったって話しだ。
個人的には武力と権力を併せ持つとか正気を疑うんだが南方じゃ普通の事なのかね?
上級貴族のS級冒険者なんて危なくて使いにくいと思うんだけどもな。
権力で無理やり依頼させる事もできないし、逆にその気になったら国を乗っ取られてもおかしくない。
「・・・処刑台は嫌だよ、兄貴」
俺の目の前で青い顔になっているサンスリーが言った。
なんというか、こうやってみてると傭兵なんて仕事をしてると思えないくらいオドオドしている。
わかりやすい小物感があって俺は小さく笑った。
「殺される事はない。だが仕事の話は合法とは言い難いだろうな」
「なんでそう思う?」
シフォーの言葉に俺が聞き返す。
「スレイマン・グランダルトが殺す気なら俺たちはすでに全員死んでいるだろう。報酬の件は眉唾ものだが依頼があるのはおそらく本当だ。だとすると気になるのは・・・」
シフォーの目配せに反応したトゥーニが箱馬車から顔を出して外を見た。
しばらく聞き耳を立てるようにじっとしていたが、ややあって指先で大丈夫だと合図を出す。
「気になるのは、お前を試した事だ」
「俺を?」
「ああ。A級冒険者のお前の腕前を見て、同時に俺たち三人の技量も測ったんだろう。どんな荒事を要求してくるのか知らないが、少なくとも並のA級冒険者には依頼できないような危険な話しが待っていると思って間違いない」
「・・・そりゃ早計じゃないか?たしかに試されたのは事実だけどもよ」
「並のA級冒険者ならこの街にだっている。『賢老』スレイマンの依頼なら誰も断らない、にもかかわらず余所者のお前に依頼するのはおかしいと思わないか?」
「そりゃあ、まあな。A級に任せられないくらい危険度が高いってんならS級冒険者に頼めばいいもんなぁ。南方にだってS級冒険者がいないわけじゃないんだし、わざわざ俺に頼むとか・・・」
「依頼できるS級はいない」
「・・・・・・は?」
「大半が消えた。残っているのは全員アマリア公妃の護衛として専属契約しているからスレイマンでも依頼はできまい」
「・・・アマリアね・・・・・・・・・なあおい、南方でもマナ溜まりってあるのか?魔獣や魔神が増えてたりとか」
「魔獣は増えた。俺たちもエルフたちと戦ってる間に何体も間引きしている。魔神らしきものも不帰の迷宮近くで目撃されたと聞いたから、それなりにマナ溜まりができているんだろう」
「・・・どんな魔神だ?」
「取るにたらん下位魔神だ。北方は魔宮から魔神を統べるものが現れたそうじゃないか。それに比べたら雑魚だと思ってくれて間違いない・・・北にはかなりの数の魔神が現れたらしいが、お前も魔神と戦ったのか?」
「ん?・・・あー、まあ、少しはな」
俺の顔を見てシフォーが笑う。
「随分と嫌そうな顔をするんだな。仮にだが、もしスレイマンの依頼が魔神絡みだったとしたらどうする?」
「個人的には二度と戦いたくないね。金ならどれだけ積まれてもお断りだ・・・あんたこそどうするんだ?山ほどの金貨を積まれて依頼されたら引き受けるのか?」
「普段ならともかく今は団長の事しか頭にない。金では動けんな」
「欲のない傭兵もいたもんだ。傭兵ってのは食うためならなんでもするのかと思ってたぜ」
「同じ言葉を返しておくぞ冒険者。食うためなら仲間も見捨てるんじゃないか?」
「見捨てやしねえよ。仲間ならな」
「仲間意外と組むことも多そうだとみえる」
「仕事なら組まざろうえない事もあるだろ」
「一応、同情しておこう。俺たちビルブラッドの傭兵は全員家族みたいなものだ。家族を見捨てる奴はいない」
「そりゃご立派なことで」
馬車が止まった。そろそろ目的地についたのだろう。
「団長の身柄を返してもらいたい・・・だっけか?そのためならなんでもするわけだ」
「違う。優先順位の第一は、こいつらと三人で生きて帰る事だ」
剣呑な顔に不敵な笑みを浮かべたシフォーを見て俺が苦笑する。
「・・・オヤジみたいな事いいやがる」
「お前はA級の冒険者なんだろ?一緒に来てる仲間はいないのか?」
「みんな忙しいみたいでな。神殿に行くとか迷宮に行くとか。俺以外は自分勝手な連中で困ってるよ」
外門を通ってから馬車を降りると、麦と鷹の紋章が飾られた内門の前で何人もの使用人が列をなしている。
悠々と手を挙げて入っていくスレイマン。俺たちはそれに続いて使用人に案内されるまま客間へ向かう。
特に変わった作りではなく貴族の屋敷としてはよくある形式に見えた。
「こちらで御寛ぎ下さい。主はすぐに参ります」
使用人が下がるとトゥーニが探るように室内に目を走らせた。
中央に小さな丸テーブルがあり、それを囲むように四つの椅子が置いてある。
北側に置かれた三人掛けの長椅子を除いて俺とシフォー、サンスリーの三人が座る。
「なあ、この屋敷って誰の屋敷か知ってるか?」
「ランズアップ侯爵家だな。南方でも有数の耕作地を持っている大貴族だ」
「スレイマンとなんの関係がある?」
「婿入りした先だ。家督は娘が継いでいる」
「よく知ってるな」
「有力な貴族の紋章と名前、家族構成くらいは覚えるものだ」
「うへぇ」
「お前だって北のS級冒険者の二つ名と名前、それに武器や戦いかたくらいは全部わかるだろ?」
ああ、そりゃ知ってて当然だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スレイマンは何一つ隠すことなく、公妃アマリアが神将と呼ばれる魔神を統べるものであること、国王がその傀儡となっている事を俺たちに伝えた。
すでに有力な貴族の大半は骨抜きにされ、ギルドも支配され、南方が滅びに向かっていると断言する。
「にわかには信じられない話だ・・・だが、エルフとの戦争が仕組まれたものだという実感はあった。その話が事実だと思えば腑に落ちる点が多々ある」
「事は俺一人では解決できないところまで来てしまった。ここが分水嶺だ。お前たちの力を貸してほしい」
そう良いながらテーブルに置かれたのは家と屋敷の権利書。
領地に関しては別途書面を書いてくれるらしい。
ビルブラッドに関しては罪を問わない事を記した書状を宰相の名と花押付きで用意してある。
爺さんは本気だ。この爺さん、本気で神将を打ち倒すつもりでいやがる。
「団長を取り返す算段を立てられるなら、俺たちはあなたに乗ろう」
「・・・勝算はあるのかよ?相手が魔神将だって知ってるならそれがどれだけ強いかわかってるんだよな?」
「稀人、ビルブラッド、エルフ、獣人、傭兵、俺とお前と、その仲間。これで駄目なら俺は知らん」
「知らんって、おい!?」
「覚えとけ若いの、勝ち戦には流れがある。俺は流れが来るのを三年待った。ここで動けない奴は一生勝てない臆病者だ」
「自信があるってことか?」
「いいや違う。俺は信じているだけだ、勝てない戦なんてないとな・・・・・・勝機なんてものは1000に1つもあれば良い。その1回がどこにあるかだけ、それだけを見間違えなければ、戦いは勝てるようにできてる」
いつもありがとうございます。年末で纏まった時間が取れそうなので、この機会に更新していきます!
宜しくお願いします。