閑話 ある日の少女達
それはジオ14歳の月が美しいある夜のこと。
「絶対に、絶対に! 私が2番目だわ!」
「アリアは3番目だもん! 2番目は私!」
「うにゃ~~~! 2番はリューネに決まってるのにゃ~!」
「五月蝿い、3人とも。2番目は私」
ラ・テオフラストゥス家のメイドの寝室にて、4人の少女たちが話し合いという名の言い争いを繰り広げておりました。
「だって、私が最初にご主人様に目を留めていただいてお買い上げいただいたのよ! 2番は私に決まってるじゃない! それに私、屋敷の皆さんにかわいい、かわいいってすごく褒めてもらえるのよ! ご主人様もそうおっしゃってくれるし間違いないわ!」
仲良く部屋に4つ並んだベッドのうち、自分のベッドの上で立ち上がり赤い髪の女の子、アリアはそのちいさな拳を握り締めながら宣言する。
そのアリアの言葉に反論するのは、彼女と瓜二つの少女であり、双子の妹でもあるエリアである。
「アリア! 私だって皆さんにかわいいって言ってもらってるし、そもそもアリアと私は同じ顔だよ? だから私がアリアより下とはないはずだし、ご主人様に私もかわいいかわいいって言ってもらってるから私が2番だと思う! だってアリアより多分3回は多くかわいいってもらってるはずだもの!」
「うにゃ~~~~! アリアもエリアも間違ってるにゃ~~~! ぜったい2番はリューネだにゃ~~~! 難しいことはよくわかんにゃいけど、一番おひざであたまナデナデしてもらってるのはリューネだにゃ!」
よく分からない理屈でお互いに自分が2番だと言い張るエリアと猫族の少女、リューネ。
そこに爆弾を投下する銀髪、黒い肌、そしてエルフの証明である長い耳を持つ少女。
「アリアも、エリアも、リューネも大間違い。2番目は絶対に私。だってもうこんなに私おっぱい大きいもの」
そう言って11歳とは思えないほどよく実ったバストを、両腕で寄せて上げながら他の三人に見せつけるダークエルフの少女シルウィ。
そのあまりの破壊力に3人は怯み、そしてその3人の様子にシルウィは普段表情の乏しい顔に優越感をにじませる。
「ご主人様は間違いなく大きなオッパイがお好き。だからこの中で一番大きなオッパイの私が2番目なのも間違いのないこと」
小さくクフフ、と笑うダークエルフの少女に我に返った3人が猛反撃を開始する。
「「な、何よ! ちょっとオッパイが大きくなったからって最近調子に乗りすぎじゃないの、シルウィ」」
「そうだにゃ! そ、それに、オッパイが大きければいいとはかぎらないにゃ~!」
必死の抵抗を繰り広げる3人であったが、クールなダークエルフの少女はさらに3人に決定的な一撃を繰り出す。
「――――だって、姉さまのオッパイも大きい」
絶対の勝利宣言とともに、わずかに、ほんのわずかに口元を上げているシルウィ。普段ほとんど表情を変えない彼女にとって、これでも見るものが見れば驚きを隠せないほどの変化なのであるが。
思わずベッドに突っ伏してしまう3人とそれを睥睨する勝利者シルウィ。
但し、彼女の勝利もそこまでであった。
不意に開くドア。
入ってきたのは彼女達の義姉であり、直接的な保護者でもあるマリエル・エトラント嬢17歳。いつもはやさしげな微笑を浮かべているその顔には隠しようも無い怒りの表情が浮かんでいた。
「4人とも、このような時間までいつまでも眠りもせずに何を大きな声で叫んでいるのですか!」
そういって始まった彼女のお説教はそれから1時間終わる事はなかったという。
そして、彼から思えばこの上なくくだらない内容で喧嘩して、自分の安眠を妨げた義妹たちに復讐を果たした密告者は自分のベッドの中でふと考えた。
(――――どうして1番じゃなく、2番争いだったんだろう?)
だが、その考えを熟考する前にテトは深い眠りに誘われて全てを忘れてしまったのだった。
ちなみにその答えを彼女達4人にもし聞いたなら、彼女たちは異口同音にこういったに違いない。
「だって1番はマリエル姉さまだもの!」
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