第二十四話 嵐の前の静けさ
あの予定通りの襲撃から今日で一週間。
何というか……思い煩う事がなくなるっていいよな。とにもかくにもこの1年間は計画に追われる生活で、碌に休みもありゃしなかったから。そう思ってダラダラできたのは最初の1日だけだった。2日目以降に昼まで寝ようと思ったも、「いつまでも寝ていていただいては子供たちに示しがつきません!」とめ! って感じでマリエルに布団を剥ぎ取られ、昼寝しようと場所を探しているとアリアたちに見つかって体力が尽きるまで振り回され、その様子を見ていた母上の急降下したご機嫌(自分を誘ってくれなかったからだそうだ)をとるする為に街に買い物に出かけ……そんな日が昨日まで続いたのだ。結果思い返してみるとほとんど休めてねぇな、くそ。
もしかして俺が知らないところで「馬車馬」とか「貧乏暇なし」とかいうような変なスキルつけちゃいないだろうな……あの幼女様。未だスキルの確認できないせいでそんなことを考えてしまう。いくつかは見当ついてるんだが……。間違いなく俺が頼んだものとは少し違うのが入ってやがるはずなんだよな。
――そう、この時点では俺は俺に与えられたスキルの全貌を知らなかった。空に向かって盛大に文句を言うまで後1年と半年ちょっとの頃のことである。
とにもかくにも当座最大の懸案事項だったシランの期待に応えることはできた。とんでもなくキツかったが。ただその副産物というか何というか。
はっきりいうと強くなりすぎた。
何というか……本来学院卒業前っていうのはつまりレベル1以下なわけで。そんな学院2年生の俺の今の状態はこういう感じなわけで。
レベル 45 職業 ローグ/アルケミスト
……まぁ、控えめにいってもヒヨコの中にライオンが混じってるよなぁ。
俺はそんな事を学院に向かう馬車に揺られながら考えていたのであった。それにしてもケツが痛い、この馬車。サスペンションをどうにか作らなきゃダメかなぁ……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからというものしばらくの間比較的穏やかな日々が続いた。目新いこととしては3日に一度夜に学院を抜け出して走って30分ほどのところにある『闘神の鍛錬所』に行き、テトに稽古をつけてやるようになったことぐらいだろうか。
学院の同級生を集めた勉強会も引き続きやってる。一応俺はおちこぼれということになってるから、ポーションの精製やこの先どういう方向に自分を伸ばせばいいのか? つまり職業相談みたいなものをやっているのだ。
あぁ、ちなみにあのブタ君はあの事件以降ひどくおとなしくなったが……、奴の事だいつまで今の殊勝な態度が続く事やら。
そんなこんなしながら俺の人生における最後の凪の季節は終わり、ついに嵐吹き荒れる最終学年が幕を開けるのであった。
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