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ふぁふぇひゃふぇえ

ベイズ・ベリーズでは店主がいつものピンクエプロンで出迎えてくれた。

一般のお客さん・・・と言っても主婦層が大半だが。今日も繁盛しているんだろう。


「フェイ!うちの店の新メニュー、今度食べに来てよね」

「森には行ったかい?グラムコスルの根が欲しいんだけど手に入らないかねえ?」

「ねえフェイ、今度あたしの家まで遊びにきておくれよ。うちのチビがアンタと遊びたいって言ってんのさ」


活発そうな御嬢さんが話しかけたのを口火にしてあっと言う間にマダム達に囲まれるフェイ。

モテモテで羨ましいっすなー。


「今日はサンドイッチがオススメだ。辛いのは大丈夫か?」

「大好物です!!」


俺の返事に店主がクスクスと笑う。今日も笑うと可愛い、ずるいヒゲイケメンだ。


「今からメシだから、あとでな!あとで!!」


かきわけるようにしてカウンターまで辿り着いたフェイがどかっと椅子に座った。


「置いていくなよ薄情者!」

「男女関係の邪魔はしないように心掛けてるんだよ」

「あれが全部俺の女だったら、冒険者やめてヒモで暮らすね!」


できそうだけどなぁ、フェイの場合。


「んあ?あんあいったか?」

「いや、なんにも・・・って、なんで食べてるの!?俺が頼んだサンドイッチ!!?」

「ハラへっちまってさ」


だからって一瞬の躊躇もなく人の飯を食うか。この野郎。


「ん、ほれふまいぞ。まふはー、ほなひのみっつ!!」

「おかわり三人前って、自分でお金払わないからって食べ過ぎだからね?」

「金じゃねぇのさ」

「え?」

「金じゃねえ」


「いや、なんか遠い目でカッコイイよさそうな言葉をカッコイイような感じに喋ってるけど、その両手に持ったサンドイッチで台無しだから」


言われたフェイ。右手のサンドイッチを見て、左手のサンドイッチを見て、それから大きく口を開けて両方をバクンと食べる。もっしゃ、もっしゃ、もっしゃ。と三回咀嚼し。


「ふぁふぇひゃふぇえ」

「もう黙れ残念イケメン!!!」


追加で出されたサンドイッチをぶんどって食べる。

ハード系のパンにローストポークを挟んだやつをガブリと一口。

やべええええ、バツグンに美味い!!シンプルだけど肉のうまみが凄い、分厚いローストポークと香辛料がガツンときて、これ一つで心が満たされる味わい。


「ふぉっふぃもふふぇーふぉ」


残念イケメンのフェイが指差したのは見るからに辛そうな赤いソースのサンドイッチだ。

パンはやっぱりハード系、具はレタス、オニオンと、なんか薄切り肉だな。ガブリといただく。

おおおおおおおおおおお、これはアラビアータじゃねえですか!!!正しくはアラビアータソースか!

この唐辛子とトマト感をサンドイッチで食べる発想は無かった!!薄切りの鶏肉ともバツグンに合う・・・・・・マスター!抱いて!!!


「二人とも詰め込みすぎると死ぬぞ?ほら」


ヒゲイケメンが注いでくれた白ワインを俺もフェイもグビグビと飲んだ。


「あははははははははは!!!!」


思わず笑った、なんだこの白ワイン、酸っぱい、超酸っぱい。いまだかつてない酸っぱさ。

・・・・・・いや!?まてまてまて、これ、モーゼルワインに近いかも。

そしてなんということでしょう。気が付けば酸味が口の中に広がるローストポークの重さやアラビアータソースの辛さを綺麗に流してくれているじゃあありませんか。


思わずフェイを見る。フェイも俺を見た。


「「おかわり」」


綺麗にハモって二人でケラケラ笑う。

ああ、良いなあ。こういうの。こういう食べ歩きをしたかったんだよ。

フェイみたいな面白い奴といろんな国でいろんな物を食べて過ごしたら楽しいだろうなー。


ガツガツと食べすすめ、ドミと会うことなく食事終了。今日は午後からって言ってたからまだ寝てるんだろう。実の所を言うと俺も眠いんだぜ?フェイがこなかったら半日は一緒に寝てたんじゃなかろうか・・・あ、いや、何かに費やしてた気がするな。何とは言わないけど。



さて、腹八分目どころか十二分目くらいまで食べたところで。

俺たちの午後仕事は・・・お姉さんの家にいくところから。


食事前に子供と遊んで欲しいとか言ってたお姉さん、どうも指輪をなくしている事に気が付いたらしく、手が空いてるならそれを探してほしいと言ってきた。

F級依頼が雑用だとはっきりわかるお仕事である。

価格なんてないも同然、善意のお手伝い。とりあえずなんとかしてね的な依頼だ。

フェイガールズ(勝手に俺がつけた)の中の一人、仲村かおりみたいな声をした美魔女系マダムのお願いだから、まあ断る理由はない。マダム好きですよ。マダム。



本当ならギルドで依頼書がどうのこうのって手続きがあるらしいんだけど、フェイが略式で後から帳面を合わせる裏技を知ってるらしいからその場で受けてそのまま訪問。

後から聞いたらフェイが俺に依頼として発注する形にしたらしい。マダムからお代は貰ってなかったから、まあ円満な近所付き合いの延長線なのかもしれない。

午前中の荷運びと薬草類の売却で収入的には問題ないので無償でも喜んで手伝いしますぜ。あ、でも無償の仕事は無責任に繋がるからよくないか。


で、着いてすぐにフェイと俺とで探したんだけども、これがまあ見つからない見つからない。

2階建ての普通の家だから探すところが多すぎ。途中から探してるんだか掃除してるんだかレイアウト変更してるんだかわかんなくなるくらい。

祖母らしき人物が入れ違いに出かけていったので可愛らしいお坊ちゃん(推定2歳児)と遊ぶ仕事が合間に入ってくるせいもあるのだけど・・・いや、これお坊ちゃんいなくても見つからない気がするわ。無理ゲー。


1時間くらい捜索してたらマダムがシードルを出してくれたので、休憩に入る前にこっそり看破の魔眼を発動。

いや、だって指輪とか危ないじゃん?2歳児だと間違って口にいれちゃうかもだし。なんとかしとかないとね。

・・・・・・ん?なんでこんなとこに?


和やかに談笑をしてる途中で「あー、ちょっとつまむものが欲しいかも。奥さんチーズかなにかあったりします?」と、言いながら他人の家の冷蔵庫をガチャリ。

魔石で冷えた冷蔵庫の中に眠るチーズを包み紙ごと持ったところ・・・ころん、と指輪が落ちた。


「あらそんなところに!?ありがとー、悪いわね!!よく見つけてくれたわねー!!」

「うわー、こんなところにあったんじゃ見つかりませんよねー、あはは」


なんて会話をしながら依頼完遂。いや、これほんと魔眼使わなかったら何日かけても見つけられなかったでしょ。うん。


その後はフェイとギルドへ行ってグラムコスルの根を求める依頼を掲示。

これは割りとメジャーな薬草の一つなんだけど、組み合わせて調合すると魔力回復薬の材料になるため今は魔術師ギルドが買占め状態。というか午前中俺がギルドに売ってました。なんというタイミングの悪さ。

単体で煎じて飲むと整腸剤になるからフェイガールズはこっちの用途で使いたいのだと思われ。


「そういやダーナとゴンベックはどうしてるんだ?」

「あいつらもB級昇格したからな、魔宮の森に行ってるよ」


ぞくり、とほんの少しだけ嫌な予感がした。

確信の無い嫌な予感だ。

いつもありがとうございます。明日と明後日(土日)は更新が難しいかもしれません。おそくとも月曜には必ず投稿しますので、次回もよろしくお願いします。

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