バンド名会議
放課後。
軽音楽部の部室。
文化祭ライブまで一か月を切っていた。
萌野先生「今日は演奏の前に決めることがある。」
神威「新しいボンゴですか?」
萌野先生「違う。」
奈美「曲?」
萌野先生「違う。」
名寄「ライブの日程?」
萌野先生「違う。」
先生はホワイトボードに大きく書いた。
『バンド名』
萌野先生「文化祭に出演するには、バンド名が必要だ。」
部室が静まり返る。
神威「確かに。」
狛似「考えてなかったな。」
藍「どうしよう。」
萌野先生はホワイトボードの前に立つ。
萌野先生「一人ずつ案を出そう。」
神威「ボンゴ・ザ・レジェンド!」
全員「却下。」
狛似「爆音工業高校。」
名寄「うち普通科だけど。」
藍「放課後ピアノ。」
奈美「ベースもギターもいるよ?」
名寄「Six Sound。」
神威「普通すぎる!」
辰哉「……思いつかない。」
奈美「昨日の朝、お母さんに『おはよう靴下なってるよ!?』って言われてさ。」
神威「それで?」
奈美「なんとなく思いついた。」
奈美はホワイトボードにマーカーを走らせる。
『おはよう靴下ーず』
部室が静まり返る。
狛似「……靴下?」
藍「なんかかわいい。」
名寄「一回聞いたら忘れない名前だな。」
神威「俺、好き!」
萌野先生は腕を組みながら笑う。
萌野先生「変だけど、悪くない。」
奈美は辰哉を見る。
奈美「辰哉は?」
辰哉はホワイトボードの文字を見つめた。
思わず笑みがこぼれる。
辰哉「……みんならしい名前だね。」
奈美「じゃあ決まり!」
全員「おー!」
こうして六人のバンドは、
『おはよう靴下ーず』
として活動を始めることになった。
まだ誰も知らない。
この少し変わった名前が、いつかライブハウス、音楽フェス、そしてドームのステージで何万人もの観客に叫ばれる日が来ることを。




