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もう蛮族じゃない?蛮エルフ族

タイトル変更しました!!

「武器を捨てろ。捨てないと後悔するぞ」


その言葉で武器を捨てるものは一人もいない。それどころかエルフたちの返答は矢の雨だった。

殺すなよ、とリオに忠告しながら手をかざした俺が言う。


『砕けろ』


飛来する矢が、構えた弓が、その一言ですべて砕け散る。

驚きに目を見張るエルフの懐に飛び込んで鳩尾を右拳で打ち抜く。その隣りで膝をついて弓を構えていたエルフの顔面に前蹴り。


「光の魔弾よ、敵を撃て」


間髪入れずに生み出した30発の光球が木の上に隠れているエルフたちを叩き落としていく。

・・・これで半分。これならいけるか?


残ったエルフが思い出したように散開しながら魔術を放つ。


「「驟雨の土塊、ゴルドワの憤怒、風を纏う破邪の槍よ!」」

「「栄光を削ぐ手、クラウエの哀切、千里を越えよ無明の鎖!」」

「「木々を縫・・・・・・」」


詠唱の途中で、漆黒に輝く蟻の群れが二人のエルフを飲み込んでいく。


あと四人。


固定砲台になっているリオよりも、先に遊撃側を倒そうとしたのだろう。

俺に向かって鋭利な岩塊が銃弾の様に降り注いだ。


左手の小太刀で岩塊を断ち切り、割り砕くが、数が多すぎる。むしろ脚を止めたら死にかねない!!

咄嗟に闇色の魔弾を生み出して宙を蹴り、十字砲火を立体的に回避する。


魔弾を足場にして次の魔弾へ飛び移ろうとした刹那、不意に足首を掴まれる感触があって身体が硬直した。


「おお!?」


見えない魔力の手に掴まれた俺の身体が地面に落ち・・・きらずにぶらさがる。

まるで大男に足首を持たれて吊り上げられているような体勢で、頭を下にして浮いている状態だ。

咄嗟に左手の小太刀を振ろうとしたが二本目の魔力の手に掴まれて動かない。

回避できない速さで降り注ぐ岩塊を見つめながら右手をかざした俺が言う。


『砕けろ!!!!!!』


周囲の魔術がすべて砕ける。降り注ぐ岩塊が消えさり、不可視の拘束から解かれた俺が走る。

本気で動いてるのに今のは結構やばかった。もう一種類の魔術が重なってたらどうなってたことか。

・・・・・・エルフ強すぎないか?


幸いな事に接近戦なら身体強化に分がある俺が圧勝できる。

魔術を打ち消されて色を失うエルフたちを小太刀の峰で打ち据え、意識を奪うのは難しいことではなかった。


「なんだ・・・なんなんだお前は!?」

「旅人だよ」


最後の一人を叩き伏せ、小太刀を納刀してから自分の肩に触れた。

すでに矢は砕け散っている。べったりとした血が指についた。

半端じゃなく痛いが、気のせいか、日本にいた頃よりも痛みに耐性がついている気がする。

魔神将の時にくらったアレと比べたらずっと軽傷だってのもあるんだろうが・・・。


ん?俺の中の大怪我基準がアレになるのは嫌だなあ。アレ未満が全部大丈夫だと、車にぶつかって全身骨折しても、まだマシ、大丈夫とか思いかねない。


「セルシス!!大丈夫かい?リオちゃん心配したんだよ」

「ああ、ありがとな」


リオがエルフの魔術を邪魔してくれなければ危ないところだった。

そもそも発端としてリオがいなければ危なくなかったかもしれないが、そこはもう結果論で良いだろう。


「本当に今のは助かった。感謝するよ」

「・・・・・・・・・・・・べ、別に、なんてことないんだもんね。リオちゃんは、セ、セルシスのな、ななななな、なかま、なんだから。助けるんだもんね!!」


回復魔術を使って自分の傷とリオの傷を癒しながら、俺は静かに看破の魔眼を使う。

ちくり、と目の奥に痛み。


「それにしても許せないのはエルフ族だね。まったく失礼な連中だよ~。何もしてない私たちに弓を向けてくるなんてさ。もう蛮族じゃない?蛮エルフ族。リオちゃんたちじゃなかったら死んでたところだよ!!間違いなく死んでた!ね!リオちゃん強い!リオちゃん偉い!!!ね!?」

「ソウデスネー。でも最初に仕掛けたのお前だからそこは忘れるなよ?」

「そうだっけ?あはは、まあどっちでもいいよね。エルフ族はもっと文化的な思考を持つべきじゃないかな、教育水準が低いんだよ~」


誰か!!誰か鏡を持ってる人はいませんか!?馬鹿にも見える鏡を持ってる神様とか出てきてー。


「とりあえずこのゴミども食べちゃうね~」

「待て待て待て待て!!!!!!!!!!!!!!!」


文化的な思考!!それ文化的な思考ちゃうでしょ!!どっちが蛮族だかわっかんねえよ!?

倒したら食べるとか邪魔だから食べるとかって思考の方がより蛮族に近くないですかねえ!?


恐怖にひきつったエルフたちのうめき声が響く。

ああ、魔宮の森で冒険者たちが漏らしてた声によく似てるわー。純度99%くらい一緒。


「そういうのは後で相談しような。まだいるから、気を抜くなよ」


リオを庇う様に半歩前に進み出て、俺は森の奥を睨みつける。

何もいない。誰もいない。苔むした木々が鬱蒼と広がる森の中で、一点を見つめて俺が言う。


「出てこいよ。俺の肩に矢を当てたのはあんただろ?」


リオが目を丸くして俺を見た。

魔術か加護か知らないが、S級冒険者に気付かれないような腕の持ち主がそこにいるのは看破の魔眼でお見通しだ。


「・・・・・・・・・気付いたのか?人間にしては鋭いな」


風景が一瞬だけぼやけたかと思うと、怜悧な雰囲気を纏った一人のエルフが立っていた。

長めの前髪で片目を隠している、なんというか、ファイナルなファンタジーゲームに出てきそうな主人公イケメン顔と言うか。いや、銀髪に褐色の肌ですからどうみてもダークエルフなんですけどね。

カオスヒーロー系のイケメンですぜこいつは。


ドワーフが滅びたのと同様に、この世界では金髪に白い肌のエルフは滅びてしまっているらしい。

いまこの世界でエルフと呼ばれるのは南方の世界樹の森に住んでいる、銀髪で褐色の肌を持つ彼らだけだ。


「それに・・・魔術ではない力を使っているな。マナの流れがおかしい。貴様、何者だ?」

「旅人だよ。あんたたちと戦う気はない」

「旅人が、こんなところまでなんの用だ」


そうですよね。そこなんですよ。ちょっと冷静に言葉を組み立てて行こう。とりあえず戦闘パートから交渉パートにうつれたことは大きい。明らかに不法侵入だし、目的もヤバイし、手段も言えない。俺がこうして復活できたわけだからなんとなく話をそらしていって平和的にサヨナラし・・・・・・


「エルフの秘薬を貰いに来たんだよ!」

「オイバカー」


そうなのだ。魔神将のマナに侵されて死にかけた俺を助ける手段としてリオが選択したのは、エルフの秘薬を飲ませる事だったのだ。それは究極の回復薬であり、あらゆる難病を治癒すると言われる幻の秘薬、一国の王が望んだとしても手に入れる事が困難と言われるそれをどうやって手に入れるつもりだったかは聞くな。俺はビキニ姉妹から聞いちゃったけど、リオの考える事だから。聞くな。


「図太い奴らだな。コボルトに食わせるパンがあると思うか?」

「いやそれがね、事情が変わったからもういらないんだ。ホント申し訳ない。お邪魔しました・・・」


肌に触れる空気が重くなる。

張りつめた緊張感が、なんとなく舞台の幕が上がる前みたいだ。


「・・・・・・下がってろリオ、絶対に手は出すなよ」


男が身体強化を使う。敵意や殺意は感じないが、ここまで明白な闘志を見せてきたら簡単に返してはくれないだろう。この男がさっき戦ったエルフたちより数段上の実力だとするなら、リオを戦闘に参加させるのは自殺行為だ。


「どうしてもやるって言うなら俺が相手になる。彼女には手を出すな」

「・・・・・・試させてもらう」


男の姿が掻き消える。


獣神ソンドバルンドルグララオの加護★★★★

・感覚強化+40%。その知覚は思考を凌駕する。


本能だけでしゃがみこんだ俺の頭上を、背後から放たれた男の蹴りが通過した。


「ほう」

「早い!?」


振り向きながら足払いをしかけるが簡単にかわされ、男は手のひらを俺に向けている。


「風の魔弾よ・・・」


反射的に光の魔弾の詠唱をしようとした俺の皮膚が一瞬でズタズタに切り裂かれた。


「がっ!?」

「セルシス!?」

「敵を撃て」


無詠唱で放った魔法に全身を浅く切り裂かれ、叩きこまれた10数発の魔弾に肉が軋む。

二重詠唱?無詠唱と詠唱ありの魔術を同時に使うなんてアリなのか。


魔術戦じゃエルフとの間に大きな差がある。それならやることは一つだ!

身体強化の防御力を信じて、魔弾から距離を取らずに被弾覚悟で踏み込む。

半瞬遅れて男も踏み込んだ。

狙ったようなタイミングでコの字に曲げた男の腕が俺の首元に突き刺さる。

カウンターでアックス・ボンバーを喰らった俺の脚が浮く。受身を取って頭を守りながら倒れ、そのまま横にころがる。男のカカトが一瞬前に俺がいた場所を抉った。


対人戦のエキスパートじゃねえか!?なんだこいつ!?


「栄光を削ぐ手、クラウエの抱擁、千里を越えよ無明の鎖」


コマのように回転しながら起き上がった俺に合わせたような前蹴り。

これは止められる。両手を交差させて顎に当たらないよう受け止めた直後、俺の顔面がはじけた。


男の左足が俺の両手の下で浮いている。いや、交差した俺の腕ごと空中に固定されている。

そのまま踏みあがるように全身を押し込んで放たれた右足の蹴り。

回避も防御もできずに完璧なシャイニングウィザードを顔面に叩きこまれた俺が吹き飛ぶ。


「・・・それで意識が飛ばないとは随分強力な身体強化だな。普通の人間とは系統が違う。何者だ?」


仰向けに倒れる俺の胸に足を乗せた男が問う。


さてどーするか。

まるでダーナと最初にやった時のような力の差を感じる。あれよりちょっと絶望的な力の差。

魔力による身体強化は俺の方が上だ。だが、戦闘経験が、業の冴えが、相手の方が遥かに格上だと示している。正直まともな勝ち方なんて思いつかん。


「いと小さき者、サデセタの歓喜、荒れ野に茂る蔓草の群れ」


倒れたままの俺を包み込むように、足元から触手のごとく生い茂る蔓草が全身を飲み込んでいく。

こりゃダメか。負けたな、殺される事はないだろうけど・・・。

あきらめかけた俺の視界の隅に、涙を浮かべてこっちをみているリオの姿がうつる。


・・・・・・お客さんが見てるのに、役者が先にやめるわけにゃーいかねーか。

目をつぶって1秒考える。お試しプランをひとつ発見。


『砕けろ!』


蔓草を破壊して胸に乗せられた男の足を掴む。


「片足もらうぞ!」


そのまま足首と膝の関節を極めようとする・・・のはフェイクだ。

引いた脚は見逃してやり、本当の狙いは防ごうと伸ばしてきた男の右手。

左手で袖を掴み、右手で肘より少し上の肩口を掴んで自分の方に引き付ける。

同時に自分の腰を持ち上げながら右足を男の首筋にひっかけた。

そのまま左足で右足の先をフック・・・・・・できない。

エルフとは思えない力で耐える。それならそれでいいけれど!!


男の上半身が下がりきらないのでルートその2へ移行。

腕を掴んだまま左足を右足側によせて頭部へひっかける。

さて、グランディスタに寝技って概念はあるんですかね?とりあえず神様知識には無かったけども!!

さすがに耐えられずコロリと転がったので、腕ひしぎ十字固めの完成。


「・・・っ!?」


きっかり2秒間だけしっかり関節を極めてから技を外した。

ゆっくり身体を起こしながら、俺が言う。


「旅人で冒険者・・・今は、仲間と二人旅」

「・・・なに?」

「何者だって聞いたろ?旅人で冒険者。今は、仲間と二人旅。ほかに聞きたいことある?」

「・・・なぜ外した?」

「そっちが本気じゃなかったから」


やってみて確信したけど関節技とか怖すぎて使う機会ないわ。多分。

腕一本折る代わりに接触距離の魔法で下半身ふっとばされてる可能性まであるやん?コエェー。

ファンタジーで体術とか自殺行為だな!!!


「お前も本気じゃなかったな」

「は?本気だったんですよ?本気であれくらいです、あれ以上は無理」

「『砕けろ』と言ったか?物や魔法を壊すだけかと思ったが、絡みついた蔓草を砕けるなら俺の手足を砕くこともできたはずだ・・・あるいは、命そのものに手が届いたかもしれん。なぜやらなかった?」

「何度も言うけど、俺は戦う気はないの。あんた殺して勝ったーって喜んだあとエルフ全員に憎まれるとか嫌すぎるよ。無理無理」

「無益な戦いは望まないか。高尚な戦士だな、貴様は・・・高尚であるがゆえに、戦の神ヴェラーラの恩寵は賜れないかもしれないが」


そおっすね。高尚じゃなくて臆病なだけだとは思うが、反論しないで飲みこんでおく。


「詫びよう、旅人よ。祖霊に連なる名を名乗られよ。我らエルフは敬意を持って戦士を迎えると誓う」

「セルシスだ。こっちはリオ」

「芽吹く命・・・良い名前だ。天佑かもしれん」

「?」

「我が名はカリエンテ。偉大なるホワイトモアに連なりしフルブライトの末裔だ」


須藤翔みたいな声でそう言うと、カリエンテ・フルブライトはニヤリと笑った。

どう見ても、悪の組織の大幹部にしか見えないんだけども。けどもー。

何が起きているのかわかりませんが、一日1000PVを越えていたり、ユニークが4000を越えたりブックマークが60を越えたりしています!!


ありがとう!!!!!!!!!!

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