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神獣テイマーの異世界放浪記 〜未知なる食を求めて〜  作者: 葉山ローリエ
第一章:最弱テイマーの規格外な旅立ち 〜最強の神獣たちとの出会い〜

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第9話:受け継いだ古剣と、初めての単独討伐

「うう……まだ少し目がチカチカするわ……」


翌朝。魔法使いのエイミーが目を擦りながらテントから出てきた。

リーダーのガイルたちも、どことなく眩しそうに目を細めている。


「昨晩は本当にすみませんでした……」


俺が平謝りしながら朝食のスープを差し出すと、ガイルは苦笑いしながらそれを受け取った。


「気にするな。おかげで目がバッチリ覚めたし、お前があの『閃光』を使いこなせりゃ、いざって時の強力な切り札になる。……にしても、お前たちのコンビは本当に規格外だな」


『ふふっ。お褒めにあずかり光栄です』


俺の肩の上で、原因を作った張本人であるリコが、全く悪びれる様子もなく胸を張った。

朝食を終えて野営地を片付けると、俺たちは再び街道を歩き始めた。

順調に進めば、今日の昼過ぎには目的の街へ到着する予定だ。


「よし、ちょうどいいのが出たな。リオン、お前一人でやってみろ」


しばらく進んだ先で、ガイルが顎で前方をしゃくった。

街道のど真ん中に、丸々と太った巨大なウサギのような魔物――『ホーンラビット』が一匹、こちらを威嚇している。額には鋭い一本角が生えていた。


「俺一人で……っ」


「安心しろ。危なくなったら俺たちがすぐにフォローに入る。お前がこの数日でどれだけ成長したか、見せてみろ!」


ガイル、ドン、エイミー、ミランダの4人が、少し下がって俺を見守る。

俺は小さく深呼吸をすると、腰から譲り受けた古い剣を抜き放った。


「キシャァァァッ!!」


俺を敵と認識したホーンラビットが、強靭な後ろ脚で地面を蹴り、弾丸のようなスピードで突進してくる。

狙いは俺の腹部。まともに食らえば、あの鋭い角で風穴が開く。


(速い……! でも……!)


『リオン。敵の初速から到達時間を演算。……来ます』


脳内に響くリコの声と同時に、視界にうっすらと『光のガイドライン』が浮かび上がった。


「ふっ……!」


俺はドンに教わった『怪我をしない受け身と回避』のステップを思い出し、ギリギリまで引きつけてから、半歩だけ右へスッと身をかわした。

鋭い角が、俺の脇腹を数ミリの差で通り抜けていく。


「いける……!」


敵の突進の勢いが止まらないうちに、俺はガイルに叩き込まれた『重心を落とした剣の軌道』で、すかさず古剣を振り下ろした。

リコの演算サポートが、俺の素人くさい筋肉の動かし方を一瞬で最適化する。

ズバァァンッ!!

鈍い手応えと共に、振り下ろした剣がホーンラビットの急所を的確に捉えた。

魔物は悲鳴を上げる間もなく、地面を数回バウンドして動かなくなった。


「……やった」


俺は荒い息を吐きながら、剣を下ろした。

魔法や閃光を使ったわけじゃない。ただ、教えてもらった基礎を忠実に再現しただけだ。


「おおおおおっ!! マジかよ!!」


後ろで見ていたガイルが、両手を上げて歓声を上げた。

他の3人も駆け寄ってきて、次々と俺の背中や肩をバンバンと叩く。


「すげえぞリオン! あの引きつけからのステップ、ドン顔負けじゃないか!」


「剣の振りも迷いがなくて完璧だったわ! とても数日前まで剣を握ったこともなかった素人とは思えない!」


プロの冒険者たちから口々に褒められ、俺は少し照れくさくなって頭を掻いた。


「ありがとうございます。皆さんが丁寧に教えてくれたおかげです」


「いやいや、お前の飲み込みの早さが異常なんだよ。……これなら、街のギルドでも堂々と冒険者登録できるな!」


ガイルが嬉しそうに笑い、俺の背中を強く押した。

自分の身を守るための、最低限の戦う力。それを身につけられたことが、素直に嬉しかった。

◆ ◆ ◆


それから数時間後。

森の木々が途切れ、視界が開けた先。


「見えたぞ。あれが『城塞都市リバニア』だ」


ガイルが指差す先には、巨大な石造りの城壁に囲まれた、とてつもなく大きな街がそびえ立っていた。

城壁の門には長蛇の列ができ、馬車や商人、そして様々な種族の人々が行き交っている。


「すげえ……! 本当に、ファンタジーの街だ……」


人間だけでなく、尖った耳を持つエルフや、小柄で筋肉質なドワーフ。そして獣の耳や尻尾を持つ獣人たち。

俺は、初めて見る『異世界そのもの』の光景に、胸の高鳴りを抑えきれなかった。


「さあ、着いたぞ。まずはギルドに向かおうぜ!」


未知の食材、未知の料理、そして未知の出会い。

期待に胸を膨らませながら、俺は冒険者たちと共に、活気あふれる街の門をくぐった。

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